包囲網打開②
包囲網②です。まだこの包囲網の戦いが続きます。畿内の決着に向け、策の読み合いが続きます。
そして、朝倉攻めは、始まった。
羽柴様を筆頭に快進撃で金ケ崎を奪取。
しかし、浅井長政から文が、お市からも。
浅井長政の文には、父が本を捨てたと。短く。
お市は両方を縛った袋に小豆が入って居た。
つまりは、浅井長政は久政謀反(無本)と、お市様は袋のネズミと伝えてきた。
それを見た信長は、すぐに軍を立て直す。
「やはりか、勝蔵め、あやつの読みは正しいな。」
当たり前である。勝蔵は記憶を取り戻してから、ずっとこの対策をしてきた。朝倉攻めから始まる織田包囲網のである。いや、前世でも織田信長が好きで、かつ森家が好きなため何年も研究してきたのだ。その長さは伊達じゃない。長政にどうしたら裏切らせないか?を研究に研究を重ねてきた。
「勝蔵様の読み素晴らしく、ここはあの策にて」
「うむ。猿よ皆に伝えよ。文を長政に」
文には、「手筈通りに」とだけ書かれた。
それを受け取る前から長政は動いていた。
「長政、朝倉様とは旧交の中だ。信長が金ヶ崎まで攻めて、そこにおる。袋のネズミにしてやる。」
「父上、義兄上とは同盟しております。そして我らは将軍補佐代理です。将軍を認めない者を撃つのは栓なきこと。それにお市もいるし、その子も、さらにお腹の中にも一人。」
「そんなことは、どうでも良い。それに将軍は義昭様だ。義助などという者は偽物の将軍だ。本物が京に行き、義昭様が将軍になればわしらは本当の将軍補佐だ。」
「そんな夢想はありえません。現実を見てください。義昭めに将軍などありえません。こんな方法で京に行っても誰も認めませぬ。」
「そんなことはない。もういい、お前は城で待っておれ。清綱ついて参れ。」
赤尾清綱ら久政時代からの旧臣を連れ、織田勢を攻めていく。
それを見つめ、ため息をする長政。
(兄上の策にはまっているのも知らずに。)
「おい、文を。」小姓に行かせ。
「皆の者、侵攻の準備をせい。」
長政は義を通すことにした。手はず通りに。
朝倉義景と義昭、明智、細川ら。
「やっとだ。あの憎き信長の田舎侍を殺せるぞ。」
「そうですよ。義昭様、晴れて将軍様です。言ったでしょう。」
義景は義昭に誇らしげに言う。
「義昭様、さぁ勝ち戦を始めましょう。」
細川も乗る。
(戦も始まってないのに、この調子か、これが終わったら出て行こう。しかし、信長は簡単に策にはまった。焦ったか。それとも他に理由が。)
明智光秀は考え込んでいた。
(いや、あやつも、影で上手く立ち回った。バレているはずない。宇佐山も手はず通り。久政もあやつらが内密に呼応させた。)
裏で動いたのは、明智だ。
八面六臂の活躍だった。
明智の策は、
加賀本願寺から一向宗を借り、美濃側への退路と裏切りへの対策。
織田に朝倉を攻めさせ、朝倉で迎え撃つ。
そこを浅井が裏から攻める。
朽木を寝返りさせて、退路を潰し。
比叡山に六角を隠し、
宇佐山に六角と比叡山で進行して、森可成ら森家、特に長可を殺す。
三好に攻めさせ、
あやつらにも宇佐山を攻めさせる。
完璧に見えた。少なくとも歴史上はこれで、織田と徳川は死ぬ。
しかし、全てが長可の掌の上だった。
明智は気づいていない。
しかし、何となく長可が…だと気付いていた。
(できる限りの策を巡らせたが、それでも不安がある。
ここまで、森勝蔵長可のガキに全敗だ。
特に、本願寺の石山の潰しは、朝倉の腰の重さに助けられなかったのは痛かった。これが防げていれば、完璧だと思う。
いや、そもそもは本願寺が表に出て来るのはもう少し後だった。長島が早まったためだ。
やっぱり全ては森勝蔵長可か。)
「まぁ、今回は勝てるだろう。織田信長め、俺を裏切ったことを後悔して死ね」
明智は勝蔵を恨めしく思っていた。
織田信長は裏切っていない。必要ないから雇わなかっただけだ。
ここに織田vs第一次織田包囲網の最終決戦は幕を明けた。
そして、明智対勝蔵の知略戦も終わり、決着へ。
次から各地で戦です。
やっと本題に向け進みます。




