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「おや? 何かドロップしたようです」
倒れている魔神が霧散していくと、そこに紫色の光を帯びた石が残される。
モンスターがときどき落とす、魔石と呼ばれる石だ。見たところ、かなりの魔力が込められている。
:未知のボスを初見撃破して素材までゲットしたぞ!
:幸運すぎる!
:その魔石、すごい魔力がつまってるみたいだけど……
:きっと、とんでもない額になるぞ、その石!
レイカは落ちている魔石を拾いあげると、振り返って真子と目をあわせる。
「この魔石も持ち帰って換金したら、真子先輩と折半しないといけませんね」
「いやいや! さすがに悪いって! あの魔人はほとんどレイカ一人で倒したようなものだし!」
「そういうわけにはいきません。真子先輩は、ここまで同行してくれたんですから」
「いや、勘弁してほしんだけど……」
ボス戦でもあまり活躍できなかったので、真子は素直に受け取ることはできず、しどろもどろになっていた。
ひとまず、レイカは手に持った魔石を【アイテムボックス】のなかに収納する。
:真子ちゃん困ってるなwww
:レイカさんが一人で倒したようなものだし、気が引けるんだろうwww
:レイカちゃんの言うとおり、ここまで一緒に来ただけでもえらいから受け取っていいと思うよ!
:ていうかレイカさまの配信が、いつの間にか同接百万いってるぞ!
:うおっ! ホンマや!
:ついに百万いったあああああああ!
:未知の階層のボス戦でたくさん視聴者が集まったみたいだ!
「え? ひゃ、百万! 同接百万ですって!」
百万という数字に、レイカは声を上擦らせる。ここまで同接が増えるだなんて、想定外だ。
:めっちゃ驚いてるなwwww
:そりゃまぁ百万いけばねwwww
:魔人と戦ってたときよりも驚いてるなwwww
:ランキングのほうは、どうなってるの?
:この配信の現在の日間総合ランキングは50位だ!
:すげええええええ!
:ここから上は人気のVチューバーとかもいるぞ!
:Vチューバーは人気が高いからな!
同接が百万超えしたことに驚いていたが、そこにランキング50位という衝撃の事実が続けて知らせられる。
レイカは数秒ほどフリーズするが、すぐに意識を取り戻した。
フゥ~と息を吐いて、気持ちを落ち着かせる。
「まずは同接百万超え。それに、ランキング50位までのぼれたことを喜びましょう。これもひとえに、応援してくれた視聴者さんたちのおかげです」
ドローンカメラを見あげながら、配信を見てくれるみんなにお礼を伝える。
「そしてランキング1位を目指すのであれば、ここからはVチューバーとも競わなきゃいけません! 異世界に行く前からVチューバーは人気がありましたけど、こちらに帰ってきてからさらに人気が高まっています! 恐ろしいですね、Vチューバー! ダンジョンや異世界のモンスターよりも脅威です!」
レイカは格上の敵を前にしたような好戦的な笑みを浮かべて、頬を流れる冷たい汗を指先でぬぐった。
:いや、なんでVチューバーが強敵扱いされてんだwwww
:配信のランキングでいえば、確かに強敵だがwwww
:ダンジョンや異世界のモンスたちよりも、Vチューバーのほうが強かったwww
:魔人「え? 俺ってVチューバーよりも弱いの?」
:↑そうですwwww
:レイカさまの真の敵はVチューバーだったwwww
:Vチューバーのみんな逃げてええええええ!
レイカがVチューバーに脅威を感じていると、コメント欄が沸きたっていた。
そんな後輩の姿を、真子は「この子はなに言ってるんだろう?」という困った顔で見ていた。
それからレイカは、真子と一緒に地上までの道を引き返していく。帰り道でも、石ころを飛ばしながらモンスターたちを蹴散らしていき、アニソンを歌って視聴者たちを楽しませた。
ゲートをくぐって地上に帰ってくると、本日の配信を終える。
そのあとギルドの建物に立ち寄って、持ち帰った素材を【アイテムボックス】から取り出して換金したら、職員の人が顔面蒼白になっていた。




