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スレンダーなのに色々でっかい地味で気弱な中田さんをクズ彼から救った俺は、全力で彼女を可愛くしてあげたい。  作者: ファッション捜査課のスカリー


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第6話 アレが縮める俺と中田さんの距離

「あっ!?やばっ!!ちょっ!?私っサイアクぅ!!」


突如耳元で中田さんの悲鳴のような声が響く。

その直後、彼女は躊躇なくベッドにダイブした。


「えっ!?ちょっと中田さんどしたの!?」


俺の動揺なんてお構いなしに、中田さんはベッドにうつ伏せのまま大の字になって沈黙する。


そして数秒の静寂……


ゆっくりと上体を起こした彼女が潤んだ瞳を俺に向けて、まるで心の底から絞り出すようにぼそりと言葉を零した。


「ねぇ………雪村くん………」

「どっ、どしたの?……中田さん……」

「みっ……見た………?」

「見たって…………」

「見たよね……?ね?」


彼女のその行動の意味を俺はだいたい察していた。


先ほどまでは眼鏡をしていないから気付いていなかのだろうが、眼鏡を掛けて気付いてしまったんだと思う……ベッドの上に鎮座したアレに……

たぶん……ブラジャーを隠したかったんだろう。


中田さんの震える視線が突き刺さる中、俺はどう答えるべきかを考えた。


素直に見たと言うべきか……それとも『なにを?』とはぐらかすべきか……

迷った末に、俺は前者を選んだ。


堂々とベッドの上に綺麗に畳まれて置いてあったでっかいそれが、目に入らないなんて逆に不自然だと思ったからだ。


「えっと、ごめん……中田さん待ってるときに気付いた……でも気付いてからは見てないから!!ごめん!!」


言い訳してるみたいで情けないけど、俺なりの誠意のつもりだった。

とにかく彼女を嫌な気持ちにはさせたくなかった。


「やややっ、やっぱ!?やっぱ見たよね!?こんなデカくて可愛くないブラ放置して見られるとかもう私、ムリ!!ああぁぁぁ雪村くん幻滅したよね!?だらしないって!うううぅぅ〜、もう私ダメだぁ〜……せっかく雪村くんと仲良くなれたと思ったのに……サイアクぅ……」


涙目になった中田さんはベッドの上で頭を抱えてジタバタと四肢をばたつかせた後、羞恥と混乱が限界に達したのか、まるで感情の嵐に飲まれたように身体を震わせながら悶えはじめた。


こういう時……なんて言えばいいの?こんな時から入れる保険ってある?

そう思うが、とりあえず何か声を掛けないといけない気がした俺はおもむろに口を開いた。


「だらしない!?そっ、そんなことないよ!むしろ俺が見たのが悪い!全部俺が悪い!ごめん!あとすごい可愛いと思うよそのレース!」


何言ってんだろうね俺……マジで黙ってたほうがいいのかもしれない。

こんな時にオシャレ脳が出しゃばりやがる。一言余計すぎんだよ……


口から出てから後悔する。

そんな俺がしぼり出した精一杯の言葉を、中田さんは顔を真っ赤にして、うなりながら聞いてくれていた。

そしてゆっくりと俺のほうに視線を向けてきて……


「ううぅぅ、コレ可愛いかなぁ……?本当にだらしないって思ってない?本当に幻滅してない?嫌いになってない……?」

「もちろん!全然幻滅なんてしてないよ!嫌いだなんてそんな……」


とにかく即答。本心だから。


「ほんと………?」

「うん……マジで……これはガチ」

「そっか………………」


はい。むしろ眼福でした……なんて考えがよぎる俺って最低だなバカヤロウ。


そんな邪な考えを巡らせる俺をジト目で見つめていた中田さんが、急に目を見開いたかと思うと『あっ!』と鋭く声を上げた。


「ごっ!?ごめんなさい!!雪村くん!!」

「へっ?………なにが?」


今度は急に謝り始はじめた中田さんに、俺は思わず間抜けな声を上げてしまった。

なにが『あっ!』なのだろうか……それがわからない……

想像以上に彼女の感情の起伏は激しくて、けっこうついていくので精一杯だ。


「その……私、びっくりしすぎて……タメ口になっちゃってて……失礼でしたよね?」


その気持ち……なんとなくわかる気がする。

ボッチ特有のあの無駄に距離を作っちゃう感じ。


もしかしたら中田さんも俺と同じ側の人間なのかもしれない。

この短い時間でそう思わせる瞬間が何度もあった。


俺は高校デビューの時にその距離感をやめたつもりだったが……まあ、別のやらかしで結局ほぼボッチなんだけど……


そんな俺の思いを知ってか知らずか、申し訳なさそうに俺を見つめてくる中田さんを励ますように俺は優しく言葉を返してあげる。


「全然そんなことないよ?俺もずっとタメ口にだったし……同級生だし、そこまで気を使わなくてもいいよ!」

「本当ですか……?私にタメ口使われるの、嫌じゃないですか?」


「俺は嫌じゃないけど……むしろ中田さん俺にタメ口で話されるの嫌だったりする?それなら俺が改めるけど……」

「いやっ!私は嫌じゃないです!……嬉しいです!」


「それなら……俺たちタメ口でいいんじゃないかな?その方が俺も気楽だし……」

「えっ!?いいですか!?」


「もちろん!中田さん傷の手当てとか、ご飯ご馳走してくれたりとか……こんなに色々してくれて、俺からしたら中田さんは友達だと思ってるよ……?中田さんは違う……のかな……?」


つい自信を失ってしまった俺のその一言に中田さんはピタリと動きを止め、次の瞬間ワナワナと身体を震わせながら驚いたように目を見開く。

そして信じられないといった様子でゆっくりと口を開いた。


「友達………雪村くんは私と友達になってくれるんですか?」


この感じ、懐かしい……

俺は確信した。中田さんは俺と同じ側の人間だと。


過去に何があったかは知らない。でも、どこか自分に自信が持てなくて……本当は寂しいのにそれを必死に隠して、目立たないように教室の隅で静かに生きてきたんだと思う。


俺はそれが嫌で高校デビューに賭けたけど結局失敗した。

でも中田さんは違う。


本当はすごく可愛くて、素直で、優しい子なのに……それを隠してるなんてもったいない。

彼女はもっと輝けるはずだ。俺なんかよりずっと。


俺の心に小さな火が灯る。

中田さんを守って導いてあげたい……

本当の彼女の魅力をみんなに教えてあげたい……


「もちろん!俺たち、もう友達でしょ?」


俺は笑顔でそう答えた。

その瞬間、中田さんはベッドの上で上体を起こし驚きを隠すように両手で口を覆い……そしてゆっくりとその手を下ろして緩む口元を見せてくれた。


「はいっ………!友達ですねっ!雪村くんっ!」


中田さんの表情は眩しかった。眩しすぎて直視することができないくらいに……

どこかくすぐったいような恥ずかしさがこみ上げてきて、俺は言葉で照れ隠しをする。


「『はいっ!』じゃなくて『うん』でいいよ、『です』とかも無しね」

「あっ……その、馴れてなくて……えへへっ……私と雪村くんは友達だねっ!……で、合ってる?」


「そう、それでいいんだよ!……じゃあ……一緒にご飯たべよっか?俺、腹減っちゃった……」

「うんっ!そうしよっ!」


無邪気な笑みを浮かべる中田さんに俺も頬が自然とほころんでしまい、どこか張り詰めていた緊張の糸がほどけるように俺はふぅと小さくため息をついた。


そして気づく……この会話のきっかけになったアレの存在に——


「あっ……あのさ、中田さん……ご飯の前に……その……足下のアレ……仕舞ったほうがいいかも?……俺、目をつむってるから……」


「あ゛っ!?そっ、そうだった!?ちょっと雪村くんまた見たでしょ!?恥ずかしいからあっち向いててよぉ!」

「見てない!いや、それは嘘かも!?ちょっと見えちゃった!でも殆ど見てないから早く仕舞って!!」


俺は反射的に首をひねり中田さんから視線を逸らしてギュッと目を閉じた。

ベッドの方からは『あっ』とか『うわっ』と小さな声が飛び交い、慌ただしく動く気配がしっかり伝わってくる。


こうして中田さんのでっかいブラがきっかけで、彼女との距離はまた一歩近づき……俺と中田さんは友達になったのだった——


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