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不協和音

「誰だったの?」

楠が何も知らずに尋ねる。

「元カノ…。」

桜庭は焦って答えた。

また尚美からの着信が入る。

「出てあげなよ。なんかあったかもしれないじゃん。」

由奈は心配そうに出ることを促す。


「ちょっとごめんね。」

桜庭はそう言うと立ち上がり電話に出た。

「はいもしもし。」

桜庭は遠ざかるように歩き由奈達を気にする。

「…。」

尚美は何も言わない。

「どうした?」

桜庭は焦るように聞く。

「会いたい…。今から会えないかな…?」

尚美はか細い声で言う。

「ごめん、今友達と泊まりで遊びに来ててさ。なんかあったの?」

桜庭は平静を装って話す。

「そっか…。ごめんね楽しんでるところ邪魔しちゃって。」

いつもの尚美とは思えないくらい元気がない。

桜庭はしゃがみ込んだ。

「どうした?元気ないじゃん。なんかあったのか?」

「ううん、何もないけどもう友達でいるってことが辛い…。」

尚美の言葉に桜庭はため息をついた。

「ごめんね。でも私祐介じゃないとダメなの。」

「そんなこと言ったって…。」

桜庭は電話を切りたくて仕方がなかったが言葉が出てこない。

「わかってるよ…。」

尚美がそう言うとしばらくの間電話越しに沈黙が続く。

「ごめんね、せっかく遊んでるのに。帰ってきたら会えないかな?」

尚美がため息をつき少し元気を取り戻したように言う。

「それは…。出来ないな。」

桜庭は相手を傷つけることを承知で言った。

「どうして?」

尚美が泣きそうな声で言う。

「俺と会ってどうする?いつまでこんな関係続ける?尚美はいつまで俺に縛られてる?俺が言ったことだけど、お互いのためになんないじゃん。」

「………。」

電話越しに泣いているのがわかる。

「ごめんな。尚美にも前向いて欲しいよ。だから俺もう尚美と会わないから。」

桜庭は淡々とした口調で続ける。

しばらく沈黙した後に尚美が震える声で口を開く。

「わかった…。でもメールはいい?」

尚美が泣きながら言う。

坪井もいつの間にか起きて由奈達と会話をしながらこっちを見ている。

「あぁ良いよ。ただ返さないこともあるかも知れない。」

桜庭は突き放すように言った。

「うん…。わかった。」

尚美はか弱い声で答えた。

「じゃあ切るよ。元気出せよ。」

そう言うと桜庭は電話を切った。


由奈の顔は平静を装っていたが不機嫌なのが桜庭にはわかった。

「モテる男は違うね〜。」

楠が場を盛り上げようとしている。

坪井は複雑な顔をしている。


「大丈夫?」

由奈が心配そうに聞く。桜庭は頷く。

楠と坪井は気まずさに耐え切れず釣りに行くと言い何処かへ行ってしまった。


まだ燻ってる炭火を前に座り込む二人。

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