第11話 古都ベレストル
「……帰ってきたな」
男が馬に乗り、崖の上から見下ろすは……灼熱の砂漠に覆われ城壁に囲まれた大国――古都“ベレストル”であった。
風に吹かれ、男の赤いマントが宙を舞う。
『凄い~……!!大きな国ですね!』
こっそりと頭を出して、目の前にある映画のような壮大な景色に感動する蕾。
『こら!勝手に体を出すな!』
首元のマントに隠していた蕾が勝手に出てたので、男はすぐ小声で蕾を嗜める。
「なんか言いましたか?」
「い、いや……!なんでもない……」
『わぷっ……!』
後ろにいた部下が男に声をかける。慌てて男は首元のマントのズレを直すフリをして蕾を隠した。
「行こう」
戦の傷跡を残しながらも、雄雄しい背中を見せる男たちは、馬に乗って、崖の道を慎重に降っていく。
故郷まで、後少しの距離だった……。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
検問も無事に乗り越え、戦で疲れた馬たちも馬小屋に戻した。
男は後の片付けは他の者たちに任せ、そのまま一度も表情を崩さず、静かに石床で出来た長い細道である城内の道を突き進む。その様子は周囲の者からにしてはなんとも、近寄りがたいものであった。
そして、ある部屋の扉の前に着くとノックもせずドアノブに手を掛けた。
「よし、出ていいぞ」
「ぷはぁ……ッ!」
部屋の中に入り、ようやく男から顔を出すことを許可された蕾。
「ここは……?」
「ここは俺に支給されている俺専用の部屋だ」
それにしては、一人では大きすぎるような部屋で家具も少なく必要最低限な家具や武器しか置いてなかった。
蕾はそっとベットの上に降ろされた。
「うわぁ~……!」
『凄い広くて立派な部屋だ~!』
でも、こんな広い部屋はテレビの中でしか見たことのかった蕾は目をキラキラさせ、感激の声を漏らす。
お金持ちの部屋みたいで目新しそうに部屋の中を見渡す蕾。
「そう言えばまだお前の名を聞いていなかったな……。名はあるのか?」
「えっと、花咲蕾です!」
「ハナ、サキ?ツボミ??」
いまいち日本語の発音が分からないのか、ちぐはぐで言いづらそうにしている男。
「呼びづらかったら、ツボミでかまいませんよ~!」
「う、うム。そうさせてもらう……」
蕾のその言葉に申し訳なそうにするルア。
「俺の名は、ルア・アートヴァルトだ」
「ルアさんですか……」
「それで今後のお前のことなんだが……」
何かを言おうと口を開いたルア、だが突然、部屋に鳴った違う音に邪魔をされる。
コンコン。
「ルア隊長。よろしいでしょうか?」
扉の反対側から男の声が聞こえてきた。




