手紙
家に帰ると桜庭は大きなため息をつき、ソファに腰掛けた。
着替えようとした時ポケットの中の手紙を思い出した。
上着をハンガーにかけ、ソファに座り封筒開くと数枚の便箋。
桜庭は一度大きく息を吸って上を向いてはいた。
「〜大好きな祐介へ〜
この手紙を読む頃には私はもういないのかな?祐介と出会って一年も経ってないのに、もう何年も付き合ってるみたいだね。
出会ったあの頃は私のわがままで祐介を傷つけてごめんね。祐介は気にするなって言ってくれたけど、私には忘れられない失敗だったかな。」
「そしてそんな時友達から祐介とメールしてあげてって言われて、
ホント最初は困っちゃったけど、祐介の優しさはズルイよ!私に怒ってるはずなのに、どうしてこの人こんなに優しいんだろうって…。
あ、そうそう!学祭のステージの祐介カッコよかったよ。人気者だよね祐介。
みんなが祐介の為に何かしようとしてたり、私とは大違いだよね。どうしてこんな人が私なんかの事を好きになったのかなっていつも思っちゃったよ。」
「そして坪井達と旅行行ったね。
ホント修学旅行より楽しかった!
海も行きたかったなー。泳げない祐介に泳ぎ方教えてあげたかった…。
私あの時思ったんだ。
この人とならどんなことがあっても、越えられるんじゃないかなって思ったの。」
「だけどごめんね。
どうしても越えられないものってあるんだね…。
祐介の事、こんなに好きなのに…。
もっと一緒にいたいのに…。
私がバカだったから全然一緒にいれなかったね…。
でも祐介約束したよね?
どんな事でも付き合ったら乗り越えるって!
約束守ってよ!絶対幸せになってよ!
私見てるからね!」
「お願いがあります。
私と別れて下さい!
指輪も外して下さい!
そうじゃないと祐介いつまでも指輪つけてるでしょ?
そんなんじゃ幸せになれないから、別れて下さい。
いつまでも引きずってる男なんて私嫌いだからね。
この手紙も大切にしまわないで、捨てちゃって下さい。
お願いします。」
「祐介今まで本当にありがとう。病室に来てくれた祐介の顔見るといつも辛くなっちゃった。
ずっと我慢して、ずっと明るくして、わがまま言っても答えてくれて、優しく抱きしめてくれて、涙こらえて、祐介隠すの下手だよ。
でもありがとう。祐介いなかったら多分一人のまんまさようならだった。
病室でなんの希望も持てなかった。」
「祐介が来てくれるから、毎日頑張れた。
涙こらえて祐介が笑ってくれるから、頑張れた。
もう泣いていいよ。好きなだけ泣いていいよ。
いっぱい泣いたら、気持ち楽になるでしょ?
そして未来を見て。いつまでも私がいる過去なんて見ないで。」
「祐介…。
ずっと愛しています。
そしてたくさんの愛をありがとう。
祐介に愛をもらいすぎて、お腹いっぱいで眠くなっちゃった。
だから私もう寝るね。
祐介はまだ寝ちゃダメだよ。
辛くなったら写真を見てね。
じゃあね、おやすみ、バイバイ。」
桜庭は何度も読み直しては声を出して泣いた。
手紙をしまうために封筒を開くと、開けた時には気づかなかったが、一枚の写真が入っていた。
坪井達と旅行で撮った写真だ。
坪井と楠は完全に見切れていて、桜庭と由奈が満面の笑みで写っていた。
そしてその二人をポスターカラーで描かれたハートが囲んでいた。
下の方に由奈の字で「頑張れ!男だろ!」
そう描かれていた。
桜庭はフォトフレームにその写真をしまい机に飾った。




