第3話 二学期登校
朝になり目が覚めると右横に寝ていたチェンバロがいない。俺は左腕に抱き着いているフルートを引きはがして1階へ降りる。
台所から物音がするので見るとチェンバロがエプロンを描けて朝食を作っていた。その姿は、若妻が料理をしているようだった。いや、だまされてはいけない、相手は鮮血の魔女だ。
チェンバロは俺に気づくと笑顔で挨拶をする。
「おはよう。目が覚めたのね。」
うっ、赤い髪が輝いてキラキラして見える。落ち着け、俺。
「おはよう。朝食を作っているの。」「ええ、翼様に苦労はさせないわ。」
おい、新妻のつもりか。美人が言うと破壊力があるぞ。
「お客さんなんだから、俺が作るのに。」「いいえ、もう家族と言ってもいいと思うわ。」
いつから家族になったんだ。フルートとチェンバロは居候だ。
すると、フルートが起きてくる。
「なんだ、今日はチェンバロが料理をしているのか。食えるものを出せよ。」「はい、フルート様、簡単な手料理です。」
チェンバロは料理を手際よく並べていく。焼いたパン、ベーコンエッグ、サラダだ。ベーコンエッグは俺の好きな半熟になっている。
俺は食後、洗い物を手伝う。チェンバロが俺に言う。
「まるで夫婦の共同作業ですね。」「いや、結婚した覚えはないから。」
「でも、フルート様と結婚するでしょ。その時、私も第二夫人として結婚します。」「俺を犯罪者にするつもりか重婚は出来ないぞ。」
「大丈夫です。異世界なら、夫が何人も妻を持っていたり、妻が何人も夫を持っていたりしますから。」「俺はまだ高校生だ。結婚は早い。」
「待ちますよ。いつまでも。」
ヤバい。チェンバロも夷隅先生と同類だ。普段おとなしくしているため、目立たなかったのだ。
俺は、フルートとチェンバロに送り出されて登校する。まるで妻と子供に送り出されて仕事に行く夫のように・・・
俺が教室に入ると高志が来る。
「おはよう。久しぶりだな。」「おはよう。そうだな。ずうっと異世界にいたよ。」
「それで連絡が取れなかったのか。異世界召喚がなくなったから何かしたのかと思ってね。」「ああ、鮮血の魔女に異世界召喚をやめさせたんだ。言っていなかったな。」
「そういうことは、すぐに教えてくれよ。」「ごめん。」
弓里が俺に話しかけてくる。
「おはよう。」「おはよう。」
「雪島さんと谷垣君は大丈夫なの。」「分からないよ。俺は戦争を避けて他の国にいたんだ。」
「二人は戦争に加わっているの。」「聖女と勇者だからね。」
「どうして放っておくの。」「戦争に巻き込まれたくないし、雪島さんも谷垣も俺の言うことは聞いてくれないよ。」
「そうなの。」
弓里は冷たい目で俺を見て去っていく。弓里は仲間が危険にさらされていることが耐えられないのだろう。




