第16話 国王に謁見する
エドガーは灰になるまで燃える。俺とフルートは近くの森の中に埋葬して墓石を置く。後には聖剣が残る。
「聖剣を国王に返しに行くぞ。」「王様に会えるのか。」
「ああ、簡単なことだ。エドガーの死も報告しなければならないからな。」「俺は罰を受けるのか。」
「勇者エドガーに勝ったんだ。誇ればいい。」「俺は勇者殺しだぞ。」
「心配ない。国王もエドガーの扱いに困っていたからな。あいつは考えずに行動するから、たちが悪いのだ。」「よくわかるよ。」
フルートが杖を取り出し地面をトンと叩く。すると地面に光る魔法陣が浮かび上がる。俺が魔女らしいことをしたと驚いているとフルートが手を引きながら言う。
「では、玉座の間に行くぞ。」「ちょっと待って、これはなんなんだ。」
俺の問いかけは無視される。魔法陣に入った瞬間、森の中から広間に移動していた。俺とフルートは駆け付けた衛兵に囲まれて槍を突き付けられる。
おい、ここはどこだ。兵に囲まれているぞ。間違っても歓迎されているわけではない。立ち尽くす俺の横でフルートは跪いて部屋の主に声をかける。
「お久しぶりです。ルイス様。」「もしかして、フルート殿か。その姿はどうしたのだ。」
「それより、兵をお下げください。翼も我と同じように跪け。」「そこにいるのは最古の魔女だ。下がってよいぞ。」「はっ。」
俺はフルートをまねてひざをつき、兵たちは元の場所へ戻る。フルートが俺をルイスに紹介する。
「こちらは我が弟子萩原翼です。」「弟子を取ったのか。珍しい。有望なのか。」
「はい、勇者エドガーに勝ちました。」「何とそれはすごい魔法使いだ。」
「翼は魔法剣士です。」「ほう、珍しい。で、エドガーはどうなった。」
「死にました。本日は聖剣を王の元へ返しに来ました。」「そうか、素行が良ければ英雄になっていた者だが、魔族ではなく少年に討たれるとは。」
ルイスは目をつむる。俺はフルートの話からルイスという中年の男が国王だと考える。しかし、国王のイメージではない、金髪に日焼けした肌をこれでもかと言わんばかりに露出している。
どう見てもマッチョのおじさんだ。
「翼と言ったか。」「はい。」
「私は、ルイス・コルトバ、国王だ。」「はい。」
やっぱり国王だ。異世界は勇者といい、国王といい、イメージが合っていないぞ。
「フルートよ。弟子の翼と一緒に私の元で働かないか。」「お断りします。」
「おぬしがいてくれれば国は安泰なのだが。」「それはルイス様の仕事です。」
「翼よ。英雄になりたくないか。」「結構です。気楽に生活したいです。」
「若いのに欲がないのう。」「俺は楽しく生きたいです。」
「せめて、食事を食べて行ってくれ。」「いえ、結構です。」
フルートが食事の誘いを断る。ルイスは引き留めるように言う。
「うまい食事を出すから良いだろ。」「フルート、ごちそうになろうよ。」
俺は異世界のうまい食事がどのようなものか知りたかった。フルートはしぶしぶ了承する。




