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第9話 エドガーは諦めない

 エドガーは、俺の攻撃を無視して、腰のポシェットからポーションを取り出して飲む。エドガーのキズはたちまち消える。

 だが、出血して失った血液は元に戻らない。俺はエアカッターによる攻撃を続ける。エドガーは動きを止めて目をつぶる。

 俺はチャンスだと思い。ファイヤーボールをエドガーの顔面に向けて撃ち出す。エドガーが吠える。

 「はああああああぁぁぁぁっーーーーはっ!」

その瞬間、ファイヤーボールが爆発する。炎がエドガーを飲み込む。俺はさらに距離をとり、ダートウォールで壁を五つ作りだす。相手は非常識な化け物だ。用心に越したことはない。

 エドガーが炎から飛び出してくる。土の壁をものとせずに俺に向かって突っ込んでくる。俺はエドガーとの間にエアスクリーンで真空の空間を作りだす。

 エドガーはその中に突入する。するといきなり足がもつれて倒れる。酸欠で気を失ったのだ。フルートが俺に言う。

 「とどめを刺せ。今がチャンスだ。」「待ってくれ。これでも仲間だ。命を取ることだけは許してくれ。」

 「翼、お前が勝者だ。自分で決めろ。」「エルマー、エドガーを連れて行ってくれ。そして、二度と俺たちに関わらないようにしてくれ。」「分かった。約束する。」

エルマーはエドガーを担いで村へ向かって行く。フルートが不服そうに俺に言う。

 「なぜ殺さない。あいつはまた襲って来るぞ。」「でも。剣の師匠のお願いもありますから。」

 「甘いぞ。あいつは諦めることを知らないんだ。バカだからな。」「でも剣を折られるとは思いませんでしたよ。」

 「あいつの剣は聖剣だからな。お前にも業物を渡していたが比較にならんだろ。」「聖剣なんてあるんですね。」

 「とりあえず、帰ろう。」「はい。」

フルートは森の中の家に帰る途中、いくつか魔法陣を分からないように仕掛けていく。この魔法陣は人間限定の効力を持つもので、発動すると大きな爆発音が鳴るものである。

 勇者エドガーは、諦めず向かってくることをフルートは確信していた。俺はフルートがエドガーを嫌っていることは分かっていたが、まだフルートのエドガーを嫌う気持ちの大きさに気づていなかった。


 エドガーは村で宿に借りている家で目を覚ます。目の前にはエルマーがいる。

 「エドガー、勇者パーティは俺とお前だけになってしまった。王都に戻ってやり直さないか。」「まだ、フルートがいるだろ。」

 「フルートは戻ってこないよ。諦めろよ。」「何言っている。勇者の私が誘っているんだ。パーティに参加して当然だろ。」

 「お前はフルートに嫌われているんだ。彼女は戻らないよ。」「ならば力づくで言うことを聞かせるまでだ。」

 「お前、翼が殺さなかったから生きているんだぞ。フルートは殺せと主張していたんだ。」「小僧にたぶらかされているだけだ。行くぞ。」

 「もう、森へ行くな。俺たちはヒーラーのディートフリートを失ったばかりだぞ。」「俺は一人でも行くぞ。」

 「勝手にしろ!森へ行くなら、お別れだ。」「エルマー、お前まで去っていくのか。」

 「いやなら、王都へ帰ろう。」「だめだ。フルートを諦められない。」

 「エドガー、フルートに会ったら死ぬことになるぞ。」「俺は死なないよ。フルートの目を覚めさせるんだ。」「さよならだ。」

エルマーはエドガーとはもう会うことはないだろうと思いながら村を出ていく。



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