第12話 マナウス傭兵団
マナウス傭兵団の団長がルイス王に言う。
「俺は、アヒム・マナウス、マナウス傭兵団の二代目団長をしている。こちらは副団長のドリス・ギュンターだ。」「よく来てくれた。歓迎しよう。」
「歓迎はいい。俺たちはドゴールで何をすればいい。」「さすがだな。正体を隠してドゴールの騎士団を潰していって欲しい。」
「ちゃんと代金は払ってもらえるのだろうな。」「騎士団一つに5000万コルでどうだ。」
「騎士団一つに7000万コル。代わりに生き残りは無しだ。」「良かろう。生き残りがいた場合は5000万コルだ。」
「生き残りがいた場合は代金はいらない。それは失敗だからな。」「すごい自信だ。期待しているぞ。」
アヒムとドリスは無言でルイス王の前から立ち去る。二人は中庭に行くと待っていた部下たちに言う。
「仕事が決まったぞ。簡単な狩りだ。」「俺たちにふさわしい仕事だろうな。」
「獲物はドゴールの騎士団だ。」「全部殺していいんでしょうね。」
「ああ、皆殺しだ。生き残りがいたら報酬は無しだ。」「なんだって。で、成功報酬はいくらだ。」
「7000万コルだ。」「そりゃいい。仕事が終わったら遊べるぜ。」「どうせ、女に貢ぐんだろ。」「うるせー」「ハハハー」
「まあ、ケガをする奴はいないと思うが、重傷を負った間抜けは俺が殺すからな。」「「「おう」」」
「明日の朝、出発する。解散!」
アヒムが解散を指示すると団員が副団長のドリスに言い寄って来る。
「ドリス、前祝いだ。飲まないか。」「自分の顔を見てから言うんだね。」
「バカ、ドリスは俺と夜を過ごすのさ。」「バカはお前だ。」
ドリスは団員を軽くあしらい去っていく。
「いい女なのにもったいねー」「浮いた話が無いからな。男に興味ないんじゃないか。」
ドリスは自分より弱い男に興味がなかった。正直、団長のアヒムさえ、自分より剣の腕は劣っていると思っている。
マナウス傭兵団は、ポルト王国の傭兵団の中で最強の部類だが、それでもドリスのお眼鏡にかなうものはいない。
ドリスが道を歩いてくと女の子たちが集まって道を塞いでいた。ドリスはムッとして女の子をかき分けて前に進む。その先には、女の子に囲まれて浮かれる谷垣がいた。
ドリスは谷垣に向かって行き、文句を言う。
「邪魔だ、すぐに解散させろ!」「俺はいま楽しんでいるんだ。邪魔するな。」
「なんだとお前剣士だろ剣を抜け。勝負をつけてやる。」「俺は勇者だ。死にたいのか。」
「私より強いと言いたいのか。」「俺に勝てる奴がいるわけないだろ。」
「私がお前を負かしてやる。」「ふん。」
ドリスは剣を抜く。すると驚いた女の子たちが散り始める。
「俺の楽しみを邪魔したな。」「変態が何を言う。」
谷垣がドリスに向き直る。
「さあ、剣を抜け。」「お前ごときにいちいち剣を抜けるか。」「だったら、死ね。」
ドリスは俊足を使って一気に谷垣に迫ると上段から剣を振り下ろす。谷垣は左足を右後ろに引いて半身になり、剣をぎりぎりでかわす。ドリスはかわされると同時に横に飛んで間合いを取ろうとする。
谷垣はそれを許さない。ドリスの左肩を握るとそのまま力任せに投げ飛ばす。ドリスは地面を転がる。谷垣が見下ろして言う。
「少しは早いがそれだけだな。」
ドリスは初めて完敗した。そして、胸がときめく。
「私はマナウス傭兵団副団長ドリス・ギュンターです。勇者殿、お名前を教えていただきたい。」「谷垣大輔だ。」
「谷垣様、惚れました。飲みに行きましょう。」「えっ。」
ドリスは谷垣の腕をとると谷垣を引きずって連れて行く。
「まっ、待ってくれ、俺の女の子たちが~」
谷垣の情けない叫び声はドリスに届いていない




