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魔剣士ですけど賢者に間違われてます  作者: 瑞 雪平


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948話 予期せぬ来客⑥


 こうして話が終わり、伯爵夫妻は帰ることになった。

 なったのはいいが、母親はまだ口を膨らませて拗ねていた。


「グレースが反抗期になった……」


 いや、反抗してないが……。

 伯爵はため息をついて、抱っこして頭をなでて宥めていた。


「これでお母上も少しは落ち着くでしょう」


 あれだけで落ち着くのか……。完全に子どもですな……。

 よく娘がしっかり者に育てられたものだ。


 いや、逆にグレースが気を遣っているような気がする。


「自分は帰らなくていいのか? せっかくの休みなんだから少しは家族と一緒に過ごせばいいじゃないか?」


「いえ、会えただけで十分です。今から一緒に過ごすのは、お母上に申し訳なく……」


 ですよね……。

 まあ、いつでも帰ることができるから心配しなくていいか。


 グレースがやると決めたらな仕方がない――見守るしかない。


 グレースは手を振って伯爵夫妻を見送り、ルチルの空間魔法(ゲート)で帰っていく。


「ふぅ……、これでお母上も認めてもらえればいいけど……」


「そんなに不安なのか?」


「実は……、お母上は、私めに魔導の道を歩ませたいと思っているのです。たぶんですが、もう魔法学校に入れば、大学の進学すると考えていたと思います」


「母親からしたら普通そう思うな」


「お母上は元魔導士です……。ですが私めが決めた道です。一筋縄ではいかないのはわかっています」


 魔導士だったのか……。

 確かに普通の人より魔力量は多かったが。

 いや、ありえないくらい多い。前に会ったときは、気にしなかったが、強化された今なら普通に膨大な魔力を持っていることがわかる。


「よくイデウスさんと結ばれたな……」


「たまたまお母上がお父上の護衛をすることになって、護衛が終わったあとにそのまま屋敷に居候して、その流れで結ばれたようです。お父上の説明だとお母上がお父上に一目惚れしたからずっと離れなかったと」


 認めるまで居座ったのか……。完全に伯爵の根負けだな……。

 それにしてはよく伯爵も追い出さなかったな。

 意外に好意はあったかもしれない。


「自分が魔導士だったから、グレースも魔導士にしたかったのか?」


「その可能性はあります。おそらく、国王陛下の護衛の魔道士にさせたかったのかもしれません。ですが、私にはそこまでの力はありません。スカーレットさんみたいに精霊と契約できるほど力なんてありません――無理に等しいです。お母上は夢を見過ぎです……」


 この若さで現実を見ていると……。

 そこまで娘に期待することなのか?

 精霊……まさか――追いかけていた精霊に聞いてみる。


「なあ、レティスさんに何か言われたか?」


『グレースと契約してと言われた!』


 だから精霊を追いかけていたのか……。

 どうやら護衛にさせようとするのは本当のようだ。


「けど、イデウスさんがなんとかしてくれるだろう。まだ先の話だ、そのうち納得がいくはずだ」


「私めもそう信じています。今はやるべきことをやるだけです。では私めはこれで――」


 そう言って、グレースはオーストロ家のほうに向かう。


 そこまで心配する必要ないしな。

 母親が魔導士か……、誰か現役時代のこと知っている人がいるかな?


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