気まずさ
当日を迎えるが、桜庭は前日まで風邪をひいていて、その日も熱が下がらず38度以上の熱が出ていて学校を休んでいた。
桜庭は栄養ドリンクを買い病院からもらった薬を飲み、自分の部屋のソファで横になりながらその時を待っていた。
由奈から駅に着いたとの連絡が入り桜庭が駅まで迎えに行く。
桜庭は楠がまだ来ないので、由奈を先に部屋に通すことになった。
「えー広〜い。」
由奈は驚いていた。
桜庭の部屋は実家のマンションだが10条くらいの洋室でソファ、32インチテレビ、小型冷蔵庫にベッドと一人暮らしの部屋みたいな構成をしていた。
その中に女の子ウケがいいとの理由からベビーミッキーのぬいぐるみや、プーさんの枕を配置していた。
実際女の子からは評判の良い部屋だった。
ソファに座る二人。
「おしゃれだね。」
コケ盆栽を指差して由奈が言う。
「ありがとう。」
桜庭は答えるが、二人の空気は出会った頃とは明らかに違った。
昔はあんなにくっついていたのに今の二人には距離がある。
沈黙が部屋を包んでいた。
「あんね。私謝りたいの。」
由奈が急に口を開いた。
「え?何を?」
桜庭はわかっていたが、その場繋ぎで聞いてみた。
「色々酷いことしちゃったなって、ごめんなさい。」
由奈は桜庭に頭を下げた。
「気にしないでいいよ。俺が足りなかっただけだから…。」
桜庭はそう言うとうつむく。
「違うの。私が勝手だっただけ。私も色々あって色んな事あって…。」
「……。」
桜庭は黙った。
「凄い優しいのに、凄くいい人なのに、どうしてなんだろ。自分でもわからなくて。」
由奈の声が小さくなっていく。
「終わった事だよ。言っても仕方ないし。また友達になれたんだし、それでいいじゃん!」
桜庭は誠意いっぱいの明るさで言った。
「良くないよ!今もそう、そんな良い人あんな振り方した私が悪いんだもん。」
由奈は泣きそうだ。
「そっか。でもさ時間は戻せないじゃん。今こうして二人一緒にいるじゃん?あの時付き合ってたら俺が由奈を傷つけてたかもしれないし、すぐ別れてたかもしれない。だから今こうやって一緒に遊べる関係に戻れたんだからいいじゃん!」
桜庭はゆっくりと言葉を吐く。
その時前川の携帯に楠から電話が入る。
「うん…今から迎えに行くね。」
二人で駅まで楠を迎えに行く。
「坪井おくれるみたいだね。なんか買って行こうか。」
桜庭の家に戻る最中スーパーに寄る事にした。
スーパーに入ると由奈は桜庭の横に立ち楠は坪井から電話が入り何処かへ行ってしまった。
二人で買い物を進める。
桜庭はその時間が幸せで仕方なかった。
二人でお菓子をあれやこれやと選んでいるその時間、昔に戻ったような気がして、その先にいるような気がして…。
買い物から帰り、桜庭の部屋にに三人が集まった。
坪井はこちらに向かっていて、あと10分くらいで着くそうだ。
ほぼ会話がない。
「坪井遅いね。」
そんなレベルの話しか出てこない。
坪井が到着すると坪井は桜庭が買ってきた飲み物を飲み干す。
坪井が盛り上げようと色々と話をするがあまり盛り上がらない。
坪井と楠も桜庭と由奈の空気に飲まれていた。
「よし外でようぜ。」
坪井が飲み干した缶を置くと同時に言った。
「どこ行く?」
桜庭が聞いた。
「カラオケに行きたい!みんなで盛り上がろう!」
楠が言いカラオケに行くことになった。
電車で隣の駅まで行き、駅近くのカラオケ屋に入った。




