楽しいひと時
最初はくだらない話をしつつも、佐々木がボケて桜庭がツッコむといういつもの流れで場を盛り上げていた。
「桜庭君が最近彼女と別れた理由ってなんなの?」
橘が前川のベッドに座って訪ねた。
「浮気が原因でさ…。」
佐々木が神妙な面持ちで言う。
「お前嘘つくなよ!」
佐々木の嘘に桜庭がツッコんだ。
「いや、マジな話で俺今まで付き合った子って別に好きじゃなかったんだよね。そいでその子の場合なんか傷つけちゃいそうで…。だから別れた。」
桜庭が淡々と答えると橘は怪訝な顔をした。
「え?好きじゃないのに付き合うって事?最低じゃない?」
橘は桜庭の顔を直視した。
「うん…。最低かもね。でもわからないんだ。でもデートは楽しいし…。ただ好きかって聞かれると正直そうでもない。」
橘と真面目な話をしている桜庭の髪を前川が頭の天辺で結んでいた。
「うん!これで可愛いね。」
前川は話を聞いていないかのように話題を変えた。
「これ、見て!」
そう言うと前川は桜庭に鏡を渡した。
「ん?んーそれじゃ前髪も一緒に結んで。」
桜庭は鏡越しに前川を見ながら言う。
「りょうかい!」
前川はそう言うと桜庭の髪を上にかき集めて結んだ。
「どお?」
前川は前から桜庭の顔を覗き込む
「うんいい感じ!」
佐々木達は苦笑いしながらその様子を眺めていた。
今宮は普段見せる事のない桜庭がツボに入ったようで大笑いしてる。
「トイレ借りていい?」
前川に案内されトイレに立つと奥の部屋にドラムセットを見つけた。
「お!ドラムじゃん!見ていい?」
トイレから戻る桜庭が尋ねると前川は二つ返事でOKを出し、桜庭をドラムのある部屋に招き入れた。
今宮も興味があるようで付いてきた。
「お兄ちゃんのなんだー。」
前川は明るく答える。
「へーお兄ちゃんいるんだー。かっこいいね俺ドラム叩けないけど、ドラムやってる人かっこいいと思う。
」
桜庭が前川に向かって言う。
「ちょっと座っていい?」
今宮が前川に尋ねると前川は快くOKしスティックを今宮に渡す。
今宮が8ビートを叩き始めた。
「おー!かっこいいじゃん!」
前川が興奮気味に言うと今宮は照れくさそうにスティックを前川に返した。
そうしてそろそろ戻ろうかという雰囲気で前川の部屋に戻ると、佐々木と橘がベッドの上でくすぐり合っていた。
「えー、やらしい。佐々木彼女いるのにね。」
前川の顔からは嫌悪感が溢れていた。
「ねー、佐々木サイテー!」
と桜庭が茶化す。
「おにーちゃんは浮気しないもんね?」
前川が桜庭の方に向きなおって言った。
「当たり前じゃん!ってかお兄ちゃんって!」
桜庭が前川に突っ込んだ。
「でも好きでもない子と付き合うけどなぁ」
佐々木が冷やかすように言った。
桜庭はアチャーとおちゃらけたが前川は真面目な顔をしている。
「それは相手が悪いだけだもんね?浮気より百倍マシだよ!」
前川は桜庭を庇う。
佐々木は驚いた顔をしながら、戸惑っていた。
「まぁまぁ仲良くしようぜ。別に佐々木だって浮気してたわけじゃないよな?」
桜庭が諭すように言ってその場をおさめた。
夕方になったころ会話が止まる事はなかったが佐々木がゲームの提案をした。
「UNOで負けた二人が罰ゲームで一番に抜けた奴の言うこと聞いて演技することね。」
みんな「えー」とか「なんだよそのゲーム!」
とブーイングをあげるが、やることもないのでゲームが始まった。
最初に負けた二人は今宮と前川、一番に抜けたのは佐々木だった。
「はい二人ともベッドに座って。」
佐々木は前川の部屋にあったメガホンを持って指示を飛ばす。
「今宮前川の肩に手まわして!」
佐々木の指示に今宮がぎこちなく前川の肩に手を乗せ、それを見て笑う三人。
「前川眠くなってきたっていうセリフ!」
佐々木が熱のこもった演技指導をし、従う前川。
「はい今宮じゃあ寝ようかって言って!」
よくもまぁ思いつくもんだと桜庭は感心していた。
ベッドに横になる二人。
「今宮前川にエッチしようかって聞いて!」
「ちょい待ってそれマジ?」
今宮は起き上がって嫌そうな顔をしている。
それを見て笑う橘と桜庭。
「ほらはやく言わないと次のゲーム出来ないじゃんかよ!」
桜庭が今宮を促す。
「え、え、エッチしようか。」
今宮が精一杯の勇気を振り絞った一言だ。
「生理中だから無理!」
前川は素っ気なく即答した。
今宮は「あぁ…。はい。」
と気の抜けた安堵の言葉を出した。
あまりの即答と今宮のリアクションに一同大ウケ。
今宮の顔は真っ赤になっていた。
「はい終了!」
佐々木が言ってゲーム再開。
桜庭はなかなかUNOが強く負けなかった。
その間佐々木と橘、監督桜庭。
今宮、佐々木で監督前川など数ゲームをこなしていた。
「こいつに絶対罰ゲームさせる!」
佐々木が桜庭を指差し宣言。
桜庭は自分も演じてみたくなりわざと負けた。
相手は橘で監督は佐々木だ。




