入院
二学期が始まっても桜庭はテンションが高い。
そんな桜庭に佐々木が話しかける。
「さては、彼女できたな?」
ニヤリと笑って桜庭を見る佐々木。
「まぁな。由奈と付き合うことになった。」
桜庭はドヤ顔を佐々木に向けた。
「マジか!逆転ホームランか!」
佐々木は本当に驚いていた。
「いや、正式にはまだ付き合ってない。二人の問題を解決してから付き合う事になってる。」
桜庭のテンションは落ちない。
「あぁ元カノの事とか?」
佐々木は普通のテンションになっている。
「まぁそれもそうだし、色々な。」
それからの日々は、桜庭にとって幸せな日々だった。
唯一気が重かったのが尚美との問題だが、事情を説明すると尚美は理解してくれた。
そして今気になってる人がいる事も桜庭に話すと、それから二人が連絡を取ることはなくなった。
時間が過ぎても由奈に対する気持ちは褪せることなく、でも最初の頃のように暴走するような事もなく、桜庭は落ち着いていた。
二人で遊ぶ機会も増えた。
そんなある日由奈からメールが届く。
「隠しても仕方ないから言うね。私入院するかも。退院したら正式に付き合おう!」
桜庭は由奈が心配になった。
「入院って大丈夫?前の病気?何処に入院するの?質問ばっかでごめん。」
桜庭が送ったメールにすぐ返事が来る。
「小さい頃の病気とは関係ないよ〜。多分冬休みくらいまで入院かもね。◯◯病院だよ〜。お見舞い来てね。」
「結構長いね〜。お見舞い行く行く!」
桜庭は心配だったが、由奈が軽いノリだったので安心した。
そうして由奈とメールをして病室を聞いた上で、お見舞いに行った。
ベッドを起こした状態で漫画を読んでる由奈がいた。「久しぶり!」
「おー!来てくれたんだね〜。ありがとう!」
桜庭は椅子に座った。
「はい。」
桜庭はケーキの箱を由奈に渡す。
「わーい!ケーキだ!祐介も食べるでしょ?」
由奈が起き上がる。
「大丈夫なの?なんの病気?」
桜庭は心配そうな顔でケーキの準備をする。
「なんかね。数値が高いんだって。」
「なんの?」
「わからない。」
「そんな重い病気なの?」
桜庭が由奈に問いかけると由奈は黙り込んだ。
しばらくの沈黙の後由奈が口を開いた。
「うん…。手術するかもしれない…。」
「そっか…。手術すれば治るんでしょ?」
由奈は再び黙り込む。
桜庭は喉を締め付けられるような痛みに耐え由奈の答えを待っていた。
「わからない…。」
桜庭は限界を迎えてしまった。
涙が溢れて何も見えない。
「頑張るから…。だから泣かないで…。私祐介を悲しませてばっかりだね…。」
桜庭の涙は止まらない。顔は鼻水や涙でぐしゃぐしゃになっていた。
「こっちにおいで。」
由奈はベッドをポンポン叩き桜庭を招く。
素直に応じる桜庭にティッシュを渡した。
桜庭は顔を拭くが涙は止まらない。
由奈はそんな桜庭を優しく自分の方に引き寄せ抱きしめると、桜庭の頭を撫でた。
「ごめんね。頑張るから…。ごめんね…。」
由奈の感情も限界を迎えた。
数分後桜庭は落ち着きを取り戻した。
二人してグスグス鼻をすすっていた。
「由奈…。絶対元気になれよ!それまで俺待ってるから。絶対側にいるから!」
由奈はまた泣きはじめてしまった。
今度は桜庭が由奈を抱きしめる。
「やっと男らしいところ見せてくれたね。」
鼻声で桜庭の胸の中からくぐもった声で由奈が言う。
「どんなことがあっても由奈を大事にしゅるから!」
桜庭が噛んだ。
由奈が肩をヒクつかせて顔を上げた。
「大事なところで噛んじゃったね。」
由奈はニコッと笑った。
「ごめん。」
桜庭が謝ると由奈は笑いながら首を横に振った。
「私も頑張るよ〜!ケーキ食べよ!」
それから毎日桜庭は放課後に由奈の病室を訪れた。




