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「さきほどから画面に大きく表示されているように、今回プレイするのは『ダークソルジャー』というゲームです。昔やったことがあるんですけど、久しぶりに遊びたいと思います」


:ダークソルジャー懐かしい!

:またマニアックなものをwwww

:どういうゲームなん?

:ダークファンタジーの世界を舞台にしたアクションRPG

:難易度が高い系のゲームだ!


「説明ありがとうございます。どうやらダークソルジャーのことを知っている視聴者さんがいるようですね。今日は最初のボス撃破を目指しますよ」


 レイカは目標を宣言すると、ゲームをスタートさせる。


 ニューゲームを選択したら、モニターに名前の入力画面が表示された。


「プレイヤーの分身である主人公は、男性キャラに固定されているんですけど、名前はレイカでいいですね」


 プレイヤーネームを入力すると、次は職業選択の画面に切り替わる。


「最初に選択できる職業は、戦士、魔法使い、僧侶、盗賊の四つです。みなさんは、どれがいいと思いますか?」


 レイカは視聴者たちとのコミュニケーションを意識しながら話しかけた。


:ここは魔法使いで!

:あえて僧侶でいこう!

:盗賊いってみる?


 すぐに視聴者たちからのレスがくる。レイカはモニターに表示されたコメ欄を見ながら、ウンウンとうなづく。こうやって視聴者たちとやりとりができるのは楽しい。


「魔法使いに、僧侶に、盗賊ですか。いいですね」


 フフッとレイカは笑う。笑ったままカメラを見つめる。


「みんな死にましたね」


:は?

:え?

:いや、ちょっ……!

:いきなりどうした?

:にこやかに微笑まれながら死を宣告されたんですが?

:こわっ!


 唐突な死の宣告に、視聴者たちはビックリしていた。


「この職業選択には、罠が仕掛けられています。ここで戦士を選ばなければ、確実に詰みです。他の三つの職業は防御力がカッスカスなので、ザコ敵にも瞬殺されます。ハズレの職業ですね」


:レイカさん何言ってるのwwww

:え? これガチなの?

:残念ながらガチだ!

:レイカちゃんの言ってることは真実だぞ!

:攻略サイト見てきたけど、どうやらガチ情報のようだwww

:このゲームは最初に戦士を選んでおかないと、まともに進むことすらできない仕様なんだwww

:職業選択の意味ないwwww

:職業選択に罠が仕掛けられてるって、どんなゲームだよwwww


 リスナーたちからいい反応がもらえた。遊ぶゲームをダークソルジャーにしてよかったと、レイカは思う。


 レイカは職業を戦士に決めると、さっそくゲームをスタートさせる。


 古びた廃城の映像が流れると、牢屋のなかで倒れている男がいた。その男は目を覚ますと、唸り声をあげながらおもむろに立ちあがる。


 プレイヤーの分身である主人公キャラだ。


 その男が身につけているのは握りしめた片手剣と、パンツ一丁だけだった。 


:パンイチwww

:いきなりパンイチwww

:パンイチでスタートなんかいwww

:パンイチの男が出てきて吹いたwww


「このゲームは世界観の説明や、チュートリアルがありません。自らの身体で覚えるまでは操作方法も不明ですし、なんで冒険しているのかもわからないです。ですから、なぜ主人公がパンイチなのかも謎ですね」


:パンイチって言わないでくださいwww

:真面目な顔でそういうこと言わないでwwww

:あの、一応公式ホームページには最低限の操作方法が書いてあるのですが……

:世界観の説明も書いてはあるが、断片的だから読んでもあんまわからんwwww

:そういうところが一部のゲーマーには受けてるんだけどねwwww

:大衆受けするゲームではないなwwww


「では、パンイチを動かして進んでいきましょう」


:だからパンイチ言うなwww

:パンイチって主人公の名前だったんかwww

:主人公の名前がヒドいことになってしまったぞwwww

:ユーザーのなかには主人公のことをそう呼ぶ人もいるwwww


 主人公を操作して牢屋から出ると、廃城のなかを進んでいく。


 石造りの通路を歩きつづけると、すぐに緑色の液状をしたスライムが床の上を這っているのを発見した。


:スライム!

:出てくるモンスターはオーソドックスなんだな

:まぁ最初のザコ敵だしな


 レイカは主人公を操作して、タッタッタッとスライムのほうに走らせる。


 一定の距離まで近づくと、スライムは全身を槍のように細長く伸ばして、ビュンと攻撃してきた。主人公にローリングさせて回避すると、片手剣でバゴバゴッと何度も斬りつける。


 頭上に表示されているライフがゼロになると、スライムは溶けて崩れていった。


:倒した!

:剣を振ってる姿は完全に蛮族www

:見た目がパンイチなのも影響してると思うwww


 スライムを撃破したことに視聴者たちは歓喜しているが、レイカは真剣な面持ちをしたままコントローラーを操作し、すかさず主人公にバックステップをさせる。


 さきほどまで主人公が立っていた場所の左右にある壁面から、ブシャア、ブシャア、ブシャアアアア、と音を立てて大量のスライムが吹き出してきた。


:ちょっ……!

:なんか出てきたぁ!

:壁からたくさんのスライムが飛び出してきたぞ!


「あそこに立ったままでいたら、たくさんのスライムにフルボッコにされます。初見殺しですね」


:いきなり初見殺しwww

:まだゲームはじめたばっかだぞwwww

:どんだけプレイヤーを殺しにかかってんだwww

:出てきたスライム多すぎないか?

:序盤に出てくる敵の数じゃねぇwww


 ゲーム画面では、たくさんのスライムたちが全身を槍のように伸ばして攻撃を仕掛けてくる。


 レイカは主人公にローリングさせて回避しつつ、手近にいるスライムから剣で殴って処理していった。


「ここで焦ってはいけません。焦って操作ミスをすれば、ゲームオーバーになります。ヤケになって踏み込みすぎるのも危険です。天井からもスライムが降ってきて、不意打ちでやられてしまうので。そこも初見殺しですね」


 解説をまじえつつ、スライムの数を削っていく。天井から降ってきたスライムの奇襲も、しっかりと回避する。


:さっきからプレイ見てて思ったんだけど、もしかしてレイカさんかなり上手い?

:すごく上手いぞ!

:スライムの攻撃が何発か被弾してるけど、確実に倒していってる!

:ふつうならここで結構ゲームオーバーになる!

:そんでやる気を失ってやめちゃうプレイヤーが多いwww

:ワイもここで死にまくってやる気が削がれたwww

:そういえばレイカはゲームが上手かったわね(先輩)


 ダメージを負いつつも、出現したスライムたちを全て撃破する。


 最初の関門を突破すると……レイカは暗い表情になってうつむいた。


「へ、下手になってる……! スライム相手に、ここまでダメージをもらってしまうなんて! ずっとゲームをやっていなかったから、腕前が錆びついてしまいました! おのれ、異世界め……!」


:なんかめっちゃ悔しがってるぞwwww

:これで下手になってるとかwww

:見てて結構上手く見えたけどwwww

:異世界が恨まれてるwww

:どんな恨み方だよwww


 レイカが不満をもらしていると、ゲーム画面で鐘の音が鳴る。


「あっ、レベルアップしたようですね。このゲームでは、レベルアップ後のステータスの伸びも職業によって変わってきます。戦士なので、筋力や体力などの伸びが大きいですね」


:急に笑顔になったなwww

:一秒前まで悔しがってたのに笑顔になったwwww

:切り替え早いなwww

:情緒どうなってんだwwww


 コロコロとよく変わるレイカの表情に、視聴者たちは戸惑いつつも楽しんでくれていた。


「それでは先に進んでいきましょう」


 廃城内を歩いていき、出現するスライムたちの攻撃を避けては剣で殴り、突き進んでいく。


:さっきからずっとパンイチの蛮族が暴れてる姿を見せられてるんですがwww

:俺は一体なにを見せられてるんだwwww

:いつになったら服が手に入るんだよwwww

:頭が混乱してきたwwww

:右下にレイカさんが小さく映ってるのが唯一の救いwww

:レイカちゃんが楽しそうでよかったわ!(お母さん)

:今回に関してはレイカママに同意だよwww


 レイカはかつての勘を取り戻しつつ、レベルをあげていく。そして数分後には、廃城の外に出ることができた。




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― 新着の感想 ―
馬鹿な!絶対下手だと思ったのに! こんなまともなプレイをするのに実際の戦闘では剣を投げるのか・・・
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