河原
朝桜庭が目を覚ますと由奈はまだ眠っていて桜庭の横にいた。
楠と坪井は起きてるようで話し声が聞こえる。
桜庭の目と坪井の目が合う。
坪井は笑い声をださないように腕に顔を伏せた。
「おい起きるぞ!」
坪井が桜庭に言った。
「ずいぶんお熱いようで。」
楠のニヤついた声が聞こえる。
「今何時?」
桜庭はとりあえず時間を聞き起き上がろうとすると、由奈の頭が腕に乗っかっている事に気付き体を戻す。
「まだ六時半だよ。」
楠が答えた。
「んー、じゃあもうちょい良いじゃん。」
桜庭が動いていると由奈がモゾモゾ動き出した。
坪井はやれやれといった仕草をしている。
桜庭がまた目を閉じるといきなりバサーっと布団がめくられた。
由奈に配慮してか、控えめにめくっていた。
「まだ良いじゃんかよ〜。」
桜庭が笑いながら言う。
「風呂入って飯食うんだから、もう起きろよ!」
坪井も笑っている。
周りがうるさく由奈が目を覚ます。
桜庭が顔を由奈に向けると由奈と目が合った。
「おはよ。」
かすれるくらい小さな声で由奈が言う。
「おはよう。」
桜庭は笑顔で答えた。
由奈はギューっと桜庭に抱きついた。
「もう付き合ってらんねーよー。俺は知らん!」
そう言うと坪井は風呂の準備をしていた。
「ってか二人とも仲よすぎぃ」
楠が羨ましそうにこっちを見ている。
「起きよっか?」
桜庭の問いに由奈は頷き桜庭は腕を抜いて起き上がり風呂の準備をして、なんだかんだ部屋で待っていた坪井と一緒に部屋を出た。
「お前らこんな環境でヤるなよぉ。」
坪井が笑っている。
「いやマジでヤってねーから。由奈が俺のベッドに来て一緒に寝ただけだって。」
桜庭は半笑いで答えた。
「まー別にいいんだけど〜。」
坪井はニヤニヤしていたので桜庭は坪井のケツに軽く蹴りを入れた。
「なんだよ〜」
坪井が笑う。
「ふー。お前ケジメくらいつけろよ。」
坪井が湯船につかりながら言う。
「マジで何もしてねーからケジメも何もないし。」
桜庭は半笑いで答えるが、坪井は真顔のままだ。
「そうじゃなくて、あんな二人が付き合ってないっておかしいでしょ。ここで怖がってたらお前じゃないだろ。」
坪井は桜庭から目を離さない。
「そうだなー。今晩決めるか…。」
桜庭はボンヤリと答えると坪井は少しニヤけた。
それから四人は朝食を済ませると、荷物を分担して持ち河原を歩いた。由奈や楠はヒールのあるサンダルだったので、途中バランスを崩しながら歩くが桜庭も坪井も両手がふさがっていたため、手を取ることが出来なかった。
「ここにしようぜ」
橋の下に陣取る事にした。
ある程度設営が終わると、バーベキューセットの他に釣竿があることに気付き、釣りをすることになった。
由奈と桜庭が一緒に行動する。桜庭は由奈の仕掛けを作ってやり餌を付けてやってアドバイスをする。
「上から流すようにしてあげて、魚って流れに向かって泳ぐから、自分より上流に糸を垂らしてあげれば良いんだよ。」
そんな様子を坪井と楠は眺めていた。
小ぶりな魚が何匹か釣れてキャッチアンドリリースを繰り返してるうちに昼になり、バーベキューの準備をすることになった。
あっという間に火を起こし女子を驚かす桜庭。
相当ドヤ顔してたらしく坪井に突っ込まれる。
それを見て笑う楠と由奈。
バーベキューも終わり、桜庭は携帯をクーラーボックスの上に置き横になった。
坪井はもう寝ていた。
楠と由奈が話をしていると桜庭の携帯が、バイブ振動していた。
由奈が持ち上げ桜庭に渡す。
「はい!」
「ありがとう。」
由奈の見る前で桜庭が携帯を開くと尚美の名前があった。
桜庭はバツが悪そうに携帯を閉じた。
「出なくていいの?」
由奈は不安そうに聞く。
「あぁ大丈夫。」
そう言うが場の空気は変わってしまった。




