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第1話 多層構造の魔法陣

 俺は毎日午後になるとオカリナとお茶を飲むことが日課となっていた。オカリナは俺から異世界の話を聞いていた。つまり、結婚の話から逃げていたのだ。

 「翼殿は夏休みと言うものが終わるため、明日から異世界に戻って学校に通うのだな。」「はい、そうです。」

 「我も学校へ行ってみたいが、公務があるので残念だ。」「学校を案内できればよかったのですが。」

とんでもない話だ。金髪碧眼の美少女なんか連れていたら、クラスメイト達に処刑されかねない。夷隅先生と遭遇しようものなら何が起こるかわからない。

 「ところで最古の魔女殿にこの城と翼殿の部屋をつなげてもらうように頼んでくれないか。」「なせですか。」

 「わかるであろう。翼殿がいつでも我に会えるようにするためだ。」「一応、フルートに聞いてみます。」

俺が部屋に戻るとフルートが嫌味を言う。

 「オカリナとの逢引きは楽しかったか。」「頭の痛いことだけど、金髪碧眼の美少女と二人きりになれるのは悪くないよ。」

俺はいつものように決まった言葉を返す。俺は断られることが前提でフルートに提案する。

 「この部屋と俺の部屋をつなげることはできないかな。」「オカリナは認めているのか。」

 「オカリナが言い出したんだ。」「ちょうどいい。帰らずの森にある家に異世界の入り口を放置しておくことが心配だったんだ。つなぎ直すことにしよう。」

 「簡単にできるの。」「まずは、帰らずの森にある家の異世界の入り口を解除する必要がある。行くぞ。」

フルートは杖で床をトンと叩くと魔法陣が浮かび上がる。俺、フルート、チェンバロは魔法陣に飛び込んで、帰らずの森にある家に飛ぶ。

 チェンバロはフルートの魔法が見ることが出来るとテンションが上がっている。フルートは、立てかけてある板にある黒い渦に手をかざす。すると魔法陣が浮かび上がり黒い渦が消える。

 チェンバロが興奮して言う。

 「これは、多層構造の魔法陣ではありませんか。こんな高度な魔法陣は見たことがありません。」「我のオリジナルだからな。」

フルートはない胸を張る。まあ、幼女だから仕方がない。フルートは俺たちに言う。

 「ここでの作業は終わったから部屋に戻るぞ。」「はい。」

俺は靴で床をトンと軽く鳴らして魔法陣を作りだす。俺たちは魔法陣に飛び込んで部屋へ転移する。部屋に戻るとフルートが言う。

 「さて、どこに異世界の入り口を作るかだが、分からないところがいいな。」「壁に作って布で覆い隠せばどうですか。」

チェンバロが提案する。俺はチェンバロに尋ねる。

 「壁と同じ色の布は手に入るかな。」「ええ、大丈夫ですよ。」

チェンバロは部屋を出ていく。そして、布を手に入れて帰って来る。俺はどうやって手に入れたのか聞かなかった。とても嫌な予感がしたのだ。

 フルートが壁に手をかざすと魔法陣が浮かび上がる。チェンバロが絶賛していた多層構造の魔法陣だ。壁が黒く染まっていき渦が出来る。

 「完成だ。その布で隠してくれ。」

チェンバロが布のふちを壁に押し付けると魔法の詠唱をする。

   本来の姿を現せ、その力を持って形を成せ ソイルウォール

 すると押し付けた布の部分が壁と同化する。ソイルウォールにこんな使い方があるとは考えもしていなかった。

 こうして、元の世界に戻る準備が終わる。

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