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恋人まであと少し

あたりを夕陽が包む頃、桜庭は坪井達の方に戻った。


「おい!お前の出番だ。バーベキュー第二段だ!」

火起こしに手間取っている坪井が桜庭を見つけるなり呼びこんだ。

坪井は気にするなと桜庭に目線を送った。

「しゃーねーな。俺がいないと火も起こせないのかよ。」

桜庭は照れるように炭の配置などを変え、すぐに火を起こした。

桜庭は由奈を見ることが出来なかった。すると由奈から桜庭に近寄ってきた。


「ごめんね!」

背の高い桜庭の肩につかまり、耳打ちした。

桜庭は照れるように由奈に笑顔を向けた。

「何してんだよさっさと肉準備しろお前ら!」

にやけて桜庭の方を見る二人を桜庭は怒鳴りつけた。

焦るようにクーラーボックスを開ける二人。


一通り食べ終えるとバーベキューコンロをペンションに戻し、花火を取ってきた。


四人でワイワイやっていると「ねーねー。二人だけにしてあげようよ。」

楠が坪井に言うと坪井を引っ張って何処かへ行ってしまった。


顔を見合わせ照れる二人。

「高校生活最後の夏休みかぁ…。」

由奈が手持ち花火に火をつけながら言う。

「最後だな…。でもこうやって思い出作れたからいいかな。良いことも悪いことも、振り返った時笑えたらいいんじゃないかな。」

「そうだねー。桜庭君ちょっといいかな?」

由奈が辛そうな顔をする。

「今すぐじゃないけど、私と付き合って下さい。」

由奈は頭を下げる。

桜庭は驚いた。こんな展開あるのかと。

「今じゃないってどういう事?」

桜庭は首を傾げた。

「今すぐ付き合っても壊れそう。二人とも喧嘩して最悪な別れ方しそう。だから、ちょっと時間が欲しいの。」

桜庭はさっきの自分の事もあり納得してしまった。

「えー、じゃあ俺フリーのまんま?違う子に言い寄られたらどうしたらいい?」

「絶対断って!私が予約してるんだもん!」

由奈はほっぺたを膨らませる。


「それと、元カノの事なんだけど…。」

由奈が言いにくそうにする。

「うん?」

「もう連絡とらないで欲しいの…。お願い。」

申し訳なさそうに頭を下げる由奈。

「あぁそうだな、それはちょっと時間ちょうだい。」

桜庭がそう言うと由奈は頷いた。

「じゃあよろしくお願いします!」

由奈が両手を差し出した。

「こちらこそ!」

桜庭が由奈の手をとる。

由奈が顔を上げ何処かを見上げる。

「あれ?」

由奈が不思議そうな顔をする。

「おーい!」

由奈が声を上げ手をふった。

次の瞬間シューッと小さな打ち上げ花火が上がった。


「グダグダだなぁ…。」

桜庭は笑いながら言うと両手広げた。

「おいで!」

桜庭の胸に飛び込む由奈。

由奈を下ろし見つめると由奈にキスをしようとする桜庭。

咄嗟に指を挟む由奈。

「え?」

桜庭が驚くと由奈は笑う。

「まだ付き合ってないからね。我慢我慢!」

由奈がおどけるように言う。

「えーーーー!キスもダメー?」

桜庭はガックリ肩を落とす。

いつの間にかそんな様子を坪井達は離れた位置でニヤつきながら見ていた。


温泉に入った後部屋に戻り明日の出発の準備を済ませ、テレビもつけずそれぞれのベッドに座った。

「お前ら今日はヤるなよ!」

ベッドに横になった坪井が言う。

「やってないよ〜!一緒に寝ただけだもんね?」

「マジでやってないし!」

桜庭と由奈が即否定する。

「本当に〜?怪しぃ〜!」

楠が茶化す。

「じゃあ今日ヤるなよ!」

坪井がそう言うと全員が笑った。

「えーマジでー!」

桜庭がノリで答えるとまた全員が笑った。

「一緒に寝るのもダメ?」

由奈が坪井に聞いた。

「それは…。許す!」

「いいんかい!」

坪井の回答に楠が突っ込む。

「やったー!」

そう言うと由奈は桜庭のベッドに入った。

「はぁーはぁー!」

「あんあん!」

桜庭と由奈が布団に入りガサガサ動く。

「だからヤるなって!さすがに気まずいわ。」

坪井がツッコミを入れた。

「あはははは!」

全員が笑い桜庭は布団をから起き上がった。

「そうだ!忘れてた!記念写真!」

坪井が起き上がった。

「今やることかよ!」

桜庭が突っ込む。

「今やらなかったら忘れるじゃん!」

そう言うと使い捨てカメラを取り出した。

「お前ら真ん中来い!」

坪井が桜庭と由奈を真ん中に据えて坪井と楠で挟む形で写真を撮った。


「じゃあおやすみ。写真できたらみんなに渡すな。」

そう言うと坪井は電気を消しベッドに入った。


そこから桜庭が怖い話をすると、坪井が本気でビビっていたり、二時過ぎまでベッドで話し続けた。

「よし!寝るか!」

桜庭がそう言うと坪井もおとなしくなった。

楠はすでに寝ていた。


「じゃあ。おやすみ。」

囁き声でそう言うと由奈は桜庭のほっぺにキスをした。

「うんおやすみ。」

桜庭はそう返すと由奈の唇にキスをした。

「こぉらー。」

由奈が桜庭をコツンと叩く。

「お前らうるせぇよ!本当にもう!」

坪井が笑いながら切れた。


そうして帰る日の朝を迎えた。

帰りの電車は四人とも言葉少なく、坪井はたくさん写真を撮っていた。


由奈は途中で寝てしまい、楠は窓の外をボーっと眺めている。


桜庭は帰りたくない気持ちでいっぱいだった。


そうして到着した二日前に集合した駅。

桜庭と坪井は由奈と楠を見送るとそれぞれの自宅に帰った。

帰りの電車で桜庭は河原での事を坪井に謝った。

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