第13話『100万DPの勘違い』
「今日こそクリアする!!」
「頑張ってください~」
入国テストでA様はクリア目前だった。
黄金ダンジョンで鍛え抜いたステータスに、スキルオーブで先鋭化されたスキル。どちらも併せ持つに至ったのは俺の持つSRガチャが原因だ。
【黄金の国】はクラメンの増加を求めている。ディジーとパーティーを組んで内情を聞き出した。
A様は【黄金の国】に入国したい。俺たちはクラメンを増やしたい。スキルオーブの産出が目的の1つだ。
もう1つは戦力の配備。魔境ではクラン間の闘争が激しいためだ。
「ではスタートしてください」
自信満々のA様がどうクリアするのか見守っていると、開始早々に【嵐魔法】で速度を上げた。【魔力操作】を併用しながら器用に通路を曲がっていく。
【嵐魔法】は俺の【SRガチャ】から出たもので、俺はA様から【霊域探知】を得ている。1000回回してSRが1つという具合のレア度だ。
既に100個のスキルを有するA様には他にも【アイテムボックス】と【魔槌術】がある。どちらも俺とスキルトレードをして得たものだ。
俺は【魔剣術】と【混沌魔法】で黒曜石の自然王に勝った。A様は【嵐魔法】と【魔槌術】で勝負をかける。
「あーっ! また駄目だった!!」
「惜しかったな」
テスト開始から1時間が経って、討伐されなかったボスは俺の獲物に。こんなシステムなのでA様にもDPが入る。
「やっぱり【転移魔法】がないと難しいぞ」
「そんなことないでしょ。いい線まで行ってたじゃない!」
「いいや。後20分はかかってた」
「攻撃の質が低いのは分かってる!!」
【転移魔法】さえあればという思いは通じない様子だ。【嵐魔法】によるゴリ押しで勝てると信じるA様だった。
「【混沌魔法】が欲しいわ。持ってなかった?」
「持ってるけど高いぞ」
「金で買えるなら買いたいけどねー。因みにいくら?」
指5本で示しておく。売る気はないからな?
「高い! せめて指3本!!」
「お前、桁数を考えろ」
「考えてある! 2度と手に入らないスキルでもないでしょ?」
「まあな。それに覚醒ステータスがある」
「安く売って! 言い値で買うから!」
300万をぽんと出せる学生と思いたくないのだが。まあいい。
「300mだ。GP払いでいい」
「くっ! 買いたいものが沢山あるのにGPで買えって!?」
「お前、いくら課金してやがるんだ」
「月50万。パパは命をかけるに相応しい値段だって」
「親に前借りする気じゃないか」
「前借りはしないわ! 30万円まで値切ってみせる!」
値切りスキルがあるといいな。【交渉】スキルはあったか。
「GPを稼いでくる!! 誰にも売らないでね!!」
「分かった」
1週間はかかるなと漠然と考えていると、A様はたった1日で300mを稼いできた。連れにはヒマリがいた。
「300mを30万円。そりゃ売りますわ~」
「値段設定を間違えたよね!! 今から変更はなしだから!!」
「いや別にいいんだが」
スキルオーブは手元にあるので、それでA様に【混沌魔法】を売った。SPガチャでステータスが急上昇するので、黒曜石の自然王を倒す分には問題なかった。
「ありがとう! これで勝つる!!」
「俺が言うのもなんだが、あまり熱くなりすぎるな?」
「分かってるってば!」
SRの【爆炎魔法】は100万円前後。そう考えると安く売り過ぎたな。まあ300mあれば【黄金の国】ショップで一番いい剣を買える。
「私もいずれスキルトレードを申し出ます~」
「お互いにいいスキルがあればな」
「ダン伍さんを信用して最適解のスキルを教えます~」
最適解? そんなものがあるのか?
「【転移魔法】じゃないのか?」
「違います~。3人か4人で連携したやり方なんですけど、【黄金召喚】で人を召喚するんです~」
「ボス部屋にか。反則じゃないんだな?」
「反則ではないと前に教わりました~」
それはどうだろうな? 100万点のゴーレムと思ったものが10万ポイントだったからな。しかし【黄金召喚】か。
「【黄金召喚】なら持ってるぞ」
「ください~!!」
「わ、分かった! 使い道に困ってたんだ」
【SRガチャ】で出てきた【黄金召喚】なるスキル。【鑑定】では人を召喚出来るとは無かった。ただ黄金を召喚するためのスキルじゃないのは意外と知られている。
「ダンジョン配信では有名なスキルだよな。ピンチの時の【黄金召喚】だ」
「えぇえぇ~。私の一番欲しかったスキルなんです~」
「何と交換する? というか、この流れだと俺は戦力扱いか」
「流石にそうは行きませんよ~。他のプレイヤーと組んでおきます~」
それでとヒマリは続ける。
「私が出せるのは【光魔法】と【闇魔法】です~。2つともいります~?」
「便利そうな【光魔法】だけでいいな」
「ではスキルトレードです~」
スキルオーブの手持ちがあるようだ。ディジーの【豪運】に勝てるとはな。
ヒマリとスキルトレードをして、俺は【光魔法】を手に入れた。ゲーム内で行えるスキルトレードは現実にも大きく影響する。
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名前 二木探吾
【■■■■の■士】
【■■と混■の■■翅】
【■■■■■■■(パスアラウンド)】
【■■■な■■■■■】
【無限格納庫】
HP 102700
MP 105900
SP 208300
DP 260449
スキル 【冒険家】、【直剣術】、【魔剣術】、【魔棍術】、【転移魔法】、【空間魔法】、【光魔法】、【水魔法】、【火蜂鍛造】、【霊域探知】、【魔力探知】、【即死耐性】、【鑑定】、【SPガチャ】
称号 【幸運な森の民】、【混沌の転移人】、【ゴブリンマスター】
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覚醒ステータスに【無限格納庫】!! 【アイテムボックス】は手放したものの、【無限格納庫】を得られる可能性は高かった!!
現実世界でうきうきと登校する。大智を待って【転移魔法】だ。
「大智。俺の覚醒を見届けてくれ」
「いいぜ!」
「【無限格納庫】をゲットしたんだ!」
「おおっ! 【無限格納庫】か!」
大智に覚醒ステータスを自慢して、通学路を【転移魔法】でショートカット。昨日から【転移魔法】を便利に使っている。
「志穂、珍しい場所にいるな?」
【空間魔法】で逆さまになった志穂が俺たちを出迎えた。珍しいというか何もない場所にいる。【陸海翅】だとかっこいいよな。
「二木君、米尾君。おはよう」
「おはよーう、志穂さーん!」
「覚醒ステータスだと何でも出来るな~」
志穂は何もない空間を飛び跳ねて重力すら感じさせずに着地した。
「二木君も昨日は空を飛べたのに。スキルトレード?」
「ああ。結構頻繁にしてるな? ガチャ運がいいからな~」
「スキルを見込んで相談がある」
神妙な面持ちの志穂に俺は戸惑いながら頷いた。




