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魔剣士ですけど賢者に間違われてます  作者: 瑞 雪平


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949話 想いと想い……


 ――翌日。


 伯爵の件はひと段落ついたところ――サリチーヌが包装された箱を持ってきた。


「ゼロさん、ナイトメアさんに相応しい感謝の贈り物が完成いたしましたわ! どうか、ナイトメアさん送ってください!」


 っと、興奮しながら俺に渡してきた。

 戻ってきたら直接渡せばいいと思ったが、これからオーストロ家は忙しくなるから渡す余裕なんてないしな。俺に預けるのも当然か。


「わかった、必ず渡すよ」


「ありがとうございます! ナイトメアさんもきっと大喜びですわ!」


 俺は受け取って無限収納に入れた。

 包装していて中身は確認できないが、あの大きさだとネックレスだと思った。

 それにしても、かなりの自信のようだ。

 オーストロ家の全身全霊で作りあげた装飾品だと思っておこう。


「ようやく、ほかに集中して取り組むことができますわ!」


 安堵の息をしたあとに、魔力を出して気合が入っています。

 メアのためにかなり神経をとがらせていましてね。


 このことはメアにしっかり伝えて渡さないとな。その想いを言えば喜んで受け取ってくれるはずだ。

 俺も期待しているぞ。


 これでのんびりできるかと思ったが、ちょっと気になることが――あまりにもベルガがおとなしくしすぎる。

 様子を見に、カイセイと一緒に領地から離れて秘密の特訓をしている、森の中へ向かう――。


「俺は戦乙女と相応しい男だ――――アースランス!」


 ベルガは岩の槍を放ち、木の枝にぶら下げた的を命中する。

 …………はい? 無詠唱……? 


 詠唱しないで魔法を使ったぞ……。


「その調子だ。次は光魔法だ」


「はい、師匠!」


 カイセイは腕を組んで頷いて納得していた。


「ちょっとまて……、ベルガ……、今の【無詠唱】だよな……?」


「先生、来てしまいましたか! その通り! 俺は完全に【無詠唱】を習得しました! これも師匠のおかげ――師匠が俺の中から燃え上がる魂を呼び起こしてくれました! 戦乙女――ルージュをほしいという渇望で!」


 カイセイ……一番やってはいけないことをしたな……。これだと変に自信過剰になってしまう……。普通なら喜ぶところだが、今回は素直に喜べない。

 また腕を組んで頷くのではありません……。


「本気で思っているのかよ……。カイセイ、師匠になったんだからなんとか言えよ……。もうルージュさんはソウタしか目がないと」


「レイさん、俺は止めません。こんな一途な男に止めるということはできないからです。そう、まるで俺を見ているかのように」


 忘れていました……。カイセイもシャルさんを諦めない想いが重なったのかもしれない……。

 おい、寝取ろうとするやつを応援するな……、論外だぞ……。


『レイちゃん……。気持ち悪い……。吐きそう……』


 ダメだ……、シャルさんが耐えきれなくなっている……。

 いや、俺に報告はいらないから、外して思う存分吐いてください。


「【無詠唱】が使えたとしても、ソウタにはまだ勝てないぞ」


「師匠から言われました。このままでは勝てないと。ですが、鍛錬を積めば、精霊使いに勝てることができます! 師匠は大学卒業までに十分強くなっていると言いました。俺は卒業したら精霊使いと決闘を申し込みます! そして俺は勝利を手にしてルージュを幸せにします!」


 暴走している……。さすが尻追いしているやつのメンタルは違う……。


「その意気だベルガ! まだまだ休んでいる暇はないぞ!」


「はい、師匠! 先生、俺はまた再開しないといけないので、話は終わってからにしてください!」


 人選を間違いたかな……? 類は友を呼ぶとはこのことか……。

 でも少なくとも数年はルージュさんには手出しすることはなくなった。


 ソウタは、ベルガとの決闘――尻追い組には避けられない宿命となった。


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