第4話 討伐依頼
「帰らずの森」は、薬草採取から雑用を経て、行商人の護衛をするようになる。この頃には、俺とフルートはエルマーに保護されている子供から新人冒険者に昇格した。
やっと、俺が望む仕事を受けることになる。帰らずの森の近隣の村から依頼で、村の近くを徘徊するシルバーグリズリーの討伐だ。
俺たちは転移魔法で村の近くへ転移する。転移魔法は「帰らずの森」の強みだ。俺たちが村へ入ると村人が出て来て歓迎される。
「ようこそ。村を代表してお礼を言います。」「お礼は、シルバーグリズリーを討伐してからでしょう。」
エルマーが代表して言う。俺たちは村長の家に招かれるが断って仕事にかかる。俺とフルートが魔力探知を行う。すぐに魔獣の反応が出るが数が多い。
「シルバーグリズリーがこんなにいるのか。」「おかしい。あれは単独で行動するし、縄張りがあるから別の魔獣だろ。」
フルートが俺の言葉を訂正する。エルマーが指示を出す。
「相手は魔獣だ。気は抜けないぞ。翼は援護、フルートは後衛を頼む。」「おう。」「我に指図するな。」
エルマーは抜刀して慎重に進む。俺も抜刀して続く。
「エルマー、前の大木の向こう側だ。」「分かった。」
エルマーは風下の木の影から確認する。
「シルバーグリズリーだ。やるぞ。」「ああ。」
エルマーと俺は木の影から飛び出す。シルバーグリズリーが気づいて立ち上がる。だが、遅い。エルマーが突きを繰り出し、右前足を貫く。
俺は走って左側に回る。シルバーグリズリーの左側から左前足を狙って、剣を振るう。剣は左前足を切り飛ばす。
エルマーが連撃の2発目の突きを繰り出す。剣は胸の筋肉を貫いて心臓に刺さる。
シルバーグリズリーはゆっくり倒れる。俺とエルマーはハイタッチをする。突然、茂みからシルバーグリズリーが飛び出してくる。俺とエルマーは完全に油断していた。
動く凶器が突進してくるが対応できない。俺は覚悟する。油断したつけは死だ。
シルバーグリズリーが真っ二つになる。フルートがエアカッターで両断したのだ。
「油断するな。血の匂いを嗅ぎつけて集まって来ているぞ。」「一匹だけじゃないのか。」
「例外はあるさ。翼、どっちから来る。」「正面が一番早い。」
「そいつは俺に任せろ。」「一人でやるつもりか。」
「数が多い。他は任せるぞ。」「死ぬなよ。」
茂みからシルバーグリズリーが飛び出してくる。エルマーはぎりぎりかわす。いや、剣を振っていた。シルバーグリズリーの右目が切り裂かれている。
俺はファイヤーボールを右の茂みに撃ちこむ。爆発してシルバーグリズリーの肉片が飛び散る。
フルートに二匹のシルバーグリズリーが迫る。フルートは動かない、周りにエアカーテンを展開している。フルートのエアカーテンはただの魔法ではない。シルバーグリズリーが触れると肉片に変わる。
エルマーはさらに左目を切り裂き、シルバーグリズリーの目を潰す。エルマーは、がむしゃらに暴れるシルバーグリズリー相手に剣を振るう。
俺は魔力探知で近づいて来る魔獣を狙って、ファイヤーボールを撃ちこむ。ファイヤーボールは一撃で魔獣を仕留める。魔獣は全てシルバーグリズリーだった。
エルマーがシルバーグリズリーの爪にかかり負傷する。左肩からの出血がひどい。すかさず、フルートがヒールする。
エルマーはハンドサインでフルートに礼を言う。エルマーの闘志に衰えはなく、シルバーグリズリーの首に突きを入れる。
シルバーグリズリーの首から血が噴き出す。シルバーグリズリーはまだ暴れているが勝負はついていた。しばらくすると動きが止まり倒れる。
もう、魔力探知の範囲に魔獣の反応はない。俺たちは14匹のシルバーグリズリーを討伐した。
少し探索をした後、俺たちは村へ戻る。すぐに村人たちに囲まれる。みんな、討伐の結果を知りたいのだ。
エルマーがシルバーグリズリーの右前足が入った袋を村長に渡して言う。
「シルバーグリズリー14匹を討伐しました。」「14匹だと、なぜ、そんなに多くのシルバーグリズリーがいたのだ。」
「理由は分かりません。」「そうか、危険な討伐をしていただいてありがとうございます。」
村長はエルマーに報酬を渡して依頼は終わる。
シルバーグリズリーの異常行動は、報告書で冒険者ギルトに引き継がれる。




