第5話 城からの脱出
チェンバロはフルートの本物のステータスを見て怯える。今も手が震えて止まらない。
俺はチェンバロに話をする。
「異世界召喚が出来るのはドゴールの中でチェンバロだけだね。」「そうです。私が研究を重ねてできるようになったのです。」
「もう、異世界召喚はやめてくれないか。これは井上たちの希望でもあるんだ。」「彼らに会ったのですか。」
「井上たちはコルトバの王都で処刑されました。」「全員ですか。」
「いえ、井上、小塚と後は知らない人です。神谷と小室は戦いで死んだそうです。」「そうですか。生きていて欲しかった。」
「死に追いやったのはあなたではありませんか。」「はい、フロイス王には逆らえません。」
フルートがチェンバロの首を見ながら言う。
「お前の首に付けているのは契約の首輪だな。」「フロイス王を裏切れば首が落ちます。」
「外してやろう。」「この首輪は外れません。魔法の詠唱に反応します。」
「任せておけ。」
フルートは首輪を見て、展開されている魔術式を読み取る。そして、無詠唱で魔術式を無効化していく。そして、契約の首輪ははずれて落ちる。
「鮮血の魔女よ。これからどうする。首輪を外したからにはフロイス王の元にはいられないぞ。」「承知しています。これからはフルート様に付き従います。」
「お待ちなさい。チェンバロ。フロイス王には私からとりなしますから、考えを改めてください。」
いつの間にかエメリ宰相が部屋の出入口に立っていた。エメリは俺たちに言う。
「最古の魔女と弟子の方はおとなしく私に従ってください。相応の地位を約束しましょう。」「我を従えようというのか。愚か者め。」
「兵を呼んでいます。逃げられませんよ。」
騎士が二人部屋に入って来る。騎士がフルートに剣を向けた瞬間、騎士たちはいきなり倒れる。フルートは騎士たちの心臓を止めたのだ。
エメリは後ずさる。フルートは俺たちに言う。
「もうここには用はない。城を出るぞ。」「今からですか、出かける用意しますから少し待ってください。」
夷隅先生が状況を把握していないのか、のんびりしたことを言う。フルートは怒って俺に指示する。
「翼、そいつをどうにかしろ。」「先生、荷物はいりませんから、行きますよ。」
俺は夷隅先生とチェンバロの腕を掴む。
「萩原君、大胆ね。」
夷隅先生はマイペースだ。エメリが呼んだ兵士たちが到着する。エメリは兵士たちに命令する。
「その者たちを捕えよ。」「「「はっ」」」
次の瞬間、兵士たちはバタバタと倒れる。フルートがエメリに言う。
「お前も死にたいか。」「・・・・・」
エメリは冷や汗を流しながら後ろへ下がる。俺は足をトンと鳴らして転移魔法の魔法陣を描く。続けて、夷隅先生とチェンバロの腕を掴んだまま魔法陣に飛び込む。
フルートも続いて飛び込むと魔法陣は消える。
取り残されたエメリは騎士と兵士の死体の中で茫然と立ち尽くす。




