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おやすみ、そしてありがとう  作者: ズーム
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出会い

冬休みも終わったというのに道路が溶けかけの雪せいで自転車に乗れないので桜庭は坪井達とバスで通学していた。

何も変わらず迎えた三学期。

久々に会う奴らも多い。


桜庭は佐々木と会うのも久々だった。

「ってかさー、俺尚美と別れてさー。」

桜庭はいつもの座り方になった。

「まぁお前にしては長持ちした方じゃない?でやったの?」

佐々木は無表情のまま桜庭が彼女と別れるたびに必ずそこを聞いてくる。

「いや、やらんかった…。言ったじゃん?処女だって。そいでぶっちゃけ好きか分からないって言って別れたんだけど、なんかすげー傷つけちまった…。だからよ、誰か紹介して。」

桜庭はいつも通りに最低な男を演じた。

「いやお前反省する気ねーじゃん。そんな奴に紹介出来ねーわ!」

佐々木は大笑いしながらも桜庭の気持ちはわかっていた。

二人だからこそ多くを言わなくても通じ合えているのだ。


二月も終りを迎えた頃、授業中に佐々木が小声で桜庭に話しかける。

「なぁめっちゃ面白いこと考えたんだけどさ、今宮に女紹介しようぜ。」

悪そうににやけていた。

「何も面白くねーよ。俺もネタ無いし、ってかお前そんなネタあるなら俺に紹介しろよ。」

桜庭は不機嫌な演技をした。

「いやいやよく考えろって。あの今宮が女の子にどうやって接するか見れるだけで面白いじゃん。ネタなら冬休み中に中学の同窓会あってさ、ちょうど最近彼氏と別れた奴いてさ、そいつ今宮に紹介しようと思って。」

佐々木の営業が始まった。

「確かに面白いかも…。でもマジで俺の分も用意しといてくれ。じゃねーと今宮に全部ゲロするぜ。」

桜庭も駆け引きを持ちかける。この時には桜庭も悪い顔になっていた。

「わかったって、なんとかするからさ。いやーでもマジ楽しみだな。ところでお前の前の彼女は?まだ連絡取ってるの?」

佐々木はサラリと交わすように話を変えた。

「ん?あぁ、毎日メール来るよ、俺が言い出した事だから向こうが諦めるまで付き合うさ。」

桜庭はあまり尚美の事を考えたくなかった。



今宮に女の子を紹介する計画は水面下で進行し雪解けが進んだ頃日にちが決まり決行の運びとなった。


そして決行日桜庭は佐々木と連絡を取り、どの駅で降りるかを聞き約束の時間を過ぎていた為、お土産に大量のお菓子を買い込み一人で現場の女の子の家に向かっていた。

電話をかけながら、言われた方向に向かって歩いていると家の前に一人の女の子が待っていた。

「お、ここねりょうかーい。」

桜庭が電話を切ると小柄で華奢なその女の子が話しかけてきた。

「初めまして。佐々木達中で待ってるからどうぞ。」

桜庭は「初めまして。」と挨拶をしたのち案内されるがままに女の子の家に入った。

階段を上り二階の女の子の部屋の扉が開くと今宮、佐々木と見知らぬ女の子がいた。

「おっせーよ、お前!」

佐々木が怒鳴りつける。

「わり、お菓子買ってきたから。」

桜庭は迎えに来てくれた女の子に袋を渡した。

「わーありがとう!狭いけどまぁ座って。」

迎えに来てくれた子が立ったまま座るよう促した。

桜庭がすわると佐々木が桜庭を紹介した。

「桜庭っていってこないだ彼女と別れたばかりの寂しい奴だから相手してやって。」

佐々木が桜庭を指差しながら言った後、迎えに来てくれた子に指を向けた。

「余計なこと言うな!」

桜庭は即座にツッコミを入れ場が少し和んだ。

「前川、俺の中学の同級生でこいつもこないだ彼氏と別れたばかり。」

佐々木は出迎えに来た子を指差す。

「前川由奈です。よろしくね。」

ぺこりと迎えに来てくれた前川が頭を下げた。

「そして…橘さんだっけ?」

佐々木が前川に聞いた。

「橘美香です。前川と高校の同級生です。」

橘が答えた。

前川と橘は学区内でも有数の進学校の同級生で、見た目は大人しそうだが二人とも整った顔立ちだった。


そうして今宮に彼女を作る会が始まった。

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