表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/35

由奈の希望

真奈美とはそれ以後何もなく、音楽の話だけではなく普通の友達のような関係が続いた。

桜庭は何処かで真奈美を好きになっていることを自覚しつつも、それを伝えることもなく真奈美とのデートを重ねる。

真奈美は同じ学校の男友達とも遊んでいるようで、桜庭はにわかに嫉妬を感じていた。


そんな桜庭が大学の友達数人と海にいるとき真奈美から着信が入る。


「はいもしもし〜」

桜庭が明るくでる。

「あ、もしもし〜。あれ?今大丈夫だった?」

真奈美が気を使っている裏では女の子の声もする。

「大丈夫だよ〜。今友達と海来てた〜。どうした?」

「あ、ごめんね。明日なんだけどさ、ちょっと友達のお店に行こうと思ってて、祐介の家の近くだから行く前に寄っていっても良いかなぁって思って。」

真奈美は動じることなくいつもの調子だ。

「えー、祐介誰と電話してるのー?もしかしてこれ?」

祐介に大学の友達の女の子が小指を立てながら聞いている。

祐介は、苛立った顔をしながら、手であっちに行けと指示をする。

「あー、良いよー。何時くらいに来る?ってかうちの場所わかる?」

桜庭は声に出さず真奈美との会話を続ける。

「多分大丈夫だと思う。明日学校終わってからだから四時くらいに行くと思う〜。ごめんね、遊んでるところ。」

真奈美は他の女の子の声を全く気にとめる様子もなく淡々と話した。

「OKじゃあ待ってるわ〜。じゃあねー。」

そう言い電話を切った。

友達達がニヤニヤしながら桜庭を見ているが、桜庭は照れながら女の子に向かって走っていった。

「人が電話してる時に邪魔すんじゃねーーーー!」

そう言うと女の子を持ち上げ、海に放り投げた。


次の日桜庭の家に真奈美が訪れた。

由奈が来た時と何も変わらない部屋だ。

真奈美はお土産にケーキを買ってきた。

「お母さんアップルパイ好きだって言ってたよね?」

そう言うと桜庭の母の所へ行き、少し笑い話をして戻ってきた。


桜庭と真奈美はソファに腰掛けた。

「暇だし映画でも観るかー。」

桜庭がそう言い立ち上がると、真奈美が机の上にある写真に気付いた。


「へ〜。これが前言ってた子?」

真奈美が歩み寄りながら写真に顔を近づける。

「そう…。」

桜庭の顔が曇る。

「いい子そうなのにね〜。」

真奈美は写真の文字を見てクスリと笑った。

「いい子だったよ。最高に好きな子だった…。初めて人を好きになるってことを知った相手…。」

桜庭は机の椅子に座りながら言う。

「未練あるね〜。おねぇさんが手伝ってあげようか?」

真奈美はニヤニヤしながら言った。

「もう、いないんだ…。死んじゃった…。」

桜庭は真奈美を直視して言った。

「え!?本当に!?」

真奈美は驚きを隠せない。

「うん…。今年の年始に病気で亡くなった…。」

桜庭は淡々と続けた。

「そっか…。ごめんね…。」

真奈美は申し訳なさそうに俯く。

「ううん、言ってなかったし。ってかあまり言いたくなかったし。でももう大丈夫。忘れることは出来ないけど、俺の中では吹っ切れてるからね。」

桜庭はいつもの口調に戻した。

「本当に?」

真奈美は上目使いで桜庭に尋ねる。

「前約束したって言ったじゃん?絶対次の彼女大事にするって。」

そこから桜庭はソファに戻り以前の自分がどんだけ適当に女の子と付き合ってきたか、そして由奈とどんな事があったかを真奈美に説明した。

「そうなんだ…。ツラいね。」

真奈美のテンションは最低に落ちていた。


「ケーキでも食べようか!」

桜庭はいつもの口調で言うと、映画のDVDを再生した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ