散歩
こんにちは、お久しぶりです。
かなり更新遅れてしまい、申し訳ございません。
ゆっくり、ゆっくりと、私は病院から離れる。
それから足を向ける先は適当だ。少しだけ、このあたりをみてまわりたくなったのだ。
あの丘へと帰るのは、それからでも遅くはない。だって、あの病院のおかげで、私はここがどこかを知ることができたから。そして、ここは少し変わって入るものの、私が知っている場所だったから。
つまりは、少しくらい寄り道してもいいだろう。流石にもう優也に追われるなんてことはないだろうし。
空には太陽が登ってきていて、少しずつ明るくなってきている。もうそろそろ、完全に青い空がここを包むだろう。
そんな空の様子を、ぼんやりと眺めている自分がいる。
「ふわぁあ……」
こんなふうに、あくびだってでてくる。
ちょっと前には走って疲れていたような気がするけれど、自分としてはそんなことを忘れていたくらいは、かなり呑気な状態になってしまった。
別にその状態が嫌とは言わないけれど、なんとなくむず痒いような気がする。それはきっと、昔の自分がかなり呑気に生きていたからだろう。結菜ちゃんと一緒に、「時間は無限にあるんです」とでもいうように、のびのびと生きていた。
──もちろん、そんな無限の時間なんて、もっていなかったわけだけど。
そんなことを思いながらも、ふと、空から小道へと目がいく。
なんとなく、その小道に見覚えがあったからだ。
ここらへんはある程度栄えてるというのに、そこだけはアスファルトもしかれていない、本当の小道になっていた。
昔の記憶と合わせて考えると、おそらくこの小道は、結菜ちゃんと散歩に出かけたときによく使っていた道だろう。
結菜ちゃんは本当に自然のきれいなものが好きだったから、こういう場所をよく好んだ。だから、散歩のときはこういうところを使っていたはずだ。
そして、そういう場所はそう多くもない。
……となると、やっぱりここは散歩に使っていた道だろう。
そんな結論になったから、せっかくだし、小道の方へ行ってみることにする。
一歩小道に足を踏み入れてみれば、緑が私の視界を包む。
うん、予想通りと言うべきか……とりあえず、ここはかなり自然に溢れているみたいだ。
はっきりとした記憶はない。だというのに、自分がそんな推理の果てに、納得のいくような結論を出しているのが、気持ち悪いと感じる。
自分で言う。これは怖い。自分で(二回目)も、一種のストーカーなんじゃないかと疑うくらいは怖い。
でも、ある意味それは間違っていないのかもしれない。
私は結菜ちゃんが大好きだから。ずっとずっと、結菜ちゃんを追いかけていたから。
そんな事を考えながら、小道を歩き続けてしばらく、視界を自然が覆い始めた。
陽の光が当たって、優しい黄緑色に染まる葉。ピンク色の小さいお花に、影の奥で揺れる木々。
結菜ちゃんは、本当にこの景色を愛していたんだろうなと思うと、なんだか視界に入る全てが放っておけなくて、全てを理解しようと視界と頭が動いている。
「……綺麗だなぁ」
綺麗だと感じたのは、ただ単にその自然が美しいからというわけではなかった。
人の気配がなくて、静かで、落ち着く。今この瞬間だけ、世界に自分一人だけが生きているみたいに。
そんな空間の中に芽生える、人以外の命が、これ以上ないほど輝いて見える。
こんなにきれいに見えるなら、昔の私にも教えてあげたかったな。
昔の自分は、周りよりも、結菜ちゃんに夢中だったから。本気で。
たしかに自然は綺麗だった。でもだからこそ、そこに笑顔で佇む彼女が綺麗だった。
天真爛漫で、純粋で、優しくて、人の悪意を知らずに生きていたみたいな彼女。
今の私だったら、嫌いになっていたかもしれない、というよりは、彼女みたいな感じの人間がいたら、きっと私は嫌いになる。だって、憎いじゃないか。笑顔で明日を迎えることのできる、なんの苦労もなく生きてきた人なんて。
それでも彼女が好きなのは、それが彼女だったからだ。他の誰かじゃきっとだめだった。
彼女は、明るい。それだけじゃなかった。だから私は彼女が好きなんだ。
……彼女には申し訳ないけれど、私は心底救われていた。彼女もまた、なにかに囚われ苦しんでいたことに。
それ以上に苦しみに耐えてきた彼女の姿に感動した。
そんな事を考えているうちに、頭がズキズキと傷んでくる。
また考え事をしすぎたな、全く。昔は感覚で判断することが多かったのに、今はそんなことがまったくないんだから。
今は考えるのをやめよう。思い出に浸ってもいいけど、とりあえずこの景色を楽しもう。
昔のことは一度捨ててもいいだろう。私はただ、この自然の中で一人を堪能してみよう。
これ以上考えることを避けたくて、そう自分に言い聞かせたまま私は歩く。
思い出に触れて、風に揺られて、そうやって時間を潰して──。
「お姉ちゃん、だあれ?」
小さく声がした。後ろに、誰かがいるみたいだった。
男の子の声だ。聞いたことのない声だ。でも、どこか懐かしい声だ。
私は思わず振り向いて、声の主を確認する。
幼稚園生くらいの男の子。
金髪に青目。海外の人の血でも混ざっているのだろうか。
顔立ちもどこか整っているし、そうといわれれば納得してしまいそうな。
まだ幼いと言うのにすごく綺麗だなと思わされるような──。
そんな、どこか見覚えがあるようなこの男の子が、私の中のなにかを大きく変えることを、私はまだ知らない。
この前、あらすじを少し変えたお話をしたともうのですが、その時に誤字報告も解放したんですよね。
そしたらめちゃくちゃ送ってきてくださって、本当に驚いて。
お恥ずかしいことに、私は誤字脱字がものすごく多くてですね……。
そんななか、あんなに沢山の誤字報告をしてくだささったこと、本当に感謝いたします。
こんなポンコツではありますが、これからも温かな目で見守っていただけると幸いです。




