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第16話 ここは異世界?

 「あの~、でも……ここまで着いてきてしまって今更なんですけど、そもそもここは何処なんですか?私そろそろ飛行機に乗ったりして日本にある自分のお家に帰りたいんですけど……」


 スープを食べていた手を休め、蕾はスプーンを置くとルアの青い瞳を見上げる。


 『でもお父さんお母さん。私こんな姿になっちゃったけど、ちゃんと私だって分かってくれるかな?』


 蕾はすっかり変わってしまった自分の体と手の平を見つめた。この姿で会っても急に『貴方たちの娘の蕾です!』っと言っても信じて貰えるかどうか。


 「ヒコウキィ?ニホン?なんだそれは?」


 ルアは不思議そうに首を傾げる。


 「えーっと、飛行機というのは乗り物のことで日本っていうのは私が住んでいる国のことです!」

 「なるほど。お前はその“ニホン”という国住んでいたのだな?」


 何やらルアは考えるように顎に手を当て考え始めた。


 「……だが俺が知る限り、そんな“ニホン”なんていう国はこの世界には存在しない」


 「そうですかー。……え?えぇッ?!」


 『に、日本が存在しないィーッ!?』


 思わず自身の耳を疑った。けど、この前の学校の健康診断の検査項目の1つである聴力検査では両耳、特に以上なし。正常な聴力であったはずであった。

 蕾は黒い目を大きく見開いて驚く。


 「そそ、存在しないってどういうことですかぁ!!?」

 「落ち着け!……どういうことと聞かれても、言葉通りの意味だ」

「じ、じゃあアメリカは!アメリカは分かりますよね!?」


 激しく動揺する蕾はまさかとは思いながらも、その可能性を必死に否定する。

 期待と望みを乗せるかのように、蕾はルアに向かって問うが、ルアから返ってきた言葉はその期待を大きく打ち砕くものであった。


 「アメリカ?悪いがそれも一度も聞いたことのない国名だな」

 「!!」


 “可能性”は“確実”にと変わった。僅かに震える指で蕾は自分を差す。


 「も、もしかして……私!」

 「うむ……。どうやらお前は、ここの世界とは違う世界からやって来てしまったらしいな」


 ガツンッ!と頭を殴られたかのような衝撃が蕾に走る。その言葉にサッと顔が青褪める。


 『所謂これって、異世界“トリップ”……ってやつ?』


 ようやく今自分の身に起きている事態に気付き始めた蕾は、混乱する脳内を必死に押さえた。


 まるで何処かによくある小説みたいな馬鹿げた話であったが、ルアがいい加減な嘘をつくような人物にも思えず、そしてこの情けない程小さく縮んでしまった自分の姿が、何よりもの証明であり証拠であった。


 これも『異世界』に来てしまったことが関係しているのでは?と関連付けるとすると、どこかすんなりと納得がいく。


 「けど、確かにここまで何も知らせず黙って連れてきてしまったのも悪かった。此処はベレストルという国だ」

 「ベレストル?」

 「ほら、此処の大陸にある一部がそうだ」


 ルアは筒状に丸められていた紙を取り出すと机の上に広げると節榑だった指で、ある場所を差す。

 地図に描かれた地形はどれも、蕾が知らない文字で書かれた国の名前と見たことのない大陸ばかりであった。


 「うわぁー……!」

 『やっぱりここって異世界なんだ……』

 「ベレストルは西の土地を占領している大きな国で俺たちは今、ウォカリック城という城の中にある別館にいる」



 異世界の世界地図をまじまじと見る蕾。


 起きてしまった現実に唖然としたものの、ようやく遅れながら異世界にやって来てしまったという実感を持ち始めてきた。

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 本日はこの小説をお読み頂きありがとうございました (*´ω`*) 『評価』『感想』『レビュー』等、頂けると定期的に執筆をする際、大変モチベーションが上がり、作者は踊り狂って喜びます。お時間があればお願いいたします(笑)。
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