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365個の物語  作者: ひなた
如月 チョコレートは恋の味
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51/365

如月二十日

  苦いチョコ カラフルなチョコ 星のチョコ

      種類の数だけ 浮かぶ表情


 チョコレートがたくさんあるのです。

 味もいろんな種類で、形も色もいろんな種類で、どれをあげようか迷っちゃうのです。

 バレンタインたるイベントに、乗っかるつもりはないのですよ?

 僕はあくまでも、彼の誕生日がもうすぐということで、チョコレートをプレゼントしようと考えているのです。

 だからほらご覧なさい。

 きちんとバレンタインを過ぎてから、チョコレートを選んでいるではないですか。

 世間の流れに逆らい、今日という日にチョコレートを購入するのです。

 さてさて、どれを買ってあげるとしましょうかね。

 とびっきり苦いのを買ってやれば、甘党なあの人は、甘いと思ってチョコレートを食べて、死ぬほど驚くのでしょうね。

 苦さに悶える彼を想像したら、それだけで楽しくなってくるのです。

 このカラフルなのはどうなのでしょう。

 あの人だったらきっと、好きな色のチョコレートを、いつまでも残しておくのです。

 彼の好きな色は緑色だから、緑色のチョコレートだけが、食べられることなく、残ってしまうかもしれないのです。

 それで僕が、食べないのですか、と尋ねたなら、彼は慌ててそれを口に放るのでしょうね。

 そして勝ち誇ったような笑みと、本当に嬉しそうな笑顔とを浮かべてくれるはずなのです。

 あの人の笑顔は人を幸せにする力を持った、素晴らしいものなのですよ。

 このお星さまのチョコレートなんていかがでしょうか。

 とても可愛らしくて、ポップで明るい、けれど傷付きやすい色形、あの人にピッタリなのです。

 それを口にしたならば、きょとんとした後に、否定をしてくるでしょう。

 そんな彼の顔が浮かんでくる……、あぁ、これだとどうでしょう。こっちのチョコレートだと、どんな顔を見せてくれるのでしょう。

 僕は別に彼のことが好きなわけじゃないから、バレンタインだってずらしてやったのです。誕生日だから、いつもお世話になっているから、好物のチョコレートをプレゼントしてやるんだって、それだけなのです。

 だけど何をしようにも、彼の顔が浮かんできて、困りますよ……馬鹿。

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