第5話 国境の町ベレン
勇者パーティと各騎士団は一人の犠牲もなく国境を突破する。ドゴール王国第五騎士団を第三騎士団が追うが逃げられてしまう。ドゴール王国第五騎士団の宿営地は火がかけられて、何も残っていなかった。
勇者パーティと各騎士団は隊列を組みなおすと国境に近い町ベレンを目指して進軍する。ベレンにはすでに第五騎士団が到着して、コルトバ王国軍が国境を越え向かってきていることを知らせている。
ベレンの領主が第五騎士団長に言う。
「ベレンは私の兵たちで守ります。騎士団はこのまま王都に向かってください。コルトバの侵略を知らせるのです。」「いえ、一緒にここで戦います。」
「それでは、王都への連絡が・・・」「大丈夫です。連絡役が次の町に向かっています。」
「一緒に戦っていただけるのですね。」「戦いますが、ベレンは放棄することになるでしょう。」
「門を守れば籠城が出来ます。救援の部隊も来るでしょう。」「相手は強力です。私はもっと国の奥まで侵攻させて補給を断ってつぶすつもりです。」
「私たちは避難をする時間を稼ぐのですね。」「そうです。ベレンには敵に渡す食料も資材も残してはなりません。」
「分かりました。すぐに手配をしましょう。」
領主は走り出し部下に指示を出す。第五騎士団長は騎士たちに命じて、空き家にトラップをしかけさせる。
ベレンの町には二つの門がある。一つは国境へ向かう西門ともう一つはその反対に位置する東門だ。第五騎士団長は両方の門から挟撃されることを恐れる。
そのためベレン周辺に物見の騎士を配置して、残った騎士の半分を東門に配備する。東門は脱出の生命線なのである。
第五騎士団長は、残った半分の騎士とベレンの兵で西門の守りにつく。配備が終わった頃、領主がやって来る。
「住人の避難は間もなく終わります。持ち運べない食料は広場に集めて火をかけます。」「分かりました。あなたも避難してください。」
「私は戦います。」「家族がいるでしょ。逃げ遅れますよ。」
「足手まといですか。」「我々は戦うふりをして退却します。戦いの機会はないでしょう。」
「分かりました。ご武運を祈っています。」
領主は去っていく。第五騎士団長は西門の騎士と兵たちに言う。
「西門は、時間稼ぎに守るだけでよい。ここで死ぬことは許さん。」「覚悟は出来ています。戦わせてください。」
「ならん。避難が終了次第退却する。」「俺は戦うぞ!」「ベレンを守れ!」
「黙れ。ベレンは敵に明け渡す。」「どうして戦わないのですか。」
「今は、コルトバに勢いがある。時を待つのだ。」「・・・・・」
「私もただでベレンを渡すわけではない。コルトバには代金を支払ってもらう。」「何言っているんだ。」「意味が分からん。」
騎士も兵士もざわつく。第五騎士団長は言い切る。
「退却後、第五騎士団は別行動をとる。」
騎士たちは口々に言う。
「団長には考えがあるんだ。」「逃げ続けるわけがない。」
騎士たちは騎士団長に期待する。




