第26話 後輩が無茶振りしてきた。
小さめの部屋の中に積み上げられた現金を見て、ひなのが江本に敬礼のポーズを取った。
「い、今までのご無礼どうかお許し下ちゃい!」
……こいつ、将来長い物に巻かれるタイプにならんか心配だ。
今まであんなに大物感を出してたのに……
対する江本は魔王のような悪い顔でひなのを見下ろしていた。
「はっはっは!我の力を思い知ったか!!」
「ははーーーっ!!」
なんだこの茶番。
お前ら意外と相性良さそうだな。
いやだがそれにしたって5000億だって……?
そんな額、現金化出来るものなのか?
しかもこんな部屋に丸ごと置いちゃって……
「お前……これこんなとこに置いてて良いのか?盗まれたりってのもるが災害で失くなるかも知れないのに……」
「良いんですよ。私、超現金主義者なんでこれ見てると落ち着くんです。それに別に失くなっても良いんです」
「こ、こんな大金がか?」
「えぇ。働かなくても生きていける貯金はきちんと別の所に入れてありますし。これは私の精神安定剤みたいなものなんです」
「へぇ……」
ならなんでうちの会社で働いてんだ?
そうも思ったけどそれがこいつのポリシーなんだろう。
まだ20代なのに末恐ろしい奴だよ。
佐々倉さんもいつかこの額を稼ぐようになるのだろうか。
夢しかねぇな……
俺達がひとしきり驚いた後、江本は両手を軽く叩いて今日の目的を聞いてきた。
「さてと、そろそろ先輩達がうちに来た理由を教えて下さいよ。ちゃんとした理由ならきちんと帰してあげますから」
「それ、理由が不真面目ならどうするつもりなんだよ」
「決まってるじゃないですか~!」
江本はあの夜と同じように俺の両頬を挟み、妖艶に笑った。
「お子さんの前じゃ言えないような事ですよ……♡」
「あーパピー!!浮気は許さんぞーー!!」
「か、勘弁してくれ!!」
※
「Vtuberとして売れるには、ですか?」
俺は江本の家の高級そうなソファに腰掛けて隣に座る彼女に相槌を打った。
「そうだ。お前Vtuber事情に詳しいんだろ?もし撮影とかもしてるならその様子とかも見せて欲しいんだ」
俺が今日ここに来たのは恐らく佐々倉さんよりも人気のある、こいつのVtuberとしての活動を見せて貰う事だった。
ここまで稼いでるんだ。
俺の期待は膨らむばかりである。
だが江本は疑うような眼差しで膝の上に肘をついて俺を見上げた。
「先輩、Vtuberにでもなるんですか?」
「い、いや俺はならんけどちょっと……な」
「……じーーー……」
なんだよそんな睨んで。
江本はため息を吐く。
「はぁ……言っておきますが"MiyaBi"の為という事なら協力しませんよ」
「な、なぜ……?」
「先輩分かりやすっ。いやそもそもですね?一視聴者でしかない先輩に何が出来ると言うんです?」
「うっ」
まさか江本に"MiyaBi"の正体はこの前会ったJKでその子が困っているから知恵を借りに来たとは言えん……
いやまぁ言っても良いんだが、こいつVtuberみたいだし……ほら何て言うか微妙じゃん?
それにしたって何で"MiyaBi"の手伝いは嫌とか言うんだろ。
まさかアンチか!?そうなのか江本!?
「……何か失礼な事考えてるでしょ」
「め、滅相もない」
「とりあえず嫌と言ったら嫌です。先輩、用はそれだけですか?」
「……そう……だけど」
江本はすると俺の肩をポンポン、と叩いてにこやかに笑った。
「なら先輩、私と一緒に配信してみましょっか!!」
俺はその言葉にこう返す事しか出来なかった。
「はい???」
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