如月二十日
苦いチョコ カラフルなチョコ 星のチョコ
種類の数だけ 浮かぶ表情
チョコレートがたくさんあるのです。
味もいろんな種類で、形も色もいろんな種類で、どれをあげようか迷っちゃうのです。
バレンタインたるイベントに、乗っかるつもりはないのですよ?
僕はあくまでも、彼の誕生日がもうすぐということで、チョコレートをプレゼントしようと考えているのです。
だからほらご覧なさい。
きちんとバレンタインを過ぎてから、チョコレートを選んでいるではないですか。
世間の流れに逆らい、今日という日にチョコレートを購入するのです。
さてさて、どれを買ってあげるとしましょうかね。
とびっきり苦いのを買ってやれば、甘党なあの人は、甘いと思ってチョコレートを食べて、死ぬほど驚くのでしょうね。
苦さに悶える彼を想像したら、それだけで楽しくなってくるのです。
このカラフルなのはどうなのでしょう。
あの人だったらきっと、好きな色のチョコレートを、いつまでも残しておくのです。
彼の好きな色は緑色だから、緑色のチョコレートだけが、食べられることなく、残ってしまうかもしれないのです。
それで僕が、食べないのですか、と尋ねたなら、彼は慌ててそれを口に放るのでしょうね。
そして勝ち誇ったような笑みと、本当に嬉しそうな笑顔とを浮かべてくれるはずなのです。
あの人の笑顔は人を幸せにする力を持った、素晴らしいものなのですよ。
このお星さまのチョコレートなんていかがでしょうか。
とても可愛らしくて、ポップで明るい、けれど傷付きやすい色形、あの人にピッタリなのです。
それを口にしたならば、きょとんとした後に、否定をしてくるでしょう。
そんな彼の顔が浮かんでくる……、あぁ、これだとどうでしょう。こっちのチョコレートだと、どんな顔を見せてくれるのでしょう。
僕は別に彼のことが好きなわけじゃないから、バレンタインだってずらしてやったのです。誕生日だから、いつもお世話になっているから、好物のチョコレートをプレゼントしてやるんだって、それだけなのです。
だけど何をしようにも、彼の顔が浮かんできて、困りますよ……馬鹿。




