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夢現

 GWですね。

 読者様の中にはいろいろな本を読み漁りまくっている方も多いかな?

 白い部屋に立っていた。本当に真っ白い部屋。

 ベットだとか機械だとか、色々転がっていて他にも色はあったけど、やっぱり白かった。

 そんな部屋の端のベットに、見覚えのある少女が座って外を眺めていた。茜色の夕焼けの空が映る窓を、静かに。


 少女は金髪で、青目で、肌は白くて──。


「結菜ちゃん」


 彼女に声をかけた。頭でなにか考えるよりずっと早く、口が開いた。

 それに対して、すぐに返答は返ってこなかったし、彼女は声を聞いてもピクリとも動いていなかった。

 少しだけ、違和感っていうものを感じた。


 いや、違った。動いていた。

 ブルブルと体を震わせているのだ。小刻みに。

 でも、私の方を振り返ることも、声に驚いたような素振りも、しなかった。

 さっき感じた違和感が、どんどんと強くなっていた。


「どうした、の?」


 私の声まで震えていた。すごく震えていて、笑えてしまうような声だった。

 いつもの彼女なら、こんな私を見て笑ってくれるのだろう。「なに、その声。不思議」だなんて言って。

 だけど彼女はやっぱり動かない。恐怖心が渦巻いた。


 怖い、怖い、怖い。

 「どうしたの?」って聞かなくちゃいけない気がした。だからそう声に出した。

 でも今度は、その「どうしたの?」って言う言葉に他する返事を聞くのが、怖い。


 なんでこんなに怖いのか、わからない。自分のことなのに、ぐるぐると感情が絡まって、思考を?で埋め尽くす。


 いや、違った。ちゃんと私は何が怖いのか分かってる。どうしてここまで怖いのかも分かってる。


 あの結菜ちゃんが、いつもみたいに笑顔で私に声をかけてくれない。そんなの、嫌な予感しかしないのだ。

 結菜ちゃんはやっぱり、肩を震わせている。()()()()()

 それが、ものすごく恐ろしいんだ。怖いんだ。もしかして、あのことについての、すっごく悪い報告なんじゃないかって思って。


 そこまで考えていたときだった。

 彼女が、やっとこちらを振り向いた。ゆっくりとした動きだった。

 彼女は、瞳から雫をボロボロとこぼして、泣いていた。


 私にとっての太陽が、はじめて光を失った瞬間だった。


「ねえ、春菜。どうしよう、私──」


 つまり、この瞬間が、私が見た中ではじめての、彼女が絶望にくれた瞬間だった。

 もちろん、このときは、最初であるだけでなく、最後になるなんて思ってもいなかったけれど。


〜〜〜〜〜〜〜


 瞼をゆっくりと開く。

 しまった、どうやら眠ってしまっていたらしい。

 しかも、あの時の夢を見たようだ。煩わしくて仕方がない。どうしてくれるんだ。


 そんな事を言っても、誰にも届かない。八つ当たりできるような人、いるわけもないのだ。


「あーあ、疲れた」


 そう一言呟いてから、どこまで充電できているかを確認しようと、スマホを手にとる。

 そのとき、電源のついていない真っ暗な画面に、私のカオが映り込んだ。


 私の眼は腫れていて、頬には何かが伝ったような跡が僅かに残っていた。

 一瞬、あの時の彼女の泣き腫らした顔が、頭を過った。煩わしさに拍車がかかる。イライラする。

 彼女の顔なんて忘れたかったから、私は頭に別のことを考えさせた。最近泣いてばっかじゃない?ってこと。

 そこまで多くはないけど、泣いている回数はそこそこ多い気がしたのだ。まあ、これも今はどうでもいいけど。


「それで、充電は……」


 スマホの電源を入れた。

 ぱっと画面が明るくなって、色々表示された。

 その時私は、充電よりも先に目に入った、とあるものに驚かされることになる。


「今、深夜の二時……!?」


 嘘だ、ありえない。今日ここに入ったときは、まだ空が明るかったし、昼ぐらいなはず。

 探していた時間があったとしても、せいぜい三十分くらい。

 だとすると、私はとんでもない時間を寝過ごしていることになるのだ。


 こうなると考えられる最悪であり、一番可能性の高い展開が頭をよぎる。

 深夜の二時、ということは家主は睡眠を取るために家に帰ってきて、なんなら多分もう寝ている状態だ。

 つまりは、この家に私がいることがバレたら終わりなわけで……。


 いや、バレないなんてことできるか?

 寝室がどこにあったかなんてはっきり覚えてるわけもない。っていうか本当に寝ているかどうかの確証なんてない。

 いま外は静かだが、全然家の中で出くわす可能性あるし、っていうか入ってきた窓どこだっけ?寝室だったら終わりじゃない?


 私の頭はパニックで、スマホの充電とか気にしていられる場合じゃなかった。

 どうしよう、最善は、どうすれば。その三つの似たような言葉が、思考を縛っている。


 逃げなきゃ、今すぐ。

 本能がそういった。


 脱出経路は?見つかったときはどうすれば?


 最悪から離れたい頭は、そんなことを聞いてやまない。嗚呼、五月蝿い。

 とにかく、スマホを持ってここから出よう。充電は確認していないけれど、こんな時間だ。ちゃんとできているはず。


 私は即座に立ち上がり、ドアノブに手をかける。

 そして開け放とうとして、目の前にいたらどうしようと、私の中のとある私が叫び始める。

 ちょっと黙ってろ、そんな事あるわけないからと、とある私に言い聞かせた私は部屋を出た。


 ほら、部屋にはいない。音も立てないように気をつけたから、家主がいてもそう簡単にはバレないはず。


 記憶を手探りで漁りながら、自分がどこから入ってきたかを特定する。

 多分きっと、玄関と奥から真ん中くらいの部屋だったはずだ。

 大丈夫、入ってきたときにベットはなかった。多分。

 だから、寝室なわけがなくて。人なんて、いないはずなんだ。……きっと!!


 また自分に言い聞かせて、予想をつけた部屋のドアノブに手をかけて扉を開けた。

 そして、その部屋には──。


「あッ……」


 ベットの上で横たわっている人の姿があった。

次回、最終回なるか……(そんなわけありません)

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