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お肉が食べたい件について



「あー⋯⋯なんだかお肉食べたい」


 木靴を掘る手を止めて言った。ちなみに今は木靴の内側を掘り中。


 言って気づいた。私はお肉が食べたい!!


「お肉食べたい!!」声を大にして主張。


「なんだ、いきなり。うっせーな」


 ブラのレースをシャツから覗かせた奴から苦情が来た。


「ねぇ、二郎。あんたんちの世界って狩りしないの?私の知ってるこういう世界は、よく狩りしてるイメージなんだけど。弓とかで」


「⋯⋯こういう世界ってなんだよ。まぁ、お前のイカれっぷりは今に始まったことじゃねーけど。狩りは金がかかるからしねーよ」


「金が⋯⋯かかる?ちょっと、そこの鬱蒼うっそうとした林の一つでも入って、狩りとかするのにお金かかるの?」


 なんでお金がかかるのか分からず聞いてみた。狩りの道具がないとか?


「ちょっと、入るにしても、長く入るにしても“狩り”ってなった時点で、許可と申込金がいるんだよ。しかも獲る量も決まってるし。ちなみに獲りすぎたら献上な」


(許可⋯⋯?)


「誰の許可?」


「領主」


「領主!?」


(キタ⋯⋯!)


 まさかここで読んでたライトノベルでよく目にした文字が聞けるとは!


「えー、でも黙ってたらバレないんじゃないの?」


「⋯⋯お前、俺がどこで働いてるか分かって言ってんのかよ」


 そういえば、こいつ“警ら”だったっけ?


「忘れてた」


「ちなみにここの領主様は、がめついからな。もしそんな事してチクりが入ってみろ。捕らえられて、手首落とす羽目になるぞ」



 テクビオトスハメニナルゾ


 知らない世界が提示されて、頭がついてこなかった。


(なんか、知ってる話と違う。地方の領主とかって家泊めてくれる存在じゃないの?)


 大体、途中の寄り道先とかで親切に泊めてくれる存在が多かった気がするのに。で、その後、敵側の罠にはめられ、殺されたりするけど。それか、後の援護者。


「ちなみに密告したやつには、ちゃちだが金っていう謝礼が出るからな。どこに目があるか分かんねぇからお前、妙なことすんなよ」


と、二郎から釘を差された。


「タロタロ、危険な事に手を染めて過ちを犯すような真似などせずとも、売っている物を買えば良い」


 声のする方を向くと戸口に一郎が立っていた。


「買ってくれるの!?」


 以前は、『誰の金でだ』なーんて聞かれたけど、


「ありがとう!⋯⋯いち、」


 感謝を示すように手を組み、一郎を見上げたら、目の前には木のブロック。


「そのためには、労働だ」


「またこの流れ!?」


(いーかげん飽きたわ!)


 まったく!このフリルエプロンブロック山姥やまんばめ!


 中堀り再開!!


 願望だけが口から出る。


「もしお肉食べられるなら、私、露店に売ってる串焼き肉が食べてみたいのよね!」


 よく、お嬢様とかお姫様がお忍びで街に行くと買ってるやつ!!

 ジュウジュウ、とタレが焼ける音と匂いを体験してみたい!


 すると、二郎から


「お前、もし本当に買うなら買った直後に、ひと口店主の前でかじれよ?」


「なんでよ」


(ま、まさか、食レポを強要する世界なの?)


 よく見るテレビの中でその場で食べて感想を述べるやつだ。


 自分がリポーターになったつもりで想像する。


『見てください!この湯気!アツアツ!今焼いてもらったばかりのこの串焼き肉!タレが焼けてて香ばしくって、こう⋯⋯香っただけでも⋯⋯ん〜、よだれが口から溢れちゃいそうです!⋯⋯さっそく、いただいてみましょう!(少し声量を落として)⋯⋯じゃあ、ご主人、いただきますね。パクっ⋯⋯ん〜!アツ、ァツ、⋯⋯ふん、は、あつ⋯⋯ッ。ごめんなさい、熱くて。あの、タレが香ばしくってお肉に合ってて、お肉も肉汁たっぷりで、大変美味しいです!(串焼き肉を指で指しながら)ご主人、これ美味しいです!』


 ⋯⋯こんなところだろうか。


と、妄想に耽っていたら二郎から


「もし、変な味がしたらその場で、吐き捨てて、店の主人に怒鳴りつけて返金してもらえよ?なんの肉使ってるか分からねぇ店もあるからな」


 ⋯⋯なんか、全然妄想とは違う答えが返ってきた。


「なんの肉か分からないってなによ」


「ん?んなもん儲けるためには客の事なんて知ったこっちゃねぇって肉だよ。あと、味付けがやたらとキツイところも気をつけろよ。大体、まともな露店で売ってる肉でも、捨てられないから売ってんだしよ」


 ⋯⋯聞きたくない世界の裏側を聞いてしまった。


「じゃあ、新鮮なお肉買って、一郎に料理してもらう!!」


 そう言うと、一郎から


「ならあと、少なくとも五十足は作ってもらわねばな」


 ゴトッ、


 ⋯⋯ゴトッ、


 ⋯⋯⋯⋯ゴトッ!


 テーブルに木のブロックを次々おかわりされた!

 頼んでないのに!!


「肉も満足に食えない、こんな世の中じゃ⋯⋯」


 ポイズン。


 言いながら、ショート動画で流れてた歌が頭の中に流れてきたので、つい『ポイズン』なんて付け加えてしまった。



 落ち込みながら木を削っていたからだろうか、晩御飯の豆が二倍から三倍量に増されて皿に載っていた。


 豆味百%豆。


 ブロックおかわり山姥改め、一郎ママの優しさ⋯⋯


 鳩になるわ!!



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