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復興は終わりに近い



 理俱の社での酒宴は翌日の夕刻まで続いていた。

皆、仕事をしに行ったり、復興やらヘンゲ龍・神マーズをしにやらで抜けては戻りして楽しく過ごしていた。


ただ2日目は、成人している輝竜兄弟は白久ですら飲んでいなかった。

狐儀も理俱も飲んでいないのだが、狐儀は輝竜兄弟と同じ理由で、理俱は それどころではなかった為だ。

「そろそろ行こ~♪」


極みの葡萄ジュース組が同意して立ち上がった。

酔えないドラグーナも稲荷夫妻やらを乗せて嬉しそうに寄る。

「ドラグーナ様また出るのかにゃ?」

「出ていいよね?♪」「うんうん♪」


「おいドラグーナ、何処に行くんだよ?」

マリュースもカツェリスを乗せて来た。


「北長安だったかな?」「ライブなの~♪」


「音神集団の音楽(ライブ)……おいトリ(トリノクス)

 マヌルの里に頼む!

 起きてなくてもディルムに聞かせねぇとな!」

「ふむ。確かにな」連れて術移。


「じゃ、先に行ってよ~♪」み~んな一緒に♪



――北長安会場。

黒 灰マーズは神用料理を作りまくった後、先に会場入りしていてマーズ饅頭(マントゥ)屋をしていた。


【中華饅だ~♪ いっただっきま~す♪】

【【勝手に食うなっ!!】】

【美味し~よ♪】もぐもぐもぐもぐもぐ♪

【【ダーーーーーッ!!】】


【あらあら♪ では増やしますね~♪】

ウケモチは楽しそうだ。

全力で気持ち良く食べてくれる彩桜が気に入っているので張り切って大量生産。


【助かります!】【ありがとうございます!】


【黒瑯、リーロン。そろそろ行かないと】

彩桜を連れに来た青生。


【【だなっ♪ ウケモチ様お願いします!】】


【はいはい♪ 楽しみですぅ~♪】

セッティング真っ最中なステージを映し出しているモニターの前にはタートシンキの保護珠。

始まれば客が減るのでウケモチも一緒に聴くのだろう。


本場としては邪道な饅頭なのだろうが、甘味系も食事系も大好評で売れに売れている。

淡色カラフルな皮のマーズ饅ミニサイズフルセットが一番人気だ。

マーズ饅の餡は今回も個々をイメージしたものになっているので、その点もフルセット人気に拍車を掛けていた。



 控室のマーズは その様子を神眼で確かめ、災厄なんて無かったかのようだと平穏に戻った事に安堵し、喜び合った。


【お~い、今回もリハ無しか?】

メーアからの確認も いつも通り。


【食べてから立ち位置だけ~♪】まだ食べている。


【満腹で墜落するなよ♪】


【しにゃいも~ん♪】

すっかり平常稼働だ。




 控室で瞑想して30分後、

【では今日も全力で!】

【はい!】

マーズは一斉にステージへと忍者移動した。




 そして案の定なメーアの爆弾MC。

『――灰と空は漢中国人だ!

 おい、前に出ろよ。

 桜! 要塞に隠れてる空を連れて来い!』

すっかり漢語もマスターしているのは、二人を紹介したかったからだろう。


灰を黒が、空を桜マーズが運んだ。


『ったくソックリ兄弟だなっ♪』「「ああっ!」」


客席も大騒ぎだ。


『ま、そういう事だ♪

 漢中国人の忍者兄弟。これは本当だ♪

 灰は黒と双子だとか、空は桜と双子だとか噂されてたが、黒と桜は邦和人だからな♪

 とんでもなく仲がいいってだけだ♪

 忍者飯担当で黒の相棒な灰マーズ、子供だが特忍で桜の相棒な空マーズを大いに応援してやってくれ!』


会場は大喜びな大歓声!


『おい、何か言えよな』

スタンドを掴んでマイクを突き付けた。


『え……と~。

 これからも『よろしくお願いします!』』


マイクを戻す。

『おいおい。

 けどま、喋り担当じゃないから仕方ないか。

 じゃあ次の曲だ! 灰と空は前で踊れ♪』


「「ええっ!?」」


『無問題だろーがよ♪』と始まってしまった。


【演奏、空パート俺やる~♪】

【そんなら灰のはオレだっ♪】

【安心して前で踊ってね~♪】【だなっ♪】


【恥ずかしいんだけど……】【だよなぁ……】

でも踊っている。完璧に。


【【そのまま踊れよなっ♪】】銀も話に加わる。

他のメンバーからも『頑張って』とか『楽しんで』とか聞こえている。


【次の曲は戻るからなっ!

 コレだけは思いっきりだサーロン!】

【はい兄さん!】



 魔女と悪神との戦い、災厄と復興、邦和での騒動……いろいろと思い出しつつ、平和で平穏を噛み締めて踊り演奏するマーズだった。



―◦―



 北長安ライブの初日もアンコールに入った。


【ん? ウンディは?】理俱が神眼キョロキョロ。

もちろん紫マーズしながらだ。


【居りませんね。

 理俱の社にも来ていなかったのではありませんか?】

緑マーズな狐儀は余裕で答えている。

輝竜兄弟からも『見ていない』『知らない』等と聞こえる。


【そーいや声を聞いてないな。

 人世までは誰が?】


【私が掴んでいた】客席上のロークス。

チャリルも頷いている。


【アイツ、一応 神だし、悪意は無いから紅火の結界も抜けられるよなぁ】


【得意の蛇眼走査で探してみては?】


【仕方無いなぁ】蛇眼走査!



【あ~居た。飛翔(たかし)の家だ】


【でしたら安心ですね】ふふ♪


【ウンディにこそ聞かせたいんだがなぁ】


【そうですね】ふふふ♪



―・―*―・―



 戌井家で長居している利幸を見付けたのは理俱だけでなく、寿も見付けて慌てて迎えに来たところだった。

「こんな遅い時間まで、非常識で すみませんね」


「まぁ利幸ですからね。

 もう泊まるものだと思っていましたし」

漢中国と そう時差は無いとは言え少し早いので、すっかり夜中の域だ。

紗と飛鳥(の分身達)は とっくに部屋で眠っている。



 この場では唯一の生き人、澪がお茶を淹れ直して居間に来た。

「部屋は用意していますから奥様もどうぞ」


「本当に すみません」


泊まるのは確定した。



―◦―



 そして朝。

利幸は寿に引っ張られて稲荷堂に向かっていた。

ユーレイと神なので姿を消して飛んでいる。


街並みは ほぼ元通り。建築中の家もあるが、普通の風景に戻っていた。

その屋根の連なりの上に黒い重厚な屋敷が見えてきた。

「アレ……瑠璃や彩桜の家だろ?」


「そうね、輝竜さんのお家よ。

 これからの居場所を相談するのよ」


「俺の家は?」


「死んだのだから、とっくに他人のものよ」

トウゴウジに話して住んでもよいのだが、慣れた場所に住むと、なんだかまた人に戻ってしまいそうで嫌だった。


「あ~そっか。だよなぁ――お♪ バ勝利(カツトシ)!♪」

路地を通り、稲荷堂に入ろうと角を曲がった所で姿を見せた。仕方無く寿も。


「うわ……マジで生き返りやがった……」

助手席に美那を乗せて運転席へと回ろうとしていた荒巻が走って来た。

「トシユ菌、生き返ったらソッコー誘拐かぁ?」

鋭く睨む。


「はあ? 誰をユーカイだよ?」

「その美しい女性だよ!

 稲荷堂の常連様じゃねーか!」


「ヨシちゃんは俺の妻だ♪ な♪」「ええ……」


荒巻、言葉を失う。


「バ勝利こそ、カワイイお嬢さんユーカイだろ?」


「婚約者だよ! バカバカ言うなっ!

 俺達は これから――」

『また兄が何かしてしまったんですね。

 すみません』

「――へ? 兄?」


「お~いエィム、イキナリ俺を悪者にすんな」

「いつもそうですから」「いつもってぇ」


「おいトシユ菌。弟って……ああ、奥さんのか。

 なら納得だ。賢そうだからな。

 って、見た覚えがあるような……?」


「僕もよく稲荷堂に来ていますので。

 兄さん、邪魔をしてはいけませんよ」

引っ張るが、如何せん相手は力の神。

エィムの力では微動だにしない。

こうなったら神力で、と発動しようとした時、輝竜家の玄関が開いた。


英夢(えいむ)師匠、カツ兄。トシ兄の相手してていいの?

 保養所、昼から式あるから準備 始まっちゃうよ。

 中、見学ムリなるよ?」


「うわ。もう再開するのかよ」


「うん。復興後の最初なの♪

 だから俺達も演奏しに行くの~♪」


「そんなら急いで行って、見学したらロビーで聴くとするか♪

 トシユ菌、そんじゃあな♪」

走って車へ。さっさと行った。


「僕も行こうかな」「来て来て~♪ ヨシさんも♪」

「ところで、さっき僕の事を――」「英夢師匠~♪」

「あのね」 「ヨシさんの弟だから嘉藤 英夢師匠♪」

「だから勝手に――」 「亥口 英夢のがいいのぉ?」


エィムは嫌だと(あらわ)に絶句。

寿が笑ってしまった。

「ごめんなさい、エィム様」まだ笑っている。


「ね、エィム師匠も人したくなったんでしょ?

 狐儀師匠とか理俱師匠とかみたく。

 お名前 必要でしょ?」


「確かに、それを相談しようと思って来たけどね。

 彩桜ではなくて父様と話したいんだけど?」


「俺、ダメなのぉ?」


「そういう意味じゃないけどね」

「大事なことだからこそ、お父様にといらしたのでしょう?」

「その通りです」


「ほら~♪ やっぱり姉弟がいい思うの~♪

 トシ兄の弟て苦労するよ?」


「確かに……」ずっと嫌だったし今も嫌。


「だから~ねっ♪」

「エィム様さえよろしければ、私は光栄ですよ♪」

「ほらほら~♪ 嘉藤 英夢で決まり~♪」

『うん。いいと思うよ』

人姿ドラグーナも玄関から出て来た。


「父様……も、人をするんですか!?」


「暫くは人世だからね。

 でも俺は誰になるんだろうね?」


「リーロン サーロン ユーロンの父ちゃんは?♪

 でもドラグーナ様て俺達(ウチ)の父ちゃんより(見た目が)若いねぇ。

 あ♪ 花竜(かりゅう)家の父ちゃん♪

 ウィスタリア師匠とナスタチウム師匠トコ♪」


「それがいいかな♪」


「じゃあ~、花竜(かりゅう) 虹輝(こうき)♪」


「うん、いいね♪

 後はオフォクスに頼もうかな♪」


「うんうん♪ 戸籍のとかね~♪

 で、ウチに住んでねっ♪」


「ありがとう♪ ウンディもいいかな?」


「トシ兄? んとねぇ……」

「お~い彩桜、ナンでソコで悩むんだぁ?」

「なんかヤダもん。

 でもヤなのはトシ兄だけでぇ、ヨシさん一緒でゴウちゃん師匠も来てもらいたいしぃ。

 でもでもトシ兄、ヨシさんと新婚さんだからぁ……あ♪ 和館の2階♪

 サイオンジさんとトクさんのお部屋、拡張で復活したの♪

 隣に拡げてもらうねっ♪」


「彩桜くん ありがとう♪

 結局トシもいいのかしら?」


「野放し危険だもん。

 飛翔父ちゃんにも迷惑だし~。

 夜なったら離れに引き寄せられるよぉに縛っとく~♪」


「んんっ???」「ありがとう彩桜くん♪」


「じゃあ お店で修行スイーツど~ぞ♪

 後で保養所 来てねっ♪」







平穏を取り戻しつつあるというお話でした。

輝竜兄弟はミツケン保養所で演奏した後、この日も北長安でライブです。


邦和の復興も順調な軌道に乗り、カソーディアの復興も間もなく終わります。

そこで長~くなった このお話も終わりにしようかと――


桜「ヤダもんっ!!」


凛「はいはい。無理だからね。

  それより彩桜、何か忘れてない?」


桜「ほえ? ・・・ああっ!!」


凛「それは書くからね~♪」脱兎!



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