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神世の2国名決まる



 一晩中キツネの社で女神達の再誕準備の手伝いをした彩桜とモグは、神世でA・B班と合流して禍を吸着・浄滅し、朝を迎えたマヌルの里に戻った。


【モグ、母様から聞いたよ。

 今は大勢の保護を急ぐからねぇ。

 少しずつ解いていくからアタシの部屋に来な】


【は~い♪ アミュラ様ありがとうございます♪】


【彩桜はザブを頼んだよ】


【ほえ~い】あ~あ~あ。


【『次』とやらの対象じゃあないらしいけどね、この先ずっと対象外とは限らないからねぇ】


【行きま~す】「彩桜?」

心配気なソラが顔を覗き込んでいた。


「あ、うん。俺まだ大仕事あるのぉ」


「もしかしてザブダクル様?

 昨日も様子を見ていたよね?」


「言わないと気づけないのかにゃ~ん。

 もぉ呪なんて全然なのにぃ」


「もう、いっそカーリカリュー様に会わせてみたら?」


「だよねぇ。カーリに話してみる~」

パタパタふよふよ飛んで行った。



―・―*―・―



 その頃、人世では朝の程よい時間になった地域から順に観光ツアーに出発しようとしていた。


【エメルド ユーリィ、言った通りにしてくれよ?

 驚きも過ぎると不穏に化けるからな】


【人姿の神マーズから龍ヘンゲして、人を乗せて飛ぶだけだろ?】

【オニキスに出来てるんだから簡単だよ♪】


【あのなぁ。人世物質化を失敗したら人が落っこちるんだからなっ。

 真剣にヤレよなっ】


【【はいは~い♪】】


【ったく~】


【集まって来たよ♪】【ほらほら灰マーズくん♪】


灰マーズ(オニキス)は弟達をチラリと睨んでから人の集まりの前へ。

「史跡観光コース、出発します。

 運ぶのはオレ、灰マーズと神マーズ2人。

 ガイドは――」

「キリュウ兄弟の六男、フジです」

「マーズ学園で教員をしております狐松 慎介です。

「宜しくお願い致します」」


「マーズは次々と運びに行きますのでガイドとしては残りません。

 では「「忍法、龍ヘンゲ!」」」

黒、緑、緑の龍が身を低くして並ぶ。

藤慈と慎介がタラップを胴に着けると、なんだか恐る恐るで上がって座った。


「歩く時は平地と同じくで、腰を落ち着ければ吸い付く感じがお分かりになりますか?

 簡単には落ちないようになっていますのでご安心ください」



 皆が乗り終えるとタラップは何処へやら。

ガイド2人はサッと跳んで最後尾に乗った。

「「では、空の旅をお楽しみください」」



―・―*―・―



 彩桜とカーリカリュー、カイカリューはザブダクルの部屋の前で様子を窺っていた。

【会って話してみるよ】【そうだな】


【ん。じゃあ入るよ】ノック。

「ザブさん、昨日の答え見つかった?」


『いっ、今チェリー、様……』


「入るよ?」


『……はい。どうぞ』



 瞑想していたザブダクルの前に並んで座る。

カーリカリューが真ん中。これで共鳴に気付かなければ どうかしているという距離だ。


「此方は?」


「答える前に、何か感じない?」


「こ、れは……?」魂核がある胸を押さえた。


「それが本当の親子共鳴だよ。ね、カーリ♪」


「はい♪ お母様と同じ共鳴です♪

 もちろんカイさんとも♪」隣の男神が頷く。


「親子? では、私の子?」


「んもぉ。逆だってばぁ。

 カーリはオーロの弟。ザブさんの父親!

 カイさんはザブさんの弟なのっ!」


「弟……は、納得ですが……」


「この姿はオーロのせいなんです。

 僕はオッドカリューの子。

 貴方は僕の命の欠片から生まれたんです。

 ですから光神なんですよ」


またまた口パクパクあわあわだ。


「コレで答え全部なの。素直に受け入れてぇ。

 もぉオーロの呪なんてナイんだからぁ」


「オーロは幼い頃に僕から魂核と知識とかが入っている魂片を抜き取り、虚ろになった僕を浄魂刑に処しました。

 そして僕の魂核の神力を闇化して使って生きていたんです。

 僕の真核から命の欠片を得て、僕の神力で子を成したんです。

 僕の真核も、子供達の真核も、闇の呪鎖で雁字搦めにして、僕にはオーロの一部だと信じ込ませ、貴殿方にはオーロの子だと信じ込ませたんです」


「カーリ、その記憶……」


「どうしても残ってしまうよね。

 でも ありがとうイマチェリー。僕は大丈夫だよ」

「俺も同じくだ。すっかり乗り越えた」


「カイさんも……うん、進めないとね。

 オーロの犠牲者、その母親な魔女の犠牲者は いっぱい居るの。すっごく いっぱいなの。

 みんな忌々しい記憶と闘って乗り越えたの。

 ザブさんも頑張ってよ。

 早く向こうの地の王様なってよ」


「ですが、そうとなれば父様が王。

 私は……」


「うん。王子でもいいけどね。

 でも広いでしょ?

 だからブルー様の国と同じ二王制したらいい思うの♪

 間違った道に進まないよぉに話し合って決めてくの。

 いろいろ分担もするの。

 でね、議会もあるの。

 他国の王族さん達、特位公爵で大臣で知事で、議会にも参加してもらったらいい思うの♪」


「それはいいね♪

 だから早く復興に参加してもらいたいんだ。

 説得が大変なんだからね」


「二王制……父様と共に……」「うんうん♪」

「私は光……?」「んもぉ、ソコに戻るのぉ?」


「もう自然とそうなるくらいに染み込んでしまっていると思うけど、神力発動時に闇化しているんだよ」

「瞬時に。発動とは、そういうものだと叩き込まれている。

 しかし、そうではないと信じ、素直に発動すれば光と成る」


「うんうん。だからね、サイオンジさんも『清く』て表現してたんだよ。

 闇、濁りに見えちゃうから」


「確かに……『清く』するのは楽だと感じました。

 すぐに慣れそうだと……」


「だってザブさん、光なんだもん。

 ムリヤリ闇してたんだもん」


「そうだったのか……私は光……」


「うんうん♪ だから仲良く王様してねっ♪

 俺、神王殿のサティア様とグレイ様にも二王制の話とかしなきゃなの。

 と~っても忙しいの。

 あ♪ アミュラ様~♪ モグは?」


「休憩だ。眠ってるよ。

 素直に光が出せたならザブも改名するよ。

 ほら、掌に浄化光を出してみな」


「じょ、浄化……」「んもぉ、怖がらないで!」

「はいっ!」ビクビクだが震える掌に浄化光球。


「やればできるじゃないか。

 カリュー王家は成神か即位・戴冠の儀式の時に『カリュー』を名に得ていたんだ。

 改名は強化。

 協神力(きょうりょく)で高める為に獣の大神がしていたんだよ。

 けどねぇ、オッドカリューはオーロにだけは『カリュー』を与えたくなかったんだよ。

 だから絶えてしまったんだ。

 さ、始めるよ。

 ザブ! サッサと立ちな! 他は囲むんだよ!」


「「「はいっ!」♪」」「はははいっ!」



―・―*―・―



 人世では、空飛ぶ龍を見付けた人々が『リューヘンゲ!』と大騒ぎ。

観光地付近の広い場所で邦和人を降ろすと、現地の人々が勝手に乗ってしまう有り様だった。


【瑠璃! ムリだ! 次に行けねぇ!】


【此方も同じくだ。

 父様、もっと連れて来てください】【ええ~っ】

【連れて来てください!】【仕方無いなぁ】あ~あ。

様子を見に来て、自分も人を乗せて飛びたいと、降下しようとしていたドラグーナが渋々瞬移した。



【おい狐儀! ちったぁ整理してくれ!

 いくらナンでも乗り過ぎだっ!】


【おや、もう限界ですか?】クスクス♪


【重さはナンともねーよ!

 じゃなくて重なってるヤツ!

 鱗に接してねぇと落ちるんだからなっ!】


【確かに。こうなっている列車の写真を見た事がありますね】


【ダーッから早く!】


【はいはい♪】



―・―*―・―



 改名が終わると、彩桜は○○カリュー達を連れて神王殿へと術移した。

【グレイさ~ん♪ 今いい?】


【いいですよ♪ 兄様とダインとショウも一緒に休憩していたんです♪】


【ん♪】気へと瞬移♪「王妃様は?」


「ルサンティーナ様と一緒に、復興が終わった街を視察しています♪ どうぞ♪」

ソファを増やした。


「あっりがと~ございま~す♪」

座ると執事達が茶と菓子を運んでくれた。

「食べる、フツーなったんだ~♪」


「神にとっては修行ですから♪」


「うんうん♪」「グレイどうしたの? あら♪」

「お邪魔してま~す♪」


「ルサンティーナ様、どうぞ。

 ユーチャも座って」「ええ」

「では私も連れて来ようかな」

「そうだね♪」



 サティアタクスが戻った時には茶と菓子は妃分も揃っていた。

彩桜と王子達の前には焼菓子てんこ盛りの皿も増えていた。


「サティア様も お妃様、龍神様? 前から?」


「いえいえ。周りが煩いので王妃が居るとしておりましたが、実は結婚していなかったのです。

 神王殿内で知っていたのはグレイのみ。

 ですから妃や子は離されて幽閉されているのだろうと、宰相や大臣達は考えたようです。


 ルナサフランは神王殿の結界守護をさせられていたのですよ。

 まぁ、私の一目惚れです」照れ照れ。

「私と同代、すぐ上の姉なの♪」

ユーチャリスが一番 嬉しそうだ。


「もしかして……輝竜家の?」


「七男 末っ子の彩桜で~す♪

 あ! 青生兄のお嫁さんなる予定だったヒト!」


「拐われてしまって……それで青生さんは?」


「瑠璃姉――じゃなくてラピスリ姉ちゃんと仲良しこよししてま~す♪」


「ラピスリと!? あ……でも良かった」にっこり♪


「み~んな幸せ♪ コレ一番♪

 じゃあコッチ紹介しま~す♪

 ザブさんのホントの父親、カーリカリュー王――」

驚きの声が重なって、彩桜でも言葉を止めた。


「うんうんビックリだよねぇ。

 でもホントなの。

 怠け者オーロてば、弟のカーリから魂核とか知識とか盗んで呪鎖で縛って、その神力で生きてたの。

 だからカーリ、子供のままなの。

 でね、利用するのに子を成そぉて考えたけど、オーロてば自力なんて無理だからカーリの命の欠片とカーリの神力で生んだの。

 だからザブさんもシャルくんもカイさんもカーリの子なの♪

 あ、もひとり、宰相のカイカリュー様♪

 カーリの三男♪」

カーリカリューとカイカリュー、揃って礼。


「では、向こうの王は……」


「だからね、二王制したらいい思うの♪

 どっちの国も王様ふたりの二王制♪

 ブルー様の国の真似っこなの~♪」


「いいですね♪ 兄様、隠居なんて早いので一緒に政しましょうね♪」


「いやいや、二王制には賛成だが、私よりもドラグーナ様に――」「ダ~メッ」


「そうですよ。きっとドラグーナ様なら、王になんて言ったりしたら神世に来なくなりますよ」

「うんうん。イヤイヤ病 発動で隠れちゃう~」


「「父様らしいわね♪」」「でしょ~」


明るい笑い声で満ちる。


「あ♪ だからザブさんも正式即位でザブカリューなったの~♪

 改名して『カリュー』付くのが正式なの~♪」


『おめでとう』の言葉と共に祝福が降り注ぐ。


「あ! そうだ国名! 集計したんですよ。

 そうしたらアノーディアとカソーディアに決まったんです。

 戦乱期を終わらせて仲良く支え合っていた10年間を、これからの神世も目指そうと。

 此方にはアノーディア王家の末裔の方々がいらっしゃいますので、そちらをカソーディアとしてもよろしいでしょうか?」


「はい♪ カリュー王家としては『カ』で始まる国名は嬉しいです♪」







神世の歴史が随分と明らかになり、これからの2国の名が決まったことで、2国対立期にアノーディアと対立していたカソーディアは『後期 新カリュー』と改名されました。

つまり戦乱期の新カリューは『前期 新カリュー』になったんです。

アノーディアはずっと続いていたとし、10年間だけだったカソーディアは歴史書では『古カソーディア』と表記されるそうです。



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