最低の終わり
夜ごはんを食べた後自分の部屋に戻った桜庭は携帯を取り出し尚美に電話をかけた。
「はいもしもし!」
尚美の声はいつも通り明るい。
「尚美ごめん。今日高崎の彼女から電話あってさ…。」
桜庭は深妙に話し始めた。
「え?あ!うん気にしないで、私大丈夫だから。浮気しないって信じてるし…。ごめんね疑うようなことになって…。」
段々尚美の声が感情を抑えてる話し方になってきた。
「あ、それはうん…。もういいんだけど、尚美に話さなきゃいけないことがあって…。」
桜庭は大きな罪悪感を感じながら話を続けた。
言いにくい気持ちが桜庭を黙らせる。
少しの沈黙が訪れたのち桜庭は息を吸う。
「俺ね正直尚美のこと好きかどうかわからないんだ…。このまま付き合っても尚美のこと傷つける一方になりそうで…。だから勝手でごめん!別れて欲しいんだ…。」
桜庭は言い終えると大きく息を吐いた。
しばらくの沈黙が続いた。
時間にして言えば10秒くらいだったかもしれないが桜庭にとっては数分に感じられるくらいの重い時間だった。
「うん…。良いよ。仕方ないもんね…。ごめんね、色々無理させちゃって…。」
尚美は元気は無いが普通の喋り方で続けた。
「でもね。私祐介と付き合ってすごい幸せだったの。もう本当に大好きで…。別れてもメールとか連絡してもいい?」
桜庭には尚美が無理してるのが分かった。
「うん…。ごめんな……。連絡はいつでもくれていいよ。これからも友達として付き合っていこう。な?」
桜庭は罪悪感からこんな事を言ってしまった。
「本当に?ありがとう…。やっぱり祐介優しいね。優しくされたらずっと好きなままじゃん…。好きでいてもいい?」
尚美は自分でもどうしていいかわからなくなっていた。
「それは良いけど、期待はしないでね。」
桜庭は申し訳無い気持ちでいっぱいだった。
「あ、そだよね。もっといい彼氏見つけれるように頑張らなきゃだね。」
尚美が前向きになった事に桜庭はホッとして普段通りの話をして電話を切った。
桜庭はなんの疑いもなく、眠りについた。
次の日桜庭は高崎の家に遊びに行った。
「なぁ昨日電話で聞いたんだけどさ、相当ヤバかったらしいよ。」
ふいに高崎が切り出した。
「え?何が?」
桜庭は尚美の事だろうとは思った。
「いや実はさ〜、今朝彼女から電話あってさ尚美がずっと泣いてて、彼女が付き添ってたみたいなんだけど、俺の彼女もお前に電話した立場じゃん?だから自分のせいでお前らの関係壊したんじゃないかとかさ。」
高崎は面倒そうに後頭部をかきむしりながら話していた。
「あぁ、悪いな。お前の彼女も巻き込んじゃって。まぁ悪いのは俺だ。悪いのはわかっていても悪者になれなかったのも俺の責任だ。彼女には言っといてくれ、悪いのは俺だって。」
桜庭は高崎に頭を下げた。
「別に気にすることじゃねーよ。ただお前尚美と友達でいるって逆に尚美辛いんじゃねーの?」
桜庭はその場を丸く収めようと尚美に言った事を後悔していた。
「まぁ時間が解決するでしょ。」
桜庭は無理して笑った。
こうして冬休みは終りを告げた。




