奪った初めてのキス
そうして高崎の家で遊んだあと、電車じゃないと帰れない距離に住んでる高崎の彼女と尚美を送るため雪の道を高崎の隣に高崎の彼女、その二人の後ろを桜庭と尚美が付いていく形になった。
普段なら五人くらいが並んで歩けるような道も、すっかり積もった雪が除雪によって歩道の両サイドに高く積まれ、二人が並んで歩くのにやっとな幅になっていた。
前を歩く高崎と高崎の彼女が何度も振り返ってニヤニヤする。
尚美は照れくさそうにしながらにやけていた。
「お前らいい加減にしろ!」
桜庭はそう言いながら高崎に雪玉を投げつけた。
「なんで俺なんだよ。」
高崎は嬉しそうに雪玉を作って桜庭に投げつけ、桜庭は身を庇うような仕草をした。
「二人は手繋がないの?」
高崎の彼女が普通に聞いてきた。
「ん?あぁ。そうだな。」
桜庭はそう言うと尚美の手を取った。
尚美の手は温かった。
駅に付き切符を買ってる尚美に高崎の彼女が何やら耳打ちしてる。
改札を通った後柵越しに尚美が鞄から袋包みを取り出し桜庭に渡した。
「はい。」
桜庭に渡した袋包みのなかにはクッキーが見えた。
「ありがと。」
桜庭がそう言うと尚美は照れくさそうに下を向いている。
「ん?どうした?」
桜庭が下から覗き込むように尚美の顔を見る。
「最後にもう一回チューしよ!」
顔を赤くしながら言う尚美を見た桜庭は照れ笑いを浮かべた。
「そうだな、今度は俺からね。」
そういうと尚美の顎に指をかけ軽くキスをした。
その様子を高崎達はニヤニヤしながら見てる。
「そいじゃあまたね。」
二人が階段を降りていく姿を見送り、高崎の家に戻る二人。
「なぁお前らいい感じなんじゃん。」
高崎が桜庭に問いかけると桜庭は眉間にシワを寄せた。
「あー、なんか罪悪感だな。」
桜庭は低いテンションで答えた。
「なんで?このままいい感じにやっちゃえば良いじゃん?」
高崎は不思議そうな顔をしている。
「だって俺別に尚美の事好きじゃねーもん。今までは別に処女でもなかったから負い目なんて感じねーけど、流石になー。」
桜庭はため息をついた。
「別に初体験なんて気にするほどでもないんじゃね?でもさー、このままだと尚美のも辛いんじゃね?遅かれ早かれハッキリさせとけよ。」
高崎は強い口調で桜庭に言った。
そして雪解けが来るまで桜庭は尚美と会うことを控え、それまで頻繁にしていたメールも減らした。
雪解けが進み辛うじて自転車に乗れるくらいに地面が出ている道を桜庭が歩いていると高崎の彼女から電話があった。
「はいもしもし。」
桜庭が高めのテンションで電話をとった。
「あ、あたしだけど。ちょっと聞きたいことあるんだけど。」
やけに強い口調で桜庭に問いかける高崎の彼女。
「ん?何々?」
桜庭は動じることなく答える。
「あんた浮気してるでしょ?尚美から聞いたけど、最近連絡もほとんど無いし、あたしも前浮気されてたときそんな感じだったからわかるんだけど。」
高崎の彼女の口調が強まり桜庭を責める。
「は?してねーし。ってかなんでお前にあんたとか言われなきゃいけないの?」
桜庭はそんな高崎の彼女にイラついた事もあり面倒そうな口調で答えた。
「いや、尚美が言うから…」
ちょっとたじろぎながら高崎の彼女が答える。
「そんなん関係ないって。俺は浮気してねーし。第一これって俺と尚美の問題だろ?」
桜庭は口調を緩めることなく高崎の彼女に噛みつく。
「いや、だって私尚美の友達だし…。だったら尚美の気持ちも考えてあげてよ…。」
高崎の彼女の口調はだいぶ弱まっていた。
「友達だろうが関係ねーって。なんで俺がお前に怒られなきゃいけねーの?そんな言い方される筋合いねーんだけど。」
桜庭はキレていた。
「うん…ごめんなさい…。」
電話の向こうで泣いてるのが分かったが、桜庭は気にする様子もない。
「メンドクセーな。尚美のことは俺がちゃんと尚美に話すから心配すんな。な?」
桜庭は口調を変え諭すように言った。
「う…ん。おね…ヒッ…がい…」
完全に泣いてる高崎の彼女を無視して桜庭は電話を切った。
その後桜庭は高崎に電話をし彼女を泣かした事を謝った。
「ん?別に良いよ。わりーなお前にも嫌な思いさせて。」
高崎は軽く答えた。
桜庭はその日のうちに尚美に電話をした。




