第6話 不穏な異世界と平和な日常
俺とフルートは、帰らずの森の中の家へ戻る。
「フルート、調査依頼を受けなくてよかったのかな。」「学校を休むつもりか。」
「これでも真面目に勉学に励んでいるんだ。さぼったりしないよ。」「ならば、仕方ないだろう。」
「そうだけど、関わっているから気になるんだ。」「おそらくシルバーグリズリーは、山奥から追われて逃げてきたんだ。」
「それにしては他の魔獣がいなかったよ。」「シルバーグリズリーがいたら大抵の魔獣はその場から逃げるはずだ。」
「この家の周りにも集まって来ていたりして。」「一応、魔力探知をするとしようか。」
俺とフルートは魔力探知をする。すると数えきれない魔獣が家の周囲に潜んでいることが分かる。
「こんなにいるの。」「間違いないな。森の奥に強力な魔獣が現れたのだろう。」
「魔獣は追われて出て来ているのか。」「そうだ。帰らずの森から魔獣があふれるぞ。」
「何とかしないとだめだろ。」「森から追い出されるのは弱い魔獣だ。ギルドが何とかするさ。」
これは元凶を叩かないと事態は収まらない。俺はこのまま自分の世界に戻っていいのだろうか。フルートの言う通り、俺のせいではないが、気掛かりだ。
翌朝、俺は登校する。途中で雪島が待っている。
「おはよう、萩原君、どうしたの難しい顔をしているよ。」「おはよう。考え事していたんだ。」
「フルートちゃんのことかな。」「雪島のことだよ。」
俺は嘘をつく。異世界のことが頭から離れないのだ。
「私のことを考えるなら楽しそうな顔をして欲しいな。」「そうするよ。」
「で、何を考えていたの?」「内緒だよ。」
「エッチなこと考えていたでしょう。」「まさか・・・」「残念。」
えっ、エッチなこと考えてもいいのか。どこまでいいのだ。キスは許されるよな。その先は・・・
「萩原君、顔が緩んでいるよ。」「あ、その。これは・・・」「エッチ。」
雪島が笑顔で言う。うん、かわいいなー、雪島が彼女になつてくれて、うれしいよ。
二人で教室に入ると高志が声をかけてくる。
「おはよう。すっかりおしどり夫婦になっているな。」「からかうなよ。」
雪島が赤くなり、クラスの連中がはやし立てる。
「クラス公認のカップルなんだから公然といちゃつけるからいいじゃないか。」「ああ、うらやましいだろ。」
「俺はフルートちゃんの方がいいよ。」「ついに幼女の魔の手に堕ちたか。」
「いいや、10年も待てば、すごい美少女になるからな。」「気がながいな。」
「まずは、高志お兄ちゃんになる。」「なんかいやだな。」
「彼女作るのを手伝っただろ。」「分かったよ。うまくやれよ。」
「私も伊能君を手伝おうか。」「雪島さんも手伝ってくれるの。」「ええ、もちろん。」
俺は雪島の笑顔が悪い顔に見える。きっとフルートを俺から排除するつもりだ。ちょっと怖く感じる。
「土曜日に4人で遊園地に行かない。そこで伊能君がフルートちゃんをエスコートすると良いよ。」「雪島さんは翼とデートする訳だ。」
「当然、楽しまなくちゃ。」「ごめん。土日は用事があるんだ。」
「私とのデートより大事なの。」「ごめんなさい。」
「仕方ないわね。」「翼は土日の度にいなくなるよな。」「そうかな。」
ヤバい。土日はスマホに連絡が来ても既読も返事もできない。高志は当然気づいているだろう。でも、異世界のことは絶対に言えない。
何か対策を練る必要がありそうだ。帰ったらフルートに相談しよう。




