第20話 落ちたら先にあったものは
「ん……」
『なんか下がフワフワして、ぬくぬくする……』
目を開けると蕾は知らないベットの上で寝ていた。
外から差してくる日差しと温もりが蕾の体を優しく包み込み、シーツの布は少し埃っぽい感じもするが優しいお日様の匂いみたいなのがしてとてもリラックスした。
『誰かが塗ってくれてた……?』
頬にヒリッとした痛みがしたが手で傷口を触れてみると、塗薬のようなものが塗られていた。
蕾はまだハッキリとしない意識でぼーっと、瞼を開けていると知らない少年が視界に入り込んできた。
「よかった……!目が覚めたんだね」
茶髪の少年の安心した様子で笑顔で蕾に語りかけてくるが蕾からの視点で見ると、ただ知らない人の巨大な顔が視界に映り込んできたようにしか見えなかった。
「おひゃゃぁああ!!?」
「うひゃゃぁぁあ!??」
突然見知らぬ少年の顔が目の前にデカデカとあった為に吃驚して叫んだ蕾に驚いて少年も釣られるように叫んだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ごめんなさい、助けて貰ったのに悲鳴を上げて……」
「いいよいいよ。突然僕も大きな顔で覗きこんだのも悪かったし。そんな謝らないでツボミちゃん」
なんとか誤解が解けると同時に蕾は何度も謝り、お礼の言葉を述べた。
茶髪の少年“アルバ”という少年に蕾は事情を説明すると、アルバは驚きながらも、蕾の話を大人しく椅子に座りながら聞いた。
「けど驚いたよ。アルバ君って、隊長さんの部下さんだったんだね~」
「うん。まだ弱いし下っ端だけど僕は今、ルア隊長が率いる五番隊で働かせてもらってるんだ」
見習いの兵士であるアルバはどうやら歳も蕾と近く、此処に来て日もそんなに経っていないらしい。
身長も然程伸びておらずルアの外人のような体格と比べると明らかに低く、腕も体全体も筋肉の付きもまだ発展途中なのか細かった。
兵士という割にはアルバの見た目からはまだ少年のようなあどけなさが見受けられた。
「大丈夫。ルア隊長の部屋の場所なら知ってるし、ルア隊長の元には僕が責任持って返して……イテテッ……!」
「ど、どうしたの?」
急に腹を押さえて痛がるアルバを見て、心配になった蕾はそっとアルバの体に近づき膝の上に乗ると、アルバの上着を捲ってみた。
アルバの体には転んで出来たような細かなすり傷以外にも、腹に目立つ大きな青痣が出来ており、内出血を起こしていた。
「うわぁ、酷い痣!痛そう……」
「あはは……ちょっと剣術の訓練でミスっちゃってそれで……」
思わず蕾は眉を歪め、口元を手で押さえてしまう。笑いながら衣服を下げ、己の怪我をアルバは誤魔化そうとしていた。
「自分で手当てしようにも回復薬なんてとてもじゃないけど高いし、自分じゃ調合出来ないし……」
「え、じゃあ私のこの薬は――……」
「あ~……!それは、妹が心配だからってくれたんだ」
アルバが見せてくれた小瓶の中身は空っぽになっていた。




