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スレンダーなのに色々でっかい地味で気弱な中田さんをクズ彼から救った俺は、全力で彼女を可愛くしてあげたい。  作者: ファッション捜査課のスカリー


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第3話 スレンダーなのに色々でっかい中田さん

なんで私なんか助けてくれたんですか?

座り込んだ俺にそんな言葉を投げかけながら、優しくもどこか悲しげな視線を向けてくる中田さんが目の前にいた——


「そりゃ、中田さんが怖がってたから……あんな奴、俺は許せない……自分の彼女に向かってあんな酷い事言って……彼女に言っていい言葉じゃないだろ……?」

「………」


俺の不用意な言葉に中田さんの顔がさらに曇っていく。

その表情をこれ以上見ていられなくて、俺は痛む身体を無理やり起こし、後藤に振り払われたときに飛んでいった彼女の眼鏡を探して拾い上げた。


握ったそれは冷たく、そして残酷なほど壊れていて、片方のレンズには深いヒビが走っていた。


「ごめん中田さん、俺のせいで眼鏡……壊れちゃった……弁償するよ」

「えっ!?いいですそんなの……むしろ雪村くんのほうが心配です……」

「大丈夫……身体は勝手に治るから」


俺の事はどうでもいい……とにかく中田さんを守ることができた。それだけで充分だった。


本音を言えばただの見栄だ。でもそれ以上に、彼女をこれ以上苦しめたくなかった。

そんな俺に中田さんはまたあの悲しげな目を向けてくる。

俺はそれに軽く笑って応えると、そっとその場を離れようとした。

だが——


「まってください!ちゃんと治療しないとダメです!」

「えっ……」


突然彼女が駆け寄ってきて、そっと俺の手を握ってきた。

その手のぬくもりがじんわりと伝わってくる。


「保健室行きませんか?」

「いやっ、流石に保健室は……何があったか聞かれるのが……」


無抵抗ならまだしも、俺は結局我慢できずに後藤を殴ってしまった。

これでは校内での喧嘩ってことで下手すれば停学になるかもしれない。

だからこそ、俺はついそんなふうに言ってしまった。


「じゃ、じゃあせめて私の家で治療させてください!お願い雪村くん……私、そうじゃないと……辛いです……」


手を握ったまま、俺より背の高い彼女が膝を折って目線を合わせるように懇願するような表情で迫ってくる。


ちょっ……近い、近いって!?てか……中田さん……可愛い……?


その瞬間、俺は気づいてしまった。

地味に見えていた彼女の奥に確かに眠っていた美しさに——


急にバクバクし始めた心臓を抑えるのに必死で言葉が出てこない俺を、彼女はじっと見つめながらそっと手に力を込めてきた。


「ほらっ……雪村くん……お願いですから一緒に帰りましょ?ね?お願いです……雪村くん……」

「ちょっ中田さん!?わかった!わかったから!!」


………やばい…やばいやばい………


グイグイと手を引っ張っていく中田さんに導かれ、俺はそのまま廊下を歩いていく。

馬鹿みたいだが、人生で初めて女子に手を握られてもう感情がどっかへ吹っ飛びそうになっていた。


ていうか声が出ない……


結局、何も言えないまま中田さんに手を引かれ気付けば彼女の家に向かうことになっていた。


人生初の女子の家訪問がこれとか……なんか、やっぱ俺の人生ってズレてる気がする——



————



目の前に広がるのは、まさに女の子の部屋という言葉を形にしたような空間だった——


7畳ほどの部屋には整えられたベッドと勉強机、ふわふわのぬいぐるみ、もこもこのラグ、そしてプチプラのメイク用品……

それに加えてなんとも言えない甘くて心地良い、女の子特有のいい匂いがふわりと鼻をくすぐる。


そんな空間の中、俺はぽつんと正座していた。


「……ヤバい……マジで来ちゃったよ……中田さん家」


あのあと、中田さんに半ば強引に連れられて彼女の家にお邪魔し……そのままノンストップで部屋まで通されてしまった。


それからというもの、俺の心臓はずっとドキドキしっぱなしだ。

そんな中、俺の視界にとんでもなくまずいモノがちらついてくる。

ベッドの上にちょこんと畳まれて置かれていたのは、白くて可愛らしいレースの、アレ。


ブラジャー。


しかもめちゃくちゃでっかい……冗談抜きで片方のカップが俺の顔ぐらいある。

そんなブラジャーから推測される中田さんのおっぱいをどうしても想像してしまう馬鹿な俺。


バカ野郎ッ!!ダメだろこんなの!俺の怪我を治療してくれるって呼ばれたのに!

自分を叱りつけて、理性で本能を押さえ込む。

そんな童貞臭い馬鹿な葛藤をしていたそのとき、ガチャリと音を立てて扉が開き、中田さんが部屋に入ってきた。


「お待たせしました雪村くん」


彼女の姿に俺は思わず目を疑った。

無地のTシャツにハーフパンツという決してオシャレとは言えない格好。

だがそのラフな服装がかえって彼女のボディラインを際立たせていた。


真っ白な素肌、細身で長い手足、180cmはありそうな圧倒的な身長。尚且つ小顔でまさに理想的な八頭身。

なのに、胸元だけは次元が歪んでいるように見えるほどパンパンに詰め込まれた爆乳が暴力的なまでに主張していた。


寧々さんなんかとは比にならない。全てにおいて中田さんの方が上と言ってもいい。


そもそも、こんなスタイルの人間が存在するなんて……というレベルだ。

スレンダーなのに、色々でっかい……そんな中田さんに俺の心臓は今にも口から飛び出そうだった。


「あっ……ああ……」

「ん?どうしたんですか雪村くん?傷……痛みますか?」


呆然としたまま声も出せず、俺はその場から動けなかった。

目の前で彼女が静かに膝をつき俺と視線の高さを合わせるように座る。

その距離は息をすれば触れてしまいそうなほど。


だが彼女は何も気にせず救急箱を開いて必要な道具を取り出していく。

やがて、彼女は消毒液を含ませたガーゼを手に取りこちらへ向き直った。


やっぱり!?……中田さん可愛い………いや可愛すぎる……!!


自慢ではないが、俺の両親は親父がスタイリスト、母さんが元モデルで今は美容師。

そんな家庭環境だから小さい頃からその技術や美しさを間近で見て育った。


綺麗な人たちとの会食にもよく同席していた俺の目は自然と肥えているはずだ。

そんな俺の本能が今確かに告げていた。


長い黒髪は少し乱れていたけれど、それでも十分に美しい。

その奥に隠されていたのはまるでアイドルみたいな整った顔立ち。優しげで、でもどこか切なさを湛えた瞳。眼鏡を掛けていないからこそわかるのだろう。

整った鼻筋と、形のいい唇。その口元に浮かぶ小さなほくろが妙に色気を纏っていた。


後藤の目は節穴だ、この子は芋女なんかじゃない……きっと最高に美しい女性になれる……


そんな確信に満ちた思考を鈍い痛みが遮り、『痛っ』と声をもらしてしまった。

気づけば中田さんの顔がすぐそこにあって、息がかかるほどの距離で彼女は目を細めながら真剣に俺の口元にガーゼを当て、切れた箇所を消毒していた。


「ごめんなさいっ、痛かったですよね?」

「あっ……ああ………だいじょうぶ……大丈夫……」


心臓の鼓動が耳の奥でうるさいほど響いている。呼吸が浅くなり動こうとしても身体が固まってしまう。

こんなに綺麗で可愛い子が、俺のすぐ近くにいる……


視界の端に映るのは心配そうに見つめてくる中田さんの澄んだ瞳。

そして、ほんの少し視線を下げるとTシャツの首元から覗く滑らかで深い谷間と、雪のように白くて思わず見とれてしまうほど形の良いぷるぷるのおっぱい……


童貞の俺の理性がギリギリの綱渡り。

目が泳ぎすぎて自分で自分の視線を制御できない。


中田さんはそんな俺に気づく様子もなく至近距離で消毒を続けている。

その唇が少しだけ尖ったりするのが、妙に可愛い。


痛みなんてとっくに感じていなかった……


このままじゃ、マジで……心臓発作で本当に死ぬかもしれん……

そんな意味不明な思考に押され、俺はつい言葉を漏らしてしまった。


「なっ……中田さん……そのっ……ちっ近くない……?」

「ん?近い……?あっ!?」



     コツンッ★



ピリッと走る痛みとふわっと伝わる柔らかさ。

俺のおでこと中田さんのおでこがどうやら勢いよくぶつかってしまったらしい。

目と鼻の先にある彼女の顔に思わず言葉を失ってしまう。


「ごごごご、ごめんなさい雪村くん!私、眼鏡がないとあんまり見えなくてそれで、つい近くに寄っちゃって!!ごめんなさい!」


「大丈夫大丈夫大丈夫!!!俺こそやってもらってるのにごめん!!俺も気を使えなくて!」


バッと身を引いた俺たちは、同時に視線を逸らす。

しばし気まずい沈黙が流れるかと思ったが——


「ぷっ………ふふふふっ……はははっ!」


ころころと転がるような笑い声を漏らしたのは中田さんだった。


「なんかおかしーですね、私たち怪我の手当てしてるのに!ふたりでわちゃわちゃして」


無邪気に笑うその姿があまりに眩しくて、気付けば俺も笑っていた。


「そうだよねっ!ははっ……はははっ!」

「ふふふっ!雪村くんってすごい優しい人なんですね…なんか意外です」


「意外?」


「うん、金髪で怖い人かと思ってたから……なのに私とこんな感じで話してくれるなんて意外です!同じクラスだしもっと早く話しとけばよかったなって思って!私、友達少ないからこうやって話せるの嬉しくて」


「うっ、嬉しいって……そっか……俺も友達あんまいないから、中田さんと同じかも……」

「えっそうなんですか!?それも意外です!」


思わず照れ隠しみたいに言葉を返す俺。

そんな俺を見て目尻に笑い涙を浮かべながら彼女は微笑む。

間近で見るその笑顔は息を呑むほどに美しく……気付けば、俺の口元にも自然と笑みが浮かんでいた。


まだ数時間前までは見ず知らずの他人だったはずなのに……そうして俺たちは出会ったばかりとは思えないほど急速に距離を縮めていったのだった——



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