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スレンダーなのに色々でっかい地味で気弱な中田さんをクズ彼から救った俺は、全力で彼女を可愛くしてあげたい。  作者: ファッション捜査課のスカリー


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第19話 ショボーンな中田さん

土日明けのどこか気怠い月曜日の放課後——

俺は今、二つの深刻な問題に直面していた。


ひとつは単純に全身が筋肉痛で動けないこと。でも、それはまだいい。

本当に厄介なのは、もう一つの方だ。


目の前にあるのは自分の席と、それを挟むようにどこからか借りてきた椅子に座っている中田さんの姿。

彼女はあからさまに肩を落とし、しょんぼりしている。


今日の放課後はカフェで今後の中田さん美女化計画について話す予定だったはず。

しかし、彼女の様子を見る限りどうにも気が進まないような感じだ。


今日は朝から中田さんの様子がどこか変だった。

というか、朝『おはよう』と挨拶をした時も目をあまり合わせてくれなかったし……

思い返せば、昨夜からなぜかメッセージの返信が遅くなっていた。

が、その理由がまったくもってわからない。


……俺、何か気に障ることでもしちゃったのかな?


そんな考えばかりが頭を巡って今日は授業にもまったく集中できなかった。

中田さんとは土曜日の別れ際以来顔を合わせていない……となれば原因があるとすれば、やっぱりメッセージの内容だろう。


でも、何度も授業中にこっそり見返してみても、そうなるようなやりとりは見つからなかった。


「あのっ……なっ、中田さん……そろそろ、カフェ行く……?」

「あっ………うん……そうだね……」


おそるおそる声をかけた俺に彼女はほんの一瞬だけ目を向けて応えると、すぐにまた視線を落としてしまう。

そんな彼女の態度に俺もどうしたらいいのか分からず、ただ困り果てている。


気まずい空気が重くふたりを包む中、突然、明るく弾けるような声がその空気を割るように飛び込んできた。


「薫ぅ〜!今日の夜もあーしと一緒にヤルの?ヤルならまた沢山絞ってあ・げ・る!」


思わずビクッと体が反応してしまい慌てて視線を向けた先——


そこには黒髪ショートヘアの女子がひとり、ニヤニヤと何かを企んでいるような顔で俺の方をじっと見つめていた。麗奈だ……


「れっ、麗奈!?いつの間にそこにいたんだよ!?急に話しかけんなって……びっくりすんだろ!?しかもなんだよその言い方!?」

「はぁ?失礼だなぁ!こんな美少女が話しかけてやってんのに!実際、昨日も汗だくになりながら沢山絞ってやったじゃん!」


「|…………………………………(へぇ、雪村くん昨日、沢山絞ってもらったんだぁ……へぇ…)|………………………………………………(なにを絞って貰ったのカナ?なにをヤッたのカナ?)」


微かに中田さんの口元が動いた気が………?


「美少女ぉ!?バカ言え!てかその下品な表現やめろって!お前一応女だろ!?」

「あ!!ひっど!薫のくせに!」

「薫のくせにって……その言い方の方が酷いだろ!?」


いつものくだらないやり取りで少しは場が和んだかと思ったが……俺の視界の端で中田さんはより一層暗い影を落としていた。

そんな中、麗奈がそっと彼女に目をやったと思った瞬間、不意に驚いた声をあげた。


「……えっ!?もしかして今、取り込み中だった!?ごめん……てか……薫が女の子と話してるのマ!?」

「お前なぁ……見ればわかんだろ、空気読めって……」


つい呆れてしまった俺は机に肘をついて頭を抱えた。

麗奈は本当に空気が読めない。昔からずっとそうだ……

だけど、そんな俺の様子なんてお構いなしに麗奈は中田さんに興味津々な様子で話しかけ始める。


……流石のコミュ力、恐れ入る。


「あのっ、なんか割り込んでごめんね!えっと……確か同じクラスの中田さん……だよね?あの背の高い……あーしは片桐麗奈!よろしくね!」

「あっ……はいっ……あのっ……私、中田栞ですっ」


急に話を振られて驚いたように返す中田さんに、麗奈は構わずグイグイ距離を詰めていく。まさに体育会系コミュニケーションってやつだ。


「よろしくね中田さん!でさ、中田さんは薫とはその……友達なの?」

「えっと、その…………はい」


「ふ〜ん……友達ね…………………そっかそっか!遂に薫にも女友達が出来たかぁ!いやぁ、あーしびっくりだよ!」

「びっくりってお前なぁ……」


麗奈は俺と中田さんを交互に見たあと不思議な間を空けてそう呟き、俺の肩をポンポンと叩いてくる。


「じゃあ中田さん……コイツと仲良くしてやってね!見た目金髪だし、だいぶ変なヤツだけど中身はいい奴だから!」

「あっ……はっ……はい……」


おい、流石にその絡み方は……中田さん気弱なんだぞ!?

中田さんに馴れ馴れしく話しかける麗奈に、どこか気まずそうに返事をする中田さん。

その様子に気付いた俺は慌てて麗奈を止めに入った。


「おい麗奈!?中田さんちょっと引いてるだろ!?」

「引いてるって、そんなことなっ………」


麗奈が何かを言いかけた瞬間、その言葉を遮るように教室の出入り口からもうひとつの元気な声が飛び込んできた。


(麗奈〜お待たせ!一緒に部活いこ〜!)

「あっ、かえで!いくいく〜!…………わりっ、友達呼んでるから、あーしはここら辺で!じゃ薫!また後でメッセージするわ!」


たぶん、その声の主は麗奈と同じ部活の子だろう。

その声に呼ばれた麗奈は床に置いていた荷物をサッと手に取り、軽快に俺たちの前から去っていった。


そして、その場に取り残された俺と中田さんの間には妙な気まずさを含んだ静けさがだけが残っていた。


「はぁ……なんだったんだアイツ……」


そっと吐いたため息のあと、何気なく中田さんに目をやると彼女と視線が重なった。

その瞳はどこか戸惑いがちで、時折、左右に揺れている。


やがて彼女はその静寂を破り、戸惑いと躊躇いが入り混じったような面持ちでぽつりと俺に問いかけてきた。


「ねぇ雪村くん……聞いていいかな?……あの………片桐さんは……雪村くんの彼女さんなの?」

「…………………へっ?」


思いがけない内容に俺は思わず間抜けな声を上げてしまう。

しかし、中田さんは真剣な表情のまま言葉を止めることなく話し続けてくる。


「だってスゴい仲よさそうだし……今日の夜も会ったりするの?その……そういうちょっとエッチな感じで……」

「……えっ!?違う違う!麗奈はそんなんじゃないって!アイツの言ってるのもただの悪ノリでっ!」


これは、とっっってもマズい!?中田さん完全に勘違いしてる!?麗奈……恨むぞマジで………


中田さんの明らかな誤解に、俺は焦りながらも言葉を選ぶ間もなく条件反射のように否定していた。

その言葉に反応した彼女は、どこか不満げなジト目でじーっと俺を見つめてきた。


「ふ〜〜ん、そうなんだ……でもっ……でもさっ……雪村くん昨日公園で片桐さんと会ってたよね……?私、見ちゃったんだ……」

「……えっ……!?」


中田さんの口から飛び出したまさかの一言……

その内容に俺の思考は完全に停止してしまう。


そして重苦しい沈黙がまたしても俺たちの間にのしかかるように落ちてきた——


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