第3話 幼女の料理はやばい
俺はフルートに頭を下げて、土曜日と日曜日は異世界で過ごすことを認めてもらう。こちらの世界で2日は異世界では4日になる。俺はちょっとした冒険がしたいと考えている。
平日は、フルートにアラキア語を学び、フルートと夕食を食べる。俺はコンビニ弁当やインスタント食品ばかりだがフルートには好評である。
そして、一緒に風呂に入っている。はっきり言ってフルートはきれいだと思う屈辱だ。
今日は早く起きて、リュックサックに土産を満載するとクローゼットに向かう。そう、土曜日になったのだ。待望の異世界である。期待に胸が膨らむ。
俺はクローゼット奥の渦に入る。渦はフルートの家に中に直通である。家に中ではフルートが料理をしていた。鍋で何かを煮ている。お世辞にもうまそうとは言えない。
何か生臭い匂いがする。フルートは俺に気づいて言う。
「朝食を作っているから椅子に座って待っていてくれ。」「その鍋、大丈夫か、生臭いぞ。」
「魚を入れているからな。食べることはできるぞ。」「・・・・・」
食べられるらしい。おいしいとは言っていなかったな。心配だ。
しばらくすると、パンと魚のスープが出てくる。スープは生臭かった。
「さあ、師匠の手料理じゃ。感謝して食べるといい。」「このスープ、匂うぞ。」
「少しくらい我慢しろ。」「パンをいただくよ。」
俺はパンを手に持つ。あれ、硬いぞ。小さくちぎって食べることにする。しかし、なかなかちぎれない、頑丈だ。フルートが俺に言う。
「何をしておる。パンはスープに浸して柔らくして食べるのだ。」「このスープに浸すのか。」
「ちゃんと食べれるぞ。」「まずそうだ。」
「ああ、まずい。魚の泥臭さがしみ込んでいるからな。」「魚は泥抜きをしたのか。」
「してないがちゃんと洗ったぞ。」「インスタントのスープを持って来ているから、それにします。」
「我の分もあるだろうな。」「もちろんあります。」
「そうかよかった。我慢して食べなくてもよくなった。」「これまで何を食べていたんですか。」
「森で採れるものを食べている。野菜は畑で作っているがな。」
これは異世界の食事を改革する必要がありそうだ。いや、フルートの料理がダメなのかもしれない。
とりあえず、インスタントのコーンスープで食事をする。パンはスープに浸しても硬かった。
食事が終わって、俺はフルートに言う。
「家の外が見たい。外に出てもいいか。」「家の敷地内ならいいぞ。結界に守られているからな。」
「結界の外に出たらどうなる。」「200メートルも進まないうちに魔獣の餌になるぞ。」
「そんな危険なところにいるの。」「この森は帰らずの森と呼ばれている。魔獣の数が多いからな。」
そんな危険なところにいるのか。冒険はお預けだな。とりあえず、家の外に出てみるか。外に出ると家の周りを木の柵で取り囲んでいる。敷地は大きく畑と小屋がある。
さらにその周りはうっそうとした森になっている。木の柵まで行って森を見るとヤブが動く。何か動物がいるようだ。突然、イノシシのような獣が突進してくる。
俺は突然のことで避けられない。これは死んだな。俺の頭の中を走馬灯が駆け巡る。イノシシのような獣は、柵に衝突する前に何か硬い障壁に当たったようにはじかれて倒れる。
これが結界か、死なずに済んだぞ。フルートが家から出てくる。
「結界になにか当たったか?」「イノシシのようなものが突進してきたよ。」
「ほう、ソードボアだな。食べるとうまいぞ。」「食べるのか。」
「当たり前だ。魔獣を倒したら食べるに決まっているだろ。」「異世界の常識か。」
この時、俺はこのことがフルートの常識であることを知らなかった。俺とフルートは結界から外に出て倒れているソードボアに近づく。
フルートが首の血管をナイフで切って、とどめを刺すとともに血抜きをする。俺はソードボアを運ぼうとするが重くて持ち上げることもできない。
ソードボアはフルートが魔法で浮かせて敷地内に運び込む。フルートはナイフを使って、慣れた手つきでソードボアを解体していく。
皮をはぎ、骨から肉を外して切り分けると肉を空間に入れていく。
俺は驚く、何もない空間に見えない穴でも開いているようだ。俺が不思議そうに見ていたためか、フルートが説明してくれる。
「これはアイテムボックスと同じ原理だ。位相空間を作って保管庫にしている。」「肉が腐るだろ。」
「位相空間の時間を止めているから、いつまでも新鮮だ。」「便利だな。アイテムボックスは魔法を使えなくても大丈夫か。」
「もちろん、でも高価だ。」「安ければ、大量に仕入れて俺の世界で売るのに。」
「魔法のアイテムだ。向こうの世界で公表したらパニックになるぞ。」「注目を浴びるのは嫌だな。」
俺はアイテムボックスを売ることをあきらめる。フルートはソードボアの残った残骸を土魔法で肥料に変える。ソードボアの皮は売り物になるので空間に入れておく。
俺が初めて遭遇した魔獣はフルートによって余すことなく再利用される。




