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マヌルヌヌの願い



 国名が決まり、王が二神と決まったと一気に伝え広めた事でアノーディア王都の午前が終わるには神世全体の気が明るくなり、復興も加速度的に進んでいった。


 国名がカソーディアに決まった地の第2世期の王族達の説得には、伝え広めるのを(グレイ)に任せたサティアタクスも加わっていた。

カーリカリューと子供達が戦ったからこそ、40億年もの長きに渡り風雪に閉ざされていた灼熱の地も、共に復興するに至ったのだとサティアタクスが話した事で、皆がカリュー王家を王とする国に納得してくれた。




「あのっ、お待ちくださいサティアタクス様っ」


 この日の作業を終えてマヌルの里に戻り、マヌルヌヌに会いに行こうとしていたサティアタクスをザブカリューが呼び止めた。


「どうかしましたか?」


「父様とカイカリューは戦ったのでしょうが、私は……」


「前回も今回も、神世に災厄を(もたら)したのはオーロザウラです。

 その裏にはオーガンディオーネと異界の魔である闇禍が居た。

 それだけです」


「ですが私は……」


「その反省があるからこそ私共は貴方ではないと言っているのです。

 こういうのを人世では方便と言うそうですよ。

 真実よりも未来の為になる偽りです。

 どうか未来に目を向けてください。

 新たなカソーディア国の為に。

 ご家族の為にも」


「ありがとうございます……未来に向かいます」


「それでこそですよ。それでは」

微笑んで背を向けた。



「ありがとうございます」

もう一度、深々と感謝を示した。



「ザブさん? にゃ~にしてるのぉ?」


「今チェリー様っ!?」


「どしてビックリ?

 其処、俺の部屋にゃんだけど?」


「ああっ! 失礼致しましたっ!」

扉前から飛び退いた。


「もちよっとラクにしてよ。俺コドモだよ?」


「ででででですがっ!」


「今日は元気だね~♪

 光ばっかりにしたら消耗しなくなったんでしょ♪」


「……確かに、そうですね……」何故?


「闇てねぇ、すっごく消耗するの。

 光から変換するのも効率悪いの。

 その修行してなかったら何倍も光必要なるの。

 だからザブさん、まだまだて思ってたんでしょ。

 オーロより弱いて信じ込ませるのにもソレ利用されてたんだよ」


「そうだったのか……」


「理解した? 光神としての修行、カーリに習って頑張ってね~♪」

手を振って、扉を――『居た居た彩桜♪』

「うわわわわ」

――大きく開けて、飛んで来た銅龍神を押し込んだ。

「待ってて!」『おう♪』


「そいえばザブさん。ウンディて、もぉいいの?」


「は? ああっ!」


「まだ滅したい?」


「そそそそそのっ! 全くでっ!」


「さっきのウンディ。

 でもホントどぉしてウンディ?」


「さぁ……」


「あ、そっか。人畜無害な起爆剤かなっ♪

 ザブさん怒らせる起爆剤♪

 他の神様だと周りのヒト達が怒って攻めてくるもんねぇ。

 ウンディ……うん。どぉしてもなったら差し出されちゃうよね~♪」


「オーロ退治の主役だったのでは?」


「ぜ~んぜん♪ 役立たずだから修行場に閉じ込められてた~♪

 近い兄弟とか、親なドラグーナ様だけ渡さない言ってたけど、他の神様達みんな『解せぬ』『何故ウンディ』て言ってた~♪

 でもま、神力射ブッ壊して神世に行きゃいいとか言うだけじゃなくて壊したもんねぇ。

 純粋おバカに善で光だからオーロには脅威だったのかも~♪

 魔女もウンディの神力で悪酔いして気絶したし~♪ ある意味 最強かなっ♪

 それじゃねっ♪」サッと開けてパタン!



「最強化した神力射をウンディが……だから救世主や職神達が来たのか……」


確かに脅威だと痛感したザブカリューだった。



―◦―



「どしたのトシ兄?」


「同代が皆、人世に行っちまってるんだよ」


「うんうん」


「人世で何してるんだぁ?」


「知~らな~い。

 トシ兄、炊き出ししてたからじゃない?

 もぉしなくていいの?」


「終わったよ。

 避難所は撤収、皆フツーに生活し始めたよ。

 だからヨシちゃんと飛翔(タカシ)と一緒に下りようとしたんだけどな、下空に行けねぇんだよなぁ」


「どして?」


「どーやって行きゃいいんだぁ?」


「そっか。じゃあ飛翔(タカシ)父ちゃんトコ行こ」

連れて術移。



――王都の公園。

木陰のベンチに飛翔と寿が居た。

「飛翔父ちゃ~ん♪」


二人が向き、笑顔になった。


飛んで寄った。

「何時間も待ったんじゃない?

 トシ兄てば瞬移もダメでしょ?

 狐便に頼めば早いのに~」


「そうなんだけどね」「ねぇ」


「ん? あ、そっか~。

 野放し迷惑なるもんねぇ」「お~い彩桜ぁ」

「ん?」「ナンかさっきからヒドくねぇか?」

「神様なってもトシ兄まんまにゃんだも~ん」


「その通りよね♪」「そうだな♪」


「お~い。ったく~」『居た! ウンディ!』


「ほえ? 理俱師匠だ~♪」


「彩桜も居たのか」到着。「丁度いい」


「どしたの?」


「不穏は皆無だが人世は大騒ぎなんだよ。

 ウンディは別件なんだがな。

 向こうの地(カソーディア)の山を1つ動かしてもらいたいんだ」


「おう♪」「カリーナ?」


「その火山じゃない。過去の地図には無い山だ。

 灼熱噴火で出来ちまったらしい。

 下に避難してる人神達が出られないんだとよ」


「任せろ♪」


「俺はウンディを連れて行く。

 彩桜は二人を頼む。

 人世に行ったらマーズしてくれ」


「ん♪」【トシ兄、人世に行かせたくない?】


【その通りだ♪】心話で笑って理俱は術移した。



「人世に帰ろ~♪」 「ええ♪」「お願いね」

彩桜は現世の門経由で人世へ。



―・―*―・―



 その頃、マヌルの里に居るソラは彩桜を探していた。


「どうかしたのかしら?」


「あっ、カウベルル様。

 彩桜を探しているだけなんです。

 なんだか人世が騒がしい気がして……」


「その人世に行ったのではないかしら?

 お姉様がソラにお話ししたいそうなのだけど、今は無理かしら?」


「マヌルヌヌ様が!?

 えっと、はい、無理じゃないです」


 断る方が無理です。はい。




 そうして、誰も居ない玉座の横に控えている大きなマヌル猫神の前へ。

「失礼します。ボクにお話し、とは……?」


「そう固くならずともよいよい。

 ひとつ頼みたくてねぇ」

玉座を見詰めていたマヌルヌヌは、よっこいしょと大きな身体ごとソラに向いて、ニッと微笑んだ。


「はい……何でしょうか?」なんだかモジモジ?


「これからも輝竜兄弟を頼みたくてねぇ。

 大学院を出たら、また末っ子の近くに居てもらえないかねぇ」


「はい♪ それならもう約束してます♪

 次は高校生するんです♪」


「そうかい そうかい。頼んだよ。

 獣神王ドラグーナ様の大きな神力を持っているから心配でねぇ」


「彩桜なら大丈夫です♪

 祓い屋としてはボクの相棒ですから♪」


「救世主カケルは?」


「お兄とも相棒しますけど、たぶん これからは義姉さんと組むと思いますので。

 響と同じ寿さんの曾孫で、同じ猫神様の神力を持っていますから。

 お兄は義姉さんを戦い向きじゃないって言いますけど、義姉さんは一緒に戦いたいんじゃないかって、勝手にですけど思いますので」


「神の欠片は等価神力と置き換えているのかい?」


「はい、置き換え済みです。

 これからは一緒に修行しますので♪

 彩桜達も一緒に♪」

「お邪魔していいかしら?」


「あっ、バステト様。

 ボクへのお話は終わったと思いますので失礼します!」


「おそらく……これからが本題。

 そうでしょう? ヌヌ」


マヌルヌヌがバツが悪そうに外方(そっぽ)向いた。


「ですから止めに来たのです。

 ドラグーナ様は望んでおりませんよ。

 無理強いはいけません」


「それは…………」

「あの、バステト様。

 何が無理強いで、本題とは?」


「ヌヌは貴方に輝竜兄弟を通じての説得を頼もうとしていたのです。

 ドラグーナ様を獣神王にしたくて。

 ですがドラグーナ様は望んでおりません。

 神世は ほぼ落ち着きました。

 ですのでドラグーナ様は既に神世から離れ、月や人世にお逃げなさっておられます。

 此方の王はヌヌとルルが育てた子達が立派に務めております。

 獣神王なんて、もう必要ありませんよ」


「お母様……」「ええっ!?」


「ほら、驚かれてしまうでしょう?

 そのような画策をしておらず再誕なさいな。

 私も娘が老神(ろうじん)だなんて嫌ですよ」


「私はドラグーナ様のお世話をする『ばあや』になりたいのですっ!」


「それでわざわざ術を重ねに重ねた称号を成して老婆に?

 本当に困った()ね……」


「ええっと……驚き過ぎて……あの……」


「ヌヌったら、恋い焦がれていたドラグーナ様がご結婚なさったショックで臥せった挙げ句、こんな姿にしてしまったの。

 術で元に戻すもよし、再誕するもよしなのに強情張りで……」


「マヌルヌヌ様、人のユーレイなんかが言うのは烏滸(おこ)がましいのですが……言わせて頂きます。


 元に戻すべきですよ。

 ばあやじゃなくて、友達になればいいと思います。

 彩桜もよく告白されてます。

 その度に話し合ったり助けたりして友達になっているんです。

 たぶんドラグーナ様も性格は似てるから、友達――えっと絆を結んでくださいますよ」


「そうね。友としての絆なら沢山あります。

 ドラグーナ様ならきっと喜んで結んでくださいます。

 ですが……お友達を増やし続けていらっしゃいますからね、早くしないと空きが無くなりますよ」


「えっ?」やっと振り向いた。


「友達の数に限界ってあるんですか?」


「各々の絆に数の限りがあるのです。

 ただの友でしたら幾らでも。

 ですがヌヌは、それでは満足できないのでしょう?

 ですから唯一無二の存在になりたくて『ばあや』をと考えたのでしょう?」


マヌルヌヌは両手で耳を押さえて顔を伏せていたが、そのままコクンと頷いた。


「ヌヌ、称号を神力に戻して、元の姿に戻りましょうね?」


「…………はい」


「ボク、彩桜と一緒にドラグーナ様の所に行ってみます。

 絆の席が埋まる前にお連れしますので!」







ええっと、狙われている話は?

――と思いましたよね?

絡んでいますので先に、なんです。


人世の方は楽しくお祭り騒ぎなだけですけど、陽の気は正義。闇禍避けには必要な大騒ぎです。



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