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:レイカちゃんそろそろ落ち着いたかな?
:まだ緊張してるようだけど?
:あれからどう? ダンジョンハンターが休載してることへのダメージは癒えた?
:最新刊まで読んだ?
スマホ画面に表示されたコメント欄に、ダンジョンハンターのことが書き込まれると、レイカはすぐに自分のドローンカメラをあおぎ見る。
「前回の配信を終えたあと、すぐに最新刊まで購入して読破しましたよ。やっぱりダンジョンハンターはおもしろいですね。異世界に行っている間も、何度もダンジョンハンターに想いを馳せていましたが、実際に読んでみたらわたしの想像を超えるおもしろさでした」
:よかったね!
:レイカちゃんが幸せそうでよかったよ!
:そんなにおもしろいなら、俺も購入してみようかな!
「……ですが、すごくおもしろいが故に、休載してて続きを読めないのが残念でなりません」
:そこは気長に待つしかないwww
:休載のダメージを引きずってるなwww
:楽しみにしてた漫画の続きを読めて喜んだ先には、休載という悲しみが待っていたwww
:こうして配信でダンジョンハンターの話をしてれば、作者がやる気出して連載が再開するかもよ!
:ダンジョンハンターの漫画が紙も電子も爆売れしてたなwww
:さっそくレイカさまの影響力が出始めているwww
:ナカタニ先生、困惑してるだろうなwww
:先生はどうだかわからないが、出版社のほうは困惑してたっぽいなwwww
:編集者がSNSでビビってたwww
そういえば、通販サイトのランキング上位をダンジョンハンターが埋めつくしていた。本当にそれが自分の影響なのだとしたら、レイカとしては売り上げに貢献できて誇らしい。
:ところで今日はどこのダンジョンにもぐるの?
:どこにもぐるかは告知で言ってなかったな
:ここどこだ?
レイカたちがどこのダンジョンにやって来たのか、視聴者から疑問が寄せられる。
レイカは微笑を浮かべると、ドローンカメラを見ながら答えた。
「わたしと真子先輩が今回もぐるのは、『永久の牢獄』というダンジョンです」
:マジか!
:あれ? そこってまだ誰も攻略できてないダンジョンじゃなかったっけ?
:確かそうだ! 未攻略のダンジョンだ!
:そのダンジョン難易度が高いぞ!
:未踏破だから何階層まであるのかも不明だ!
:いきなりそんなとこにもぐって大丈夫なの?
:ヒュドラを瞬殺してたから、大抵のことは大丈夫だとは思うけども……
:もうちょい、難易度が低いダンジョンのほうがいいのでは?
レイカたちのことを心配するコメントが、次々と書き込まれていく。
「わたしたちの身を案じてくれて、ありがとうございます。けれど、このダンジョンを選んだのには理由があるんです」
:理由?
:なるほど。なにか事情があって選んだのか
:このダンジョンじゃなきゃいけない理由があるってことね!
:だからいきなり難易度の高いダンジョンを選んだんだな!
:どういう理由で『永久の牢獄』を選んだの?
レイカが説明すると、何人かの視聴者は理解を示してくれた。物わかりのいい人たちばかりでよかった。
レイカは唇の形をゆるめて崩すと、その理由について話す。
「この『永久の牢獄』を選んだ理由は、難易度の高いダンジョンのほうが配信として盛りあがるからですね」
:ん?
:いや、あの……
:おい、まさか……
:このダンジョンを選んだ理由って……
:もしかして、それだけ?
「え? そうですけど?」
『永久の牢獄』を選んだ理由を伝えるが、コメント欄に流れていく視聴者たちの反応はどれも釈然としないものというか、明らかに困惑していた。
そして再び怒濤の勢いでコメントが流れていく。
:ウッソだろオイwwww
:ぜんぜん大した理由じゃなかったwww
:なにか事情があるんだろうなって、数秒前に納得してたことを後悔してる俺ですwww
:そういやこの子、クールな外見に反して中身がアレだったwwww
:レイカさまの見た目に騙されたよwww
:配信を盛りあげるために高難易度のダンジョンの選ぶだなんて、レイカちゃん天才すぎるわ!(お母さん)
:天才ではないだろwwww
:お母さん娘のこと全肯定だなwww
「わたしはもっと難易度の低いダンジョンのほうがいいって提案したんだけどね。レイカが未攻略で難易度の高いダンジョンを教えてくれってせがんできて、言うことを聞いてくれなかったのよ」
真子は呆れ混じりのため息をついて、首を振ってくる。
「真子先輩が懸念する気持ちもわかります。ですが、どうせ異世界の力を使うのなら、高難易度ダンジョンのモンスター相手に使いたいじゃないですか。そっちのほうが、おもしろいはずです」
:それは正直わかる!
:敵は強いほうが燃える!
:強敵を相手に異世界の力を使ってほしい!
:とはいえ、二人の安全が第一だよ!
レイカの主張に何名かの視聴者が賛同してくれた。そのコメントを微笑みながら読むと、レイカは前方に目を向ける。
視線の先には、空間にポッカリとあいた大きな穴がある。ダンジョンの入り口であるゲートだ。
「それじゃあ真子先輩、そろそろ行きましょう」
レイカが呼びかけると、真子は表情を引きしめる。
二人が歩き出すと、浮遊している二台のドローンカメラがついてきた。
レイカと真子はゲートをくぐっていき、ダンジョン攻略を開始する。




