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第4話『黄金ダンジョン』




 冒険者の需要は高まるばかりで護衛や納品などの依頼が冒険者ギルドに殺到している。ゲーム内の護衛依頼がリアルで存在する世界だ。冒険者と一口に言っても色々といる。


 何故ならVRゲームが1つのダンジョンと化したからだ。花形のSランク冒険者はゲームをしている。


「2日間は護衛を雇って攻略したの!」


「ついにぶっちゃけたな!?」


「護衛は雇って当然でしょ。【黄金の国】にはお世話になってるの。入国テストはいつでも受けられるけど合格率が0.01パーセントなんだって!」


「合格率があるのか。そこに驚きだ」


 入国テストで厳しい現実を見るのは明らか。家庭教師のように護衛を雇うしかないのか? リアルでSランク冒険者を雇うのにどれだけ金がかかると? ゲーム内で開かれるのは幸か不幸か。


 ある種のランドマークとして存在する入国審査場AとB。


 入国審査場Aは【黄金の国】の拠点がある区域にあり、俺たちのいる始まりの森からほど近いのも入国審査場Aだ。入国審査場Aは少しばかり特殊だ。入国審査場Bは山中にあって集落の形をしている。


「見えてきた! あそこが入国審査場Aだよ!」


「へぇ~」


 専用のゲートに見張りが1人。高い塀と柵に囲まれた訓練場だ。


 管制塔のような(やぐら)が2つあってその周囲には建物が散見出来る。【黄金の国】の出発点でこのエリアにダンジョンがある。


 入国テストはダンジョンの攻略タイムだ。全15層のダンジョンを1時間以内に突破しなければならない。


「入国テストを受けに来ました!」


「それなら入りな」


「失礼します!」


 ゲートを潜ってプレイヤーの集まるダンジョンの入り口に向かう。人間様の作った訓練場なので異形のプレイヤーは排他されている。こういうところが相容れない部分だ。


 しかし来てしまったものは仕方ない。

 それに【黄金の国】に入団が叶えばSランク冒険者の地位は保障されたようなものだ。


「入国と入団でどう違うんだ?」


「同じ意味だよ。入国するとクランの仲間入りなんだから」


「ゲームではだよな」


「まあね。でもゲーム内でやることが多いんだよ。異形種でも種族進化するには人間の手助けが必要だからね」


 【黄金の国】は異形種のサポートを行っているが、一向に人化しないため問題も出てくる。しかしDPの稼ぎはすこぶるいいみたいだ。


「入国テスト組はこっちですよ~」


「5、60人はいるね」


「まあ多いな。今日受けるのか?」


「もっちろん!」


 案内をする白髪の美少女はケモ耳だった。異形種から進化している参加者もいて少なからず驚いた。


「16時スタートは多いですね。初めての参加者もいるようなので入国テストについて説明しておきます」


 兎耳をぴこぴことさせて俺たちに挨拶してくれる。


「私は【黄金の国】所属のディジーです。ダンジョン内ダンジョン、DoDの管理運営を任されている【黄金の国】のメンバーなので以後お見知りおきを。ダンジョンについて詳しい方もいるでしょうが、ダンジョン内ダンジョンについて気になる方もいると思います」


 ダンジョン内ダンジョン。

 名前は発見者が付けることから黄金ダンジョンと名付けられた。【黄金の国】が実質所有しているダンジョンの1つだ。

 勝手に入ることは許されず、入国テストの時のみ入場可能。タイムリミットは1時間で、100名ずつ入れる。DoDに余計なルールを追加するのがクランという存在だ。


「1時間以内に最下層のフロアボスを討伐した者を【黄金の国】へと招き入れます。ドロップアイテムの裁定があるので悪しからず」


「ドロップアイテムの裁定?」


「はい。ドロップアイテムは必ず拾ってください」


 あ~。これはクリアさせる気のない入国テストだ。ドロップアイテムを拾いながらRTA攻略は出来ない。


「言ったでしょ。【アイテムボックス】が必要だって」


「なるほど。一緒に組むか?」


「それとパーティーは解除してくださいね。1名ずつ試験を受けて貰います」


 そうか……A様の期待を裏切ることになるが【アイテムボックス】だけは手放さないぞ。


 A様とパーティーを解除して、16時に入国テスト開始だ。


 黄金ダンジョンで右も左も分からない俺たちは、全員が同じ方向に走り出すと思って出鼻を挫かれた。


「どっちに行く!?」


「私はこっち!」


「……分かった! 俺もそっちだ!」


 プレイヤーが多く移動する方向に! とにかく見失わなければ迷うことはないはずだ! 開始早々、四方にばらけたから混乱したけどな!


「うわっ、蜘蛛型!?」


「このダンジョンのモンスターか!」


 見覚えのある蜘蛛型モンスターが天井から降りかかってくる。プレイヤーと思うなかれ。れっきとしたモンスターだ。


「大群だな!?」


「ダンジョンに入った人数でポップ率が変わるんだ!!」


 一気に60人近くがダンジョンに入った。その影響で階層内のモンスターが異常ポップしたのか!


「これが最下層まで続きます! 気を引き締めてください!」


「ボス部屋まで行けた試しはないけどな!」


「貴重な5DPから美味しい20DPまでいるんだぜ! よっと、1番乗り!」


 30人が徒党を組んで蜘蛛の大群と激突した。結果は勝利に収めたが早くも差が開いてしまった。


「1層から順番に攻略した方が良さそう!」


「スタミナはあるんだ! 行けるところまで行くぞ!」


 強スキル持ちに必死に食らいついて2層に降りる階段を見つけた。しかしその頃には思いっきり引き剥がされていた。


「引き剥がされた……!」


「速すぎる! マップは記憶にあるけどね!」


「そうなのか!?」


「うん! 任せておいて!」


 他に手はない。A様と手を組んで最下層を目指そう。


「身内が【黄金の国】だからマップが頭の中にある! こっちが近道ね!」


「近道まで……って、モンスターが多すぎる!」


「蟻型モンスターは弱いなりに群れる習性があるってね!!」


 近道には蟻型モンスターがうじゃうじゃといた。殆どのプレイヤーは避けて通ったがA様は避けて通ることはしなかった。


「おっ、先客です~。手伝いますよ~」


「助かるよ! Sランク最強!!」


「最強ですね~」


 Sランク冒険者の卵たちが競い合っている黄金ダンジョンで、ゆるい感じに話す魔法師プレイヤーが現れた。


「昆虫型モンスターは音に反応しますからね~。上層でモンスターを倒し続けるとその下に密集したりします~」


「近道だって聞いたんだけどな」


「近道を封じるのも作戦です~。ボス部屋には1人しか入れませんから~」


「おっとりしていながら抜け目がないね!」


「おっとりはしてないですよ~?」


 後続も出てきて俺たちの頭上を飛び越えて近道を進んでいった。【空間魔法】の使い手と【風魔法】の使い手だ。


「あれに勝ち目がある?」


「さあな!」


 足止めにトラップを仕掛けるような連中だ。仲良くは出来そうにない!





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