如月二十一日
君が良い 君を含まぬ 全てより
君があまりに、なんでもないようにいうものだから、僕もなんでもないことかのように思えてしまったいた。
けれど本当はこんなにも大切で、苦しいことだったんだ。
どうして君はわかってくれない。どうして君には、この思いが伝わらないんだい?
僕の思いを押し付けることが、もちろん良いことだとは思わないさ。
そんなにも、傲慢でありたくはない。僕は僕であり、君は君なのだから、考え方が異なることは当然のこと。
それがわかっていたとしても、悲しくはないか? 僕だけが君を想っていて、君は僕のことを、なんとも思っていないだなんて……。
君なりの愛の形に、気が付いていないわけではないけれど、思えば君から求めてくれたことなんて、一度でもあったろうか。
いつも僕ばかりが焦がれていて、君は涼しげな顔をして、僕のことを笑っているのだろう?
あぁ、恋とは、こんなにも不平等なものなのか。
別れの季節が近付いていることを、嫌でも認識してしまうこの時期。
新しい出会いがある、そうは言ったって、僕は君が良いんだ。そうじゃない、僕は、君じゃなくちゃ嫌なんだ。君以外の全てを失ったとしても、君だけは失いたくないよ。
どうして僕だけがこんなに苦しまなくっちゃいけないんだ。
別れは仕方がないだなんて、君みたいにそうやって、悟ったような諦めたような、そんな考えは持てないよ。
そういった面では、君は冷たく冷めきっている。
君が良いよ。まだ別れたくない。これからも、ずっと、ずっと、君だけと一緒にいたい。
どうしようもないほどに、幼稚なわがままだけれど、それが僕なんだ、わかっておくれよ。




