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スレンダーなのに色々でっかい地味で気弱な中田さんをクズ彼から救った俺は、全力で彼女を可愛くしてあげたい。  作者: ファッション捜査課のスカリー


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第29話 初体験の日♡

無事にミスターコンへの出場も決まり、やる気がみなぎる火曜日の放課後。

俺は一度家に帰って出かける準備を整えると、すぐに家を飛び出した――


というのも、今日はとある予定があるのだ。

それは……麗奈の兄貴のジムでトレーニングをするというもの。


麗奈の兄貴は彼女に負けず劣らずの筋トレオタクで、ついには自分でパーソナルジムを開いてしまったほどの人だったりする。


もちろん、麗奈と同じく昔からの知り合いでもある兄貴は、俺のことを弟みたいに可愛がってくれていて……麗奈経由で俺がミスターコンに出ることや筋トレを頑張ってるって聞いた途端、空いてる日はジムを貸してくれるって話になったのが事の始まり。


しかも今日はいつも俺トレーニングを支えてくれる麗奈に加えて、前から一緒にやりたいって言ってた栞も参加する予定だ。


本来なら昨日の放課後に集まりたかったが、親父がこっちに戻ってきて仕事してるから見に来いと急に呼ばれた関係で、予定を今日に変えてもらった——


俺は栞に『一緒に行こう』と言われていたため、兄貴のジムがあるマンション前で彼女と待ち合わせしていた。

待ち合わせ時間の5分前……俺の視界に飛び込んできたのは遠くから走ってくる栞の姿。


今日の彼女の服装は、動きやすそうな白い無地Tシャツにグレーのショートパンツといういつもよりスポーティーな感じなのだが……服装が地味だからこそ余計顔の可愛さが露呈し、相変わらず動きに合わせて派手に揺れるでっかい胸が俺の理性を刺激してくる。


なんというか、擦れてない感じが余計にエロいんだよな……


視線のやり場に困って目を泳がせていたら、知らぬ間に彼女が天使みたいな笑顔ですぐ側に立っていた。


「薫くんおまたせっ!今日は誘ってくれてありがとねっ!」

「おおっ!?ああ、まあ俺は誘っただけだし……お礼なら麗奈とその兄貴に言ってやってくれ」

「うん、わかった!でもちょっと緊張しちゃうなぁ……私ジムとか初めてだから……」


「大丈夫!俺も栞と同じでジムは初めてだし……麗奈がついてれば問題ないだろ!あいつスパルタで容赦ないけど、面倒見いいし、栞のスタイルをもっと綺麗にしてくれるって!俺も最近、腹筋割れてきたんだぜ?ほんと麗奈はすげぇよ!」


「へぇ〜!すごいんだねぇ〜!|……………………………《でもなんでだろ?なんかモヤッとしちゃうなぁ…》」


幼馴染みの功績を得意気に話していた俺に栞はキラキラした目を向けたかと思えば、次の瞬間なぜか口を少しへの字にして黙り込む。


「ん?……栞、今なんか言ったか?」


微かに唇が動いていたようにも見えた気が……?


「ううんっ!?何でもないよっ!……ほらっ片桐さん待たせちゃ悪いしいこっ!」

「ああ……そうだな!」


なんだ……気のせいか……


既にいつもの笑顔に戻っている栞を見て、そう思い直した俺は栞を先導するようにジムへと向かった——



————



「「おじゃましま〜す」」


ジムの扉を開けた途端、俺たちの声が重なって響いた——


その声に反応するように、廊下の奥からスポーティーなへそ出しウェアに身を包んだ麗奈がひょっこり顔を出してくる。


「おっ!来たなふたりとも!待ってたよ〜!」

「片桐さんっ!きょ、今日は呼んでくれてありがとうございます!宜しくお願いしますっ!」


「あははっww中田さんはそんなにかしこまらなくていいってぇ!ほらっ、ふたりともボーッとしてないで靴脱いで上がってきなよ!」


麗奈は急に借りてきた猫のようにかしこまって、ぺこっと頭を下げる栞に苦笑しながら俺たちを中へ招き入れてくれる。


そのまま彼女を先頭に細長い廊下を進んでいくと、一気に視界が開けトレーニングマシンがずらりと並んだ空間が目に飛び込んでくる。

中央には大きめのヨガマットのようなものが敷かれ、まさにジムって感じの場所が俺たちを出迎えた。


デザイナーズマンションの一角を改装しただけあって、どこかオシャレで清潔感のある空間に思わず『おおっ』と声が漏れる。


「荷物は適当にそこらへんに置いといてね!あと、着替えるなら更衣室とかシャワーもあるから言って!」

「サンキュ、麗奈!」


荷物を床に下ろすと、俺はその中から小さな包みを取り出し麗奈の前に差し出した。

普段から世話になってる感謝の気持ち……親しき仲にも礼儀ありってやつだ。


「麗奈、今日はありがとな。ほら、これお前の好物のシュークリーム。ご両親とでも食べてくれよ。あと兄貴にこれ渡しといてくれるか?ジム貸してくれたお礼に愛用のプロテイン買ってきた」


「うわぁマジ!?薫のくせに気が利くじゃん!ありがと!……しかも兄ちゃんにはプロテインとかwwあーしの兄ちゃんの扱いわかってんじゃんwwおっけ!渡しとくよ!」


麗奈は嬉しそうに俺からの気持ちを受け取ると、八重歯を覗かせてニッコリと笑った。

その笑顔を見てホッとしたものの、俺が伝えたかったのはそれだけじゃない。


もっと大事なことがある……


目の前で満面の笑みを浮かべる麗奈に向かって、俺は少しだけ声色を引き締めてゆっくりと口を開いた。


「それと麗奈……昨日、あのあとお前と話せなかったから、今言っときたくて……クラス会議の時、俺のこと庇ってくれてありがとな……」


「何言ってんだよ、いつもの事でしょ?ミスターコン出る事は聞かされてたし……まあ中田さんと一緒に出るってのは昨日初めて知ったけど?なんてww」


「わっ……悪い……まだ言ってなくて……」


真面目に言ったつもりなのに、麗奈はにっこり笑ったまま茶化すように冗談を返してくる。


「まあ、それはそれとして。薫の筋トレに付き合ってるあーしからすれば、あんたが本気だってことちゃんとわかってるからつい腹が立っちゃって……しかも薫もすぐに庇い返してくれたじゃん?それだけで十分だよ……まぁ薫はあーしがいないとなんも出来ないからなww」


「お前っ……俺は真面目に言って……」


ふたりの温度差にちょっと戸惑いながら言葉を継ごうとしたその時、麗奈が俺の肩をポンッと叩いて軽く割り込んできた。


「薫っ!そこまでっ!……いいんだよ、あーしは誰がなんと言おうとあんたの味方でいたいの。ただそれだけじゃん……はいっ!辛気くさい話はコレで終わり!トレーニングしよ!中田さんもポカンとしちゃってるよ?そうやってまわりを気にしないで突っ走るからモテないんだよww」


麗奈の瞳にかすかな真剣さが宿ったのも束の間、すぐにいつものように元気な笑みを浮かべ、茶目っ気が戻ってきてしまう。


「麗奈お前なぁ……」


口ではそういいながらも、あいつなりの気遣いってことくらい俺にも分かる。

だからこれ以上は何も言わずに、俺は気持ちをトレーニングに向けようと切り替えていった——



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