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来ていた超越者



 ミツケン保養所の結婚披露宴会場でのキリュウ兄弟としての演奏後、マーズとしてのライブも終えた彩桜は、胸騒ぎがして眠れなかったので先ずはとキツネの社の様子を見に行った。


 あれれ? ピュアリラ様トコ

 青生兄と瑠璃姉 来てるねぇ。

 俺どぉしよ? マヌルの里 行こかにゃ~ん。


なんとなく入れない気がして術移しようとした時、カミュラを連れたオフォクスが現れた。

【彩桜、どうかしたのか?】


【治癒しに来たけどぉ、マヌルの里に行こかにゃ~と思ってぇ】


【ふむ。青生と瑠璃か。確かにな。

 ならばカミュラ様をお連れしてもらえるか?

 アミュラ様の所に頼む】

【分離、照合が終わった魂頭部(たまかしら)を運びたいのです】


【ん♪ 行きましょ~♪】

エスコートして術移♪




――何度か術移を続けてマヌルの里。

【あっ、彩桜様!】【ほえ?】

ラスト、アミュラの部屋前に行こうとして止まった。

バステト(ヌヌの母)様とバステート(ディルムの母)様どしたの?】


【呼び止めて ごめんなさい。

 お願いしたいことがあるの】


【ちょっと待っ――】【では私はお姉様の所に】

【行けますか?】【共鳴が示してくれますので】

カミュラは微笑み会釈してアミュラの部屋に向かった。



【では【よろしいかしら?】】


【は~い♪】ついて飛んだ。




 とある部屋の前で止まった。

【ヌヌ、出ていらっしゃい】【……はい】



 おずおずと、もじもじと子猫ヌヌが現れた。

【よろしくお願いいたします】


【マヌルヌヌ様どしたの?

 あ……ディルム様まだ寝てるねぇ】


【はい……】

【そうなの。目覚めなくて困っているのよ】

【ヌヌ、きちんとお話しなさいな】


【はい。

 私は毎夜あの称号に神力を込めていたのです。

 ソラを呼んだ前夜も。

 そうしたら……神ではない何方かが目の前に……それしか覚えていないのです。

 朝、目覚めると、どうしてもソラと話さなければと……ソラに動いてもらって、ドラグーナ様に称号を込めなければならないと衝き動かされてしまって……】


【超越者様が来てたのかにゃ?】


【私より遥かに上の存在だとは感じました】

【それを確かめていただきたいのです。

 ヌヌの記憶の外、部屋や体表に残る記憶を拾知していただけませんか?】


【マヌルヌヌ様、調べていいの?】


【私、あのような、襲う称号核なんて成していないのです。

 ですからお願いいたします。

 ディルムが目覚めないのも、そのせいではないかと……】


【ん。じゃあ、お部屋からね? 此処ですか?】


【ではありません。玉座の前で……】

【称号と玉座を結んでいたのかしら?

 本当に困った娘ね】


【責めないであげてぇ。

 俺だけで行ってきま~す】術移。



――獣神王の間、玉座の前。

座面に称号塊を置いていたと感じた彩桜は両手を座面に当てて目を閉じ、超越者からの妨害を受けるのは当然と覚悟して拾知を全開にした。


 玉座前にマヌルヌヌ様。

 超越者様は玉座の上に浮かんでる。

 人型の超越者様だけ?

 ソレは見えたけど……声が聞こえにゃい?

 マヌルヌヌ様、返事してるよねぇ。

 でも静かだよねぇ。

 もちょっと頑張ろ~。


 あ……離れてる闇禍達と内緒話してるのかにゃ?

 だったら掌握で握手する感じに~~~うん。



―・―・―*―・―*―・―・―



 受け答えはしているが、眠っているのか気絶しているのかな、目を閉じて意識の無さそうなマヌルヌヌが護るように両手で包んでいた称号塊が抜け出て浮かんだ。


(ふむ。ドラグーナという龍の男神に向けての強化魂体なのだな)


「ドラグーナ様に向けてのみの獣神王の称号で御座います」


(必ずやドラグーナを強化せよ。

 もうよいぞ)


力が抜けたマヌルヌヌは伏せた。



(ふむ。其奴を女神とするのもよかろうな。

 ドラグーナを探せ)


2闇禍が超越者の前に現れた。

(は。では早速)(畏まりまして御座います)

すぐに消えた。



 超越者は称号塊に向かって唱え始めた。

闇ではないが光とも思えない何かを当てている。



 そんなに長くはない詠唱が終わった時、闇禍達が戻った。

(アッシュム様、ドラグーナとは月に居た龍神で御座いました)

(月に居たのにも拘わらず我々より先に対象を掴んだ物生体で御座います)


(あの、ヒノカミが来た時か……仲間なのであろうな。

 ならばこそ新たな対象とするに相応しい)


(追加拾知情報で御座います。

 以前、対象となさいましたスタリーナはドラグーナの双生妹。

 スタリーナを封じ隠したのもドラグーナで御座います)


(故に月にはスタリーナが居なかったのだな?

 スタリーナを封じたドラグーナが居たという事か。ふむ)


(アッシュム様、この女神も濁った心を持つ、強き物生体なのでは御座いませぬか?)


(確かにな。女化する手助けともなろうな。

 ならばドラグーナに取り込ませ、今度こそ地星を本流に戻そうぞ)


((は))



―・―・―*―・―*―・―・―



 だからマヌルヌヌ様にも伝染したんだ!

 称号なくなったけどドラグーナ様が

 対象なのは変わってないよねっ!

 早く伝えなきゃ!

 あ! ディルム様のは?

 ドラグーナ様と来ちゃダメだよねっ。


考えるのは青生と会ってから。

先ずは知らせなければと、彩桜はドラグーナに向かって術移した。



――神王殿経由で月。

【あれれ? 青生兄、来てたの?】

目の前にはドラグーナと話す青生と瑠璃。


【彩桜の全開拾知が伝わったんだよ。

 ドラグーナ様にも伝え流したからね】


【そっか~。ドラグーナ様も無事で良かったぁ。

 ね、ディルム様どしたらいい?】


【あの称号核には超越者アッシュム様の術が込められているんだから、急いで全てを摘出すべきだよね。

 瑠璃、ドラグーナ様をお願い。

 ブルー様も近くにいらっしゃるから大丈夫だとは思うけど、これを持っていてね】

紅火が増やした鏡を渡した。

【お稲荷様と兄弟も呼んでいるからね】

【俺、ランも呼んだからねっ♪】


【ふむ。ディルムを頼む】


【うん。行こう彩桜】【ん】手繋ぎ術移!



【ラピスリも気をつけてね。

 前にオフォクスも闇を持つからか闇禍に入られてしまったんだ。

 超越者様達は地星の神は女神の方が強いと思っているし、闇神力を好んでいるみたいだからね】


【はい。私も父様と同じく考えておりました。

 だからこそスタリーナ様の人魂保護もピュアリラ様にお願いしたのです。

 その話の途中で彩桜から流れてきて驚いたのですが】


【そう。

 スタリーナには今度こそ幸せになってもらいたいから、できるなら超越者様と話したいな……】

浮かんでいる地星の方に目を向けた。

【もちろん地星の未来も、まだまだ続くようにね】


【そうですね】



―・―*―・―



 マヌルの里に着いた青生と彩桜は、黒猫女神達に簡単に説明した後、ディルムとヌヌからの称号核の摘出を始めていた。


【闇じゃにゃいから闇呼吸着ムリでしょ。

 光だとも思えなかったから……うん、やっぱり白闇呼(しろあん)もムリだねぇ。

 コレ、術の結晶なのかにゃ?

 光化魂護闇呼(たまごあん)

 来にゃいぃ~】

彩桜は掌握達(ちっちゃヒトデ)に摘出させながらアレコレと試している。


【バステト様は獣神王の箇所なんて判別不可能だから弱禍的な箇所を、除去すべき箇所だと示したと仰っていたよね。

 つまり弱いけど禍々しさはあったんだよ】


【光でも闇でもない弱禍的な……あ♪

 『神力封じ』て『無効化』だよね♪

 その『無』使う~♪】


【ん? まぁ、彩桜の思うままに やってみてね】


【うん♪ 神力と仲良しさんしてるから~♪

 弱禍的トコに封神力(ふうじん)ねっ♪】

ちっちゃヒトデ達が動いて桜吹雪を纏う。

【無化闇呼吸着クレッシェンド!

 集まってる~んるん♪

 封神力パクパクちっちゃヒトデ万華掌!】


【ん? ああ、そういう事】クスッ♪


彩桜の掌握達がグー・パーを繰り返しながら移動している。


【弱禍より弱いかにゃ?

 やっぱり、ちょっぴり不穏あるみたい~】


【うん、そうだね。

 少しずつ不穏を膨らませて魂と融合させる。

 染めていく感じで魔化していくつもりらしいね。

 マヌルヌヌ様の方も魔化を進めつつ、結婚の絆を使って夫側に吸い上げていく……】


【怖ぁいのぉ~】


【そうだね。

 ドラグーナ様の方が強いからマヌルヌヌ様を完全に吸収してしまうだろうね。

 そもそも称号には強い想いが込められていて魂を縛るのは確定だったよね。

 加えて超越者様の術結晶が これだけ短時間で散らばって融合するんだから魔化も速い。

 闇禍じゃないから対処も難しい。


 そう考えていくと、超越者様は本気で地星を滅亡させようとしていて、偶然なのかもだけどディルム様が阻止――だとしたら この眠り、超越者様が更に術を掛けたのかな?

 ドラグーナ様の欠片も入っているし、他の神様も強化したから、魔化対象として十分だと判断したのかもね】


【眠らせといて融合加速?】


【だと思うよ。

 摘出を始めてから拾知が妨害されているよね?】


【うんうん。

 玉座トコで見てたトキ正常だったのに、目も耳も塞がれてる感じなのぉ】


【俺達が気づいて動いたのを拾知したのかな?

 持っていそうだったからね】


 今も見てる?


 だと思うよ。


 蛇さんサーチ。

 術移!

【昇華闇障暗黒、激天特大闇呼吸着!

 封神力(ふうじん)雷迅(らいじん)万華掌!!】



 彩桜が戻った。

【闇禍 捕まえたけどぉ、アッシュム様 逃げちゃったぁ。

 闇呼吸着 平気なのぉ】


【闇でも悪でもないらしいからね。

 単独では動かないだろうから、次に呼ばれた闇禍が来る迄が俺達には猶予だね】


【アッシュム様て何者にゃんだろねぇ】


【時流様の配下、かな?

 時流様が神様だとしたら人の方ね】


【時流様の上て、宇宙様?】


【そうかもね♪】


【宇宙様とお話ししたいにゃ~ん】


【そうだね】


【青生兄、ピュアリラ様と何のお話ししてたの?】


【お話し繋がり?】


【うん】


【スタリーナ様の保護をお願いしただけで止まっているよ】


【スタリーナ様も対象だもんねぇ。

 異界魂、アッシュム様が込めたみたいだったもんねぇ】


【ちょうど流れてきて驚いたよ】


【そっか~♪ あ……そっか。

 ドラグーナ様に『違う』て言ったの、『ブルー様じゃない』て意味じゃなくて『スタリーナ様じゃない』だったんだね】


【そうだろうね。

 ブルー様かもと感じたら近寄らないよね】


【だよねぇ。逃げるよねぇ。

 飛んで火に入る浄滅ピッカン☆されちゃうもんね~♪】


【そうだね】くすくす♪


『術結晶』と呼ぶ事にしたモノは増殖し、魂内に拡散して融合するので完全摘出しなければならない。

長丁場になりそうだと覚悟して挑む青生と彩桜だった。







青生は寝ていなくても大丈夫だと思いますが、彩桜は寝落ちるんじゃ?


超越者との距離が急に縮まった感があります。

話し合えるといいな~です。



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