第5話 ランクアップ
俺は朝早くから宿の裏庭でエルマーから剣の指導を受ける。エルマーは、ある程度強くなった翼が剣の腕を磨くことに疑問を持っていた。
訓練する時間があるなら魔法の訓練に使った方が有益に思えたのだ。
「翼、なぜ剣の訓練をするのだ。すでに一人前の腕前だぞ。」「俺はエルマーくらい、いやエルマーより剣の腕を上げたい。」
「欲張りだな。魔法があるだろ。」「魔法も極めるさ。」
「最強になるつもりか。」「そんなことは考えていないけど、楽しいんだ。」
俺はゲームのキャラのようにステータスの数字が増えていくことに喜びを得ていた。強くなることの意味をまるで考えていなかった。
フルートが起きて来て朝食になる。フルートは、俺に文句を言う。
「なんでいつも勝手に起きるのだ。」「起こすことが悪いと思っているんだ。」
「我が起きるまで美しい寝顔を眺めていればいいだろ。」「幼女の寝顔に興味はないよ。」
エルマーが確認するように言う。
「翼、本当に幼女に興味はないのだろうな。」「なんども言っているだろ。俺を変態にするな。」
フルートが顔を赤らめて言う。
「昨晩は翼に抱きしめられた。」「こら、抱き着いてきたんだろ。」
エルマーの俺を見る目が冷たくなる。エルマーには冗談が通じない。真面目というか頑固だ。パーティを組んでいるのだから俺とフルートのやり取りに慣れて欲しい。
朝食を食べ終わる頃、冒険者ギルドから呼び出しの使いが来る。ギルド長が用事があるそうだ。
俺たちは冒険者ギルドへ向かう。ギルドに着くと建物の2階にあるギルド長の部屋に通される。そこには耳の長いイケメンがいる。
エルフ来たーーーーー、この世界にいたんだ。これならドワーフとかもいるかもしれない。
俺の感動をよそにエルマーが挨拶もそこそこに用件を聞きだす。
「俺たちを呼んで、何かあったのか。」「用件は二つあるが、その前に自己紹介をさせてくれ。ギルド長をしているクレール・バイヤールだ。よろしく。」
「フルート・アーべラインだ。魔法使いをしている。」「最古の魔女様ですね。冒険者ギルドにようこそ。」
「萩原翼です。ギルド長はエルフなんですよね。」「エルフだが、君はこの世界の人間なのか。」
「異世界から来ました。分かりますか。」「私のことをエルフとは聞かないからね。それに名前が変わっている。」
エルマーが俺のことを補足説明する。
「翼は魔法剣士だ。腕はかなり立つぞ。」「ええ、今回のシルバーグリズリーの討伐の結果、最古の魔女様をSランク、翼をCランクに昇格させます。」
「異例の昇格だなFからCなんて異常だぞ。」「もちろん、あなた方に期待してのことです。」
「それだけでないだろ。」「はい、今回のシルバーグリズリーの異常行動について帰らずの森へ調査をお願いしたいです。」
「翼行けるか?」「後、2日で済むなら行くよ。」
「無理だな。クレール、10日後なら受けるぞ。」「そうですか。緊急の案件なんですが、他を当たることにします。」
俺たち「帰らずの森」は、フルートがCからSランク、俺がFからCランクになる。調査の依頼は日程の関係で受けることが出来なかった。




