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スレンダーなのに色々でっかい地味で気弱な中田さんをクズ彼から救った俺は、全力で彼女を可愛くしてあげたい。  作者: ファッション捜査課のスカリー


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第21話 カフェ会議は勘違いと共に…

中田さん……いや、栞とカフェに移動した俺は、一通り注文を終えて自分の飲み物を手に席に着いた——


もちろん、今日もいつものポジションで俺たちは座っている。

そう、横並びである。

理由は定かではないが、栞は必ず横並びの席を選ぶのだということが最近わかってきた。


そんな距離感にも若干馴れてきている俺がいるのも事実。

だが、それでも拳ひとつ分の距離、そして目の前にある栞の爆裂ボディにはどうしても目が泳いでしまう。


おっぱいってさ………いいよね……


こんな気持ちを抱いてしまう自分が少し情けないが……でも、どうか許してくれ。男の性だ。


そもそも俺は別に栞とそういう関係になりたいわけじゃないし、なれるとも思っていない。


俺の役目は彼女を可愛くして、その魅力をみんなの前で証明し、それに気付いた彼女にふさわしい王子様への橋渡しをすることだ。


それに栞は今のままでも眩しすぎるくらいに可愛くて、俺なんかが隣に並べるような存在じゃない。

まあ、そう思うことで平常心を保とうとしているのかもしれないが、これが一番うまくいく形なんだと思ってる。


「じゃあ中田さん……今後のミスコン対策なんだけど……」


そこまで言った途端、栞はわざとらしくプイッと顔を背けてしまった。


「中田さんなんていませんっ」

「………あっ、ごめん……栞……さん……」


「ち〜が〜う〜っ!し・お・りでしょ?はいっ、もう一回やり直しっ!」

「あっ……その……栞……」


「うんっ!なになに?♡」


なにその……可愛い感じのやつ……


ニッコニコの笑顔に変わった栞に、思わず俺も苦笑を浮かべてしまった。


やっぱり呼び名を急に変えるっていうのは、頭では分かっていても声に出すのはなかなか難しいものだ。

でも人間には慣れってもんがあるワケで、今後馴れないといけないのも確かだ。

そうじゃないと口をきいてくれないし……


「で、今後の栞の方向制なんだけど……いくつか改善していくポイントがあると俺は思ってるんだ……」


俺は一度気を引き締め本題に切り替える。

するといつのまにか栞の顔にも自然と集中の色が宿っていた。


「うん、薫くんはどうすればいいと思う……?」

「そうだな……大きく分けてヘアー、メイク、あとボディメイクと当日着る服選びが必要だと思うんだよ……」


実際、栞は近くで見るととんでもなく可愛い。

だけど、まだ多くの部分が未開拓……というか洗練しきれていないのも事実。

その中でもとりわけ目立っていて、しかも変化の大きな部分がそこなのだ。


それに、俺の高校のミスコンはちょっと特殊で実は別の問題もあるのだが……まあ、それは今考えるべきじゃないから後回しにしておこう。


栞は俺が頭の中でイメージを膨らませながら慎重に言葉を選んで伝えていく様子を、じっと真剣に見つめて聞いてくれていた。


「う〜ん、私は外見とか自分にほんと無頓着だから……薫くんに従うよっ」


「わかった……だったらある程度、俺の考えで進めていくな!なんだかんだで文化祭まで時間がないから結構タイトなスケジュールになると思うけど……大丈夫か?」


「もちろん大丈夫!私ずっと暇だから!予定なんてないからっ」


………うん、無自覚な自虐は俺にも効くよ、栞……俺もバイト以外予定なんてないから……


正直もっと色々と意見が出るかと思っていた。

でも、拍子抜けするくらいに早く方向性が定まってしまって少しだけ戸惑いすら覚える。


それでも、それが彼女の信頼の表れだと感じられてどこか誇らしい気持ちにもなった。


残る課題は最初に何から手をつけるか……だ。

俺はそれを決めるべく、話題を次のステップへと進める。


「あとは……まずなにから始めるかってとこなんだけど、栞はどれからやりたいとかあるか?」


「う〜ん、特にコレってのはないけど……自分でもスゴイ変わったなってすぐに思えるものの方がやる気が出そうな気はするかなっ?」


「すぐに変われるものか……」


顎に手を当ててぼんやりと宙を見つめながら考えてみる。


ファッションはトータルの見栄えが命だし、ボディラインの変化は時間がかかる……メイクに手を出すならまず……額縁を整えるのが先だよな……


そう考えた時、俺の中でひとつの答えがピタリとハマった。


「よしっ!ならまずは髪型から変えよう!それが手っ取り早いと思う」


「髪型?うん!最近切ってなかったし丁度いいかもっ……で……具体的には薫くんオススメのヘアサロンとかに行けばいいのかな?」


「ああ、それなら任せてくれ……オススメのヘアサロンといえばそうなんだけど……」


俺には密かに考えていた秘策があった。


髪型はその人の印象を決める大切なパーツだ、だからこそ信頼できる人に任せたい。

初対面の相手ではなく、ちゃんと話せて技術も確かな人に。

そんな条件を満たす人物を俺はひとりだけ思い浮かべていた。


「栞……週末、俺ん家に来てくれないか?」


「……へっ!?私が薫のおおおお家に!?えっ!?えっ!?まってまってまって!!まだ私、心の準備出来てないよっ!?まだ可愛い下着も買ってないしっ、私たちまだ付き合ったりとかまでは行ってないし……でも……薫くんがそうしたいなら……えっ、でも私っ……♡」


……ん?栞は何言ってんだ?


俺の提案に急に慌てたようになり、頬に両手を添えながら体をくねらせ独り言のように早口で呟き始めた栞を怪訝な目で見ながら、俺は事の詳細を説明していった。


「えっと……栞?俺ん家っていっても、俺の母さんのサロンの事だぞ?」


「へっ……薫くんのお母さんのサロン………?」


「ああ、俺の母さん美容師だっていってなかったっけ?しかもめっちゃ腕が良くて全国で講演とかもやってたりもするんだ。でさ、今週末に帰ってくるから、どうせならそのタイミングで頼もうかなって。お金もかからないし、しっかり相談できるし、ちょうどいいだろ?」


これが俺の秘策だ。

栞を母さんに合わせるのは正直ちょっと恥ずかしいけどでもこれは彼女のため。


母さんならきっと、いや絶対に栞を可愛くしてくれると信じてる。それくらい腕は確かなんだ……癖は強いけど。


「へっ………へっ!?………………(ふしゅ〜〜〜……)///」


俺が話を終えるや否や、なぜか栞はボフッと顔を伏せたまま耳まで真っ赤にし、頭から湯気を出している。

そして、しばらく固まっていたと思ったら急にプルプルと身体を震わせはじめた。


「もうっ………薫くんの……ばかぁ!……そういうの反則だよぉ……!!」


「えっ!?なにが!?」


「ばかばかっ!もうっ!私のあの感情を返してっ!」

「ちょ、ちょっ!?栞!?なになに!?痛っ!?」


涙目になり頬を膨らませながら、勢いよく俺の肩をポカポカと叩いてくる栞。


はじめて見る彼女の姿に戸惑いつつも、状況がまったく飲み込めず俺はただされるがままにそのポカポカを受け止めるしかなかった。


そんなこんなで結局、週末に栞が俺の家に来ることが決まったのだった——


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