11.あたしゃユーキの婆だよ。ちょっとアタシの話を聞いておくれよ
やっぱり文章を書く(打つ)のが遅いです(>_<)
平日は2,3日に一度は更新したいと思ってますので
宜しくお願いします。
アタシはナディア・フォン・アンダルシア。ユーキの婆だよ。
まさかユーキがこの年で【ヒヒイロカネ】保持者だとは……これは他の奴らに知られたら、かなり面倒なことになりそうだねぇ。
国か神殿か……本人が仕えたいと望むなら協力も吝かではないが、その気は無さそうだしねぇ。
本音を言えば、聖女になって欲しかったと言う気持ちが無いと言えば嘘になるよ。
でも、せっかく会えた可愛い孫娘だ。好きなように生きて欲しいのさ。
唐突だけど少しこの婆の話に付き合ってくれるかねぇ。
あれは今から百年程前だったかーー
「お父様、お母様、ワタクシ好きな方ができましたの、彼がワタクシの運命の方ですわ!」
成人の儀の舞踏会の後、家に帰ってきたナッキリーヌが突然そんなことを言い出した。
お相手は魔人族の第三王子であらせられるオスカー・ノア・タルタニクス様とのこと。
オスカー王子と言えば見目麗しく、勇者の称号をお持ちで、現在世界に数人しかいない【ミスリル】保持者。
その上性格も良いとくれば世のお嬢様方は放ってはおかないでしょうよ。
現にご公務などで、公に姿を現そうものなら、その姿をひと目見ようと、下は天命石の儀前のお嬢ちゃんから上は棺桶に片足突っ込んだ様なお姉さま方まで、かなりの人数が押しかけたって話さね。
そんな引く手あまたのオスカー様だが浮いた噂の一つも無い清廉潔白な御仁とのこと。
本人に会うまでは正直、出来すぎて逆に胡散臭いと思っていたねぇ、そんな物語の主人公みたいな奴がいるわけないぞと。
よほど隠し事が上手いのか、それとも優秀な臣下を抱えているのか、とかね。
おっと、不敬にあたるからここだけの話にしておくれよ?
結局、本人に会って話をしてみたら……噂通りの好青年だったねぇ。高貴な身分に在りながら偉ぶったところがなく、娘の親の我々も敬ってくれてさ。
そんな御仁に「お義母様」なんて呼ばれた日にゃあね……フフ。
……アタシゃ別にチョロい訳ではないからね?
さて、我が娘ナッキリーヌだが……
アンダルシア家は天人族の中でも魔力の質が高く、代々聖女を輩出している由緒正しき侯爵家。
かく言うアタシも元聖女さ。
その中でもこのナッキリーヌは抜きん出て魔力量、魔力の質が共に高く、天命石の儀において既に【金】。これには驚いたね。
そして成人の儀を迎えた今ではオスカー様と同じく【ミスリル】保持者。
それにあの子はアタシに似てまぁまぁ器量よしだったしね。フフ
そんな訳で国内外の王侯貴族からの婚約の申し込みが後を絶たない状態でね。
魔力は遺伝するから、自分とこの血筋により優秀な血を入れたいんだろうさ。
そんなんだから二人が結婚したいと言った時には身内の我らより周りの雑音の方がやかましくてねぇ。
【ミスリル】保持者で聖女となり得る優秀な人間を他国に出したくない国やら貴族やらが口出してきて揉めに揉めたんだよ。
はぁ、あの時は本当に面倒だったねぇ。
アンダルシア家にしてみれば嫁ぎ先なんぞ別にどこでも良かったし、本人の好きなようにすれば良いと思っていたから別段反対はしなかったのさ。
今時政略結婚なんてナンセンスもいいとこさね。
ただ、一つだけ懸念があったのは彼の御仁が魔人族だという事。
魔人族は一夫多妻なのさ。
まぁ、いくら魔人族でも全員が多妻な訳では無いさね、でもね彼の御仁は王族。
王族の務めとして本人が望む望まないに関わらず、柵が付いて回るものなのさ。
ナッキリーヌも魔人族が一夫多妻なのは理解していたから、大丈夫かと思っていたんだけどねぇ。
まさかあんな事になるなんて……
様々な問題をクリアしてようやく一緒になった二人は、暫くは仲睦まじい様子だったさね。
それが変わって来たのはやはりと言うか、彼の御仁に第二、第三の奥方が増えた頃かね。
あの子は幼少の頃から神殿で聖女教育を受けていて、他の種族の子らとそう言った話をしたことも無かっただろうし、周りは天人族で一夫一妻が当たり前だったから、結婚とは「愛し合う二人が一生連れ添うもの」だと漠然と思っていたんだろうよ。
まぁ、夢見がちな箱入り娘ってやつだね。
それでも何とか折り合いをつけて我慢していたようだったんだけどねぇ……
あれはあの子が結婚して約五十年経った頃か……待望の子を身ごもった時だねぇ。
妊娠中はただでさえは精神的に不安定になるし、それに他の奥方の事で少し疲れていた様だったしね……まぁ、初めての子と言う事で、大事を取って領地に里帰りさせていたんだよ。
それから暫くして、王城で世話をしてくれている女官が館に訪ねて来ると連絡があったらしい。
その日は生憎神殿に出掛ける用があったのだけれど、ナッキリーヌも嬉しそうにしていたし、まぁ大丈夫だろうと思ってね、館の事は家令に任せてアタシらも外出していたのさ。
外出から戻るとナッキリーヌはいなくてね、家令からの報告ではーー
初めは女官と楽しそうに話していたが急に怒り出した。
家令に「急な話だが王城に戻る用事が出来た。父母には心配しないでと伝えて欲しい」と言って、取るものも取り敢えず出掛けて行ったらしい。
何があったか分からぬまま、気付いたら行方不明になっていてね、そりゃあもう心配したってもんじゃないよ。
旦那様もアタシも憔悴してねぇ……眠れぬ夜をすごしていたって言うのにーー
あんのバカ娘がっ!!!
数日後ーー
「お義母様と大神官様の協力の下、オスカー様と離縁しちゃいました☆捜されると面倒なので異世界に行ってきま~す。伝手で神様の助手をする事になりましたので生活には困らないと思います。あちらの世界でこの子と二人で頑張りますので心配しないで下さい。この子が産まれたらまた連絡するね☆」
わざわざ神託を下して連絡して来たのさ、あのバカ娘は。
まぁ、結局向こうで幸せに暮らして居たみたいだから良いけどさ。
でもね、偶にふと考えるのさ……
離縁の原因となった女官は元々はどこからの紹介だったのか。
あの日アタシらが神殿に呼ばれたのは偶然だったのか、それともその日に合わせて来るようにした?
お后様と大神官様の協力と異世界神の伝手とやらが早過ぎやしないか。
そもそも異世界に渡る事をこんなに簡単に行えるのか。
バカ娘が直ぐに神託を下せたのも、向こうでのユーキの身体が用意されてたのも準備が良すぎやしないか……
誰かの思惑、だったのかねぇ
やんごとなき方々の考えはアタシには分からないが、結果娘と孫娘が幸せならそれでいいさね。
あ、でも危うくユーキの魂を消すところだった、あの調整ミスした件の神様は許さないよ。
ナッキリーヌから慰謝料として神力を分捕ってスキルにしたとは聞いたが、そんなものでは生ぬるいよ。
もし会うことがあったら……フフ。
昔の平たい顔の「優希」も、今のアタシや娘に似た「ユーキ」もどちらも可愛い孫娘には変わり無いからね。どうか幸せになっておくれよ。
あ、ユーキの【ヒヒイロカネ】は神力のせいだね、間違いないわ。
さて、ステータスも含めてどの様に隠すかね。ふむ。
この後、家族会議でも致しますか。
間に婆さまの独り言が入りましたが
次回やっとステータス考察です。




