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第2話 夷隅ワールド

 俺たちはオカリナに挨拶をする。

 「世話になりました。部屋に異世界の入り口を作りましたから、10日後に帰ってきますね。」「10日も翼様と別れるのですか。寂しいですわ。」

 「会えなくなるわけではありませんから。」「最古の魔女殿、チェンバロ、翼様をよろしくお願いします。」

 「翼は我のものだから心配するな。」「将来の夫ですから全力で支えます。」

フルートとチェンバロの言葉にオカリナの笑顔がひきつる。俺たちは部屋に戻るとオカリナは見送りに来る。

 壁にかけた布をめくると黒い渦が現れる。オカリナは興味深そうに渦を見て何かブツブツ言っている。俺はオカリナに声をかける。

 「行ってきます。」「お帰りをお待ちしてます。」

俺たちは渦の中に入る。渦を出ると俺の部屋のクローゼットだ。

 するとスマホに着信音が鳴る。夷隅先生からだ。

 「萩原です。こんばんは。」「萩原君、夏休み中、私を無視していたでしょう。」

 「そんなことはしていませんよ。」「でも、電話がずっとつながらなかったわ。私を避けていたのね。」

 「異世界に言っていたのです。」「そう、新しい女が出来たのね。私やフルートちゃん、チェンバロさんじゃ満足できなくなったのね。」

 「何を言っているんですか。先生の思うようなことはありませんよ。」「分かったわ。新しい女と毎日、ティータイムを楽しんでいたのね。先生には分かるのですからね。」

うわ、合っている。夷隅先生はエスパーか、心を読んだのか。ここはごまかすぞ。

 「俺がそんなしゃれたことしませんよ。」「どうせ、どこかの国の王女様に気に入られたのでしょ。それでお茶に誘われたのだわ。」

この人、見ていたようなことを言うよ。怖いよ。

 「俺はそんなことしていません。」「本当なの。」

 「明日、夷隅先生に会うことを楽しみにしているんですよ。」「だめよ、萩原君、学校では節度を持って接してくれなくっちゃ。」

 「先生、俺はいつでも生徒として接してますよ。」「私と二人きりの時は来てくれていいのよ。夫婦になるんだから。」

どこへ行くんだ。夫婦っていつ決まったんだよ。だめだ、夷隅ワールドが展開されている。

 「俺はいつ、先生と婚約したのですか。」「嫌だわ、いつも情熱的じゃない。二人きりになるために魔法を使ったり、強引に腕を引いたりするくせに。」

だめだ。何を言っても通じない。俺は、フルートとチェンバロを見る。二人は俺から顔をそらす。だめだ、助けはないらしい。

 夷隅先生は、しばらく夷隅ワールドを展開して満足したのか。俺は電話から解放される。

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